小勢力回路(しょうせいりょくかいろ)とは、玄関のチャイムやインターホンのように、「知らせる」ためだけの弱い電気が流れる配線のことです。ゼロパスに載せている過去問350問でも4問出ていました。図面を細かく読む必要はなく、数字をいくつか覚えていれば得点しやすい1点です。この記事では、電気の知識ゼロからでも分かるように解説します。

小勢力回路とは

用語小勢力回路とは?

小勢力回路とは、玄関チャイムやインターホンのように、弱い電気だけを流す配線のこと。照明やコンセントの100Vをそのまま使わず、手前に置いた小さな変圧器(電圧を変える装置)で電圧を下げてから使います。

💡 なぜ?
電圧が低く、流れる電流も小さいので、感電や火災の危険がとても小さいから。そのぶん、一般的な屋内配線よりゆるやかな決まりで工事ができます。

玄関チャイムの小勢力回路(押しボタン・小形変圧器・チャイム)の図
100Vを小形変圧器で下げてから、押しボタンとチャイムへ。これが小勢力回路です。

覚える数字はこれだけ

項目 決まり
回路の最大使用電圧 60V以下
変圧器の一次側(電気が入ってくる側) 300V以下
変圧器の二次側の短絡電流(出ていく側がショートしたときに流れる電流) 定められた値以下(過電流遮断器=電流が流れすぎると電気を止める装置が必要な場合もある)

🤔 なぜ60Vが境目なのですか。

人が電気に触れたとき、60Vを超えるあたりから体に危険な電流が流れ始めるとされているからです。「これ以下なら、万一触ってもただちに命に関わりにくい」という線引きです。だから小勢力回路は、この電圧を超えてはいけません。

覚える覚え方

小勢力は60V以下。この1つだけは必ず覚えてください。選択肢には24V・30V・40V・60Vのように近い数字が並びますが、いちばん大きい60Vが正解になる形で問われることがあります。

図面での見分け方

例玄関まわりに、この3つがあれば小勢力回路

・四角の中に黒丸 … 押しボタン(来客が押すボタン)

・丸の中にT … 小形変圧器(ベル変圧器。100Vを下げる部品)

・音符のような記号 … チャイム(音を鳴らす器具)

この3つがつながっている部分が小勢力回路です。問題では、その配線について電圧の上限や使える電線が問われます。

ふつうの屋内配線と、何がちがうのか

一般的な屋内配線 小勢力回路
電圧 100V・200V 60V以下
流れる電気の大きさ 機器を動かせる大きさ 音を鳴らす・知らせるだけの小ささ
使う電線 ケーブルが基本 細い電線・絶縁電線(ビニルなどで覆った電線)も使える
危険度 感電・火災の危険がある 危険が小さい

表のとおり、扱う電気の大きさがまるで違います。決まりがゆるやかなのは手抜きではなく、危険が小さいぶん、必要な備えも小さくてよいという考え方です。

工事の決まりがゆるやかになる点

用語一般的な屋内配線との違い

・細い電線が使える(流れる電流が小さいため)

・ケーブルだけでなく、絶縁電線も使える

・一般的な屋内配線と比べ、施工の決まりがゆるやか

注意注意

ゆるやかなのは電圧の上限を守っているからです。60Vを超える回路は、もう小勢力回路ではありません。「電圧が低いからゆるい」——この関係を逆にしないでください。

🔧 現場の使いどころ

実際の住宅では、玄関チャイムのほかに、インターホン、火災警報器の連動線、エアコンのリモコン線などが、この仲間として扱われる配線です。屋内配線とは別に、細い線で天井裏を通っているのを見かけます。「強い電気の線」と「知らせるための弱い線」は、分けて考えると整理できます。

試験ではこう出る

問われ方 答え方
小勢力回路に使用できる電圧の最大値は 60V
この部分の配線は何か 押しボタン・小形変圧器・チャイムの並びを見る
小勢力回路に使える電線は 細い電線・絶縁電線も使える

よくある質問

Q. 小勢力回路の工事にも、電気工事士の資格はいりますか。

A. 小勢力回路の工事は、電気工事士でなければできない作業から除かれています。ただし試験で問われるのは電圧の上限が中心です。

Q. 変圧器の一次側300Vというのは、何の数字ですか。

A. 変圧器に入ってくる側(電源側)の電圧の上限です。家庭なら100Vが入ってくるので、実際には余裕があります。

Q. 60V以下なら、感電しませんか。

A. 危険が小さいというだけで、ゼロではありません。ぬれた手など条件によっては危険です。決まりの意味として覚えてください。

まとめまとめ

・小勢力回路=チャイムやインターホンなど知らせるための弱い電気の配線

・最大使用電圧は60V以下(これだけは必ず覚える)

・変圧器の一次側は300V以下

・図面では押しボタン・小形変圧器(丸にT)・チャイムの並びで見分ける

・電圧が低いぶん、施工の決まりはゆるやか