第二種電気工事士の筆記試験を、電気の知識がまったくない人でも読み進められるように1問ずつ解説します。このページは令和元年度(2019年度) 下期(2019年10月6日実施)の問1〜10です。

問1〜問10には計算問題と配線の決まりがまとまって出てきます。数字や式が並ぶと身構えてしまいますが、土台になるのはオームの法則(電圧=電流×抵抗)と電力の式が中心です。この記事では、図のどこを見て、どの順番に数字を入れるのかを1段ずつ言葉で書いていきます。各問題の下の「答え・解説を見る」を開くと、答えと考え方が出てくる作りです。まず自分で考えてから開くと、理解が深まりやすくなります。

この記事の問題はどこから?

問題文・図・写真・解答は、試験を実施している一般財団法人 電気技術者試験センターが公表しているものです。
出典:2019年度下期第二種電気工事士試験

問1

分野:電気の基礎(合成抵抗)重要度 ★★★

図のような回路で,端子a−b間の合成抵抗[Ω]は。

令和元年度下期 第二種電気工事士 筆記試験 問1 の回路図
イ.1
ロ.2
ハ.3
ニ.4
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正解

ロ.2[Ω]
この問題は何を聞いているの?

左の端子aから右の端子bまでのあいだに4つの抵抗が組み合わさっています。これを1つの抵抗に置きかえたら何Ωになるかを聞いている問題です。小さなかたまりから順にまとめていけば、計算は足し算と割り算だけで終わります。まず、出てくる言葉を確かめましょう。

用語抵抗[Ω]とは?

抵抗とは、電気の流れにくさのことです。単位はΩ(オーム)で、数字が大きいほど流れにくくなるのが特徴です。図の細長い長方形が抵抗で、3Ωが2つ、6Ωが2つ入っています。

なぜ?なぜ電気に「流れにくさ」があるのか?

ホースにスポンジが詰まっていると水が通りにくいのと同じで、電線や部品の中にも電気の通り道を邪魔するものがあるからです。その邪魔の度合いを数字にしたものが抵抗です。

用語合成抵抗(ごうせいていこう)とは?

合成抵抗とは、いくつもの抵抗をまとめて、1つの抵抗とみなしたときの値のことです。a−b間に電池をつないだとき、電池から見て全体でどれだけ流れにくいかを表します。

なぜ?なぜ抵抗を1つにまとめて考えるのか?

1つにまとめれば、オームの法則(電流=電圧÷抵抗)を1回使うだけで全体の電流が出せるからです。部品がいくつあっても、まとめてしまえば「1本の抵抗」の問題に変わります。

用語端子(たんし)とは?

端子とは、電気を取り出したり、ほかの機器をつないだりする出口のことです。図の左右の白い丸が端子で、左がa、右がbという名前です。

なぜ?なぜ「a−b間」と場所を指定するのか?

合成抵抗はどこからどこまでを見るかで値が変わるからです。この問題では「aから入ってbから出ていく電気」にとっての流れにくさを聞いています。

2つのつなぎ方「直列」と「並列」

抵抗のまとめ方はつなぎ方で計算が変わります。この回路には2種類のつなぎ方が混ざっているので、先に見分け方を押さえておきましょう。

用語直列(ちょくれつ)とは?

直列とは、部品が1本道に並んでつながっている形のことです。直列の抵抗はそのまま足し算します。3Ωと3Ωなら3+3=6Ωです。

なぜ?なぜ直列だと抵抗が足し算になるのか?

1本道なので、電気はどちらの邪魔も順番に受けるからです。スポンジを2個続けて詰めたホースは、1個のときより通りにくくなります。

用語並列(へいれつ)とは?

並列とは、部品が横に並んで、同じ2つの点をつないでいる形のことです。道が枝分かれして、また合流する形とも言えます。

なぜ?なぜ並列にすると抵抗が小さくなるのか?

電気の通り道が増えるからです。改札口が1つの駅より2つの駅のほうが人がスムーズに通れるのと同じで、道が増えるほど全体としては流れやすくなります。

コツ並列の2つは「かけ算÷足し算」でまとめる

並列の2つの抵抗は、(A×B)÷(A+B)でまとめられます。例えば6Ωと3Ωなら、(6×3)÷(6+3)=18÷9=2Ωです。同じ大きさどうし(6Ωと6Ω)なら(6×6)÷(6+6)=36÷12=3Ωで、ちょうど半分になります。

図の「黒い点」を手がかりに、かたまりを見つける

図の黒い点は、線どうしがつながっている所です。下の線にはaのすぐ右に黒い点が2つ並んでいます。この2つは短い電線でつながっているだけなので、電気的には同じ1つの点と考えてかまいません。

なぜ?なぜ電線だけでつながった2つの点を同じ点とみなせるのか?

電線そのものの抵抗は計算では0Ωとして扱うからです。0Ωの道を通っても電圧は下がらないので、2つの点は同じ高さ(同じ電圧)にあり、区別する意味がありません。

そう考えると、回路は次の3段に分けられます。①まん中の6Ωと6Ω(上下に並んだ2つ)、②その右の3Ω、③いちばん上をまたぐ3Ωです。

例それぞれの抵抗がどの点とどの点をつないでいるか

上の6Ω と 下の6Ω … どちらも「aの右の点」と「まん中の黒い点」をつないでいる → 並列

下の3Ω … 「まん中の黒い点」と「bの手前の黒い点」をつないでいる → ①のかたまりと直列

いちばん上の3Ω … 「aの右の点」と「bの手前の黒い点」を直接つないでいる → ①+②の道全体と並列

手順1 上下に並んだ6Ωと6Ωをまとめる(並列・同じ大きさなので半分) = 6 ÷ 2 = 3Ω

手順2 その右の3Ωと直列につなぐ(足し算) = 3 + 3 = 6Ω

手順3 この6Ωの道と、上をまたぐ3Ωの道が並列 = (6 × 3)÷(6 + 3)= 18 ÷ 9 = 2Ω

よって答えはロの2Ωです。

並列にすると、いちばん小さい抵抗よりさらに小さくなる

答えが出たら、「並列でまとめた値は、並んでいる中のいちばん小さい抵抗より小さくなる」という決まりで見直しましょう。最後に並列にしたのは6Ωと3Ωなので、答えは3Ωより小さいはずです。2Ωはこの条件に合っています。

なぜ?なぜ並列の答えは、いちばん小さい抵抗より小さくなるのか?

3Ωの道だけでも電気は流れるのに、そこへもう1本、別の道が加わるからです。道が増えて流れやすくなる以上、3Ωの道1本だけのときより流れにくくなることはありません。

覚えるこの問題の覚え方

「内側から外側へ」と覚えましょう。まずいちばん内側の並列(6Ωと6Ω)をまとめ、次にそれと1本道でつながる3Ωを足し、最後に外側をまたぐ3Ωと並列にする、という順番です。並列の最後の答えがいちばん小さい抵抗より小さいかで見直すと、計算ミスに気づきやすくなります。

注意まちがえた人が選びやすい選択肢

ハ.3 … 上下の6Ωと6Ωを並列でまとめた3Ωを、そのまま答えにしてしまった形です。このあとに、右の3Ωとの直列、上をまたぐ3Ωとの並列がまだ残っています。

ニ.4 … 誤りです。並列でまとめた答えが3Ωより大きくなることはないので、ここで外せます。

イ.1 … 誤りです。かたまりを内側から1つずつまとめれば、2Ωにたどり着けます。

問2

分野:電気の基礎(電線の抵抗)重要度 ★★★

直径2.6 mm,長さ10 mの銅導線と抵抗値が最も近い同材質の銅導線は。

イ.断面積5.5 mm²,長さ10 m
ロ.断面積8 mm²,長さ10 m
ハ.直径1.6 mm,長さ20 m
ニ.直径3.2 mm,長さ5 m
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正解

イ.断面積5.5 mm²,長さ10 m
この問題は何を聞いているの?

「直径2.6mm・長さ10mの銅線」と同じくらいの抵抗になる銅線を、4つの中から選ぶ問題です。選択肢には「直径」で書かれたものと「断面積」で書かれたものが混ざっているので、まず同じものさしにそろえることがポイントになります。

用語導線(どうせん)とは?

導線とは、電気を通すための線のことです。この問題ではすべて銅(どう)でできた線で、「同材質」とは同じ材料という意味です。

なぜ?なぜ「同材質」と断ってあるのか?

材料が変わると電気の通しやすさそのものが変わるからです。材料が同じなら、抵抗の大小は太さと長さだけで比べられる、という合図になっています。

用語抵抗値とは?

抵抗値とは、その電線1本の、電気の流れにくさを表す数字のことです。単位はΩ(オーム)で、大きいほど流れにくくなります。

なぜ?なぜ電線の抵抗を気にするのか?

電線に抵抗があると、電気が通るときに熱が出て、電気の一部がむだになるからです。工事では、使う電気の量に合った太さの電線を選ぶ必要があります。

用語断面積(だんめんせき)とは?

断面積とは、電線を輪切りにしたときの切り口の面積のことです。単位はmm²(平方ミリメートル)。切り口は円なので、断面積=円周率×直径×直径÷4で求められます。

なぜ?なぜ直径をかけたあとに4で割るのか?

円の面積は半径×半径×円周率で、半径は直径の半分だからです。(直径÷2)×(直径÷2)は直径×直径÷4と同じなので、4で割る形になります。

電線の抵抗は「長いほど大きく、太いほど小さい」

同じ材料の電線では、抵抗は長さに比例し、断面積に反比例します。長さが2倍なら抵抗も2倍、断面積が2倍なら抵抗は半分です。

なぜ?なぜ長いと大きく、太いと小さくなるのか?

水道のホースで考えると分かりやすいでしょう。ホースが長いほど水は通りにくくなり、太いほどたくさん流れます。電気も同じで、道が長いと邪魔が増え、道が広いと邪魔が減るのです。

まず直径2.6mmを断面積に直す

問題の電線は「直径」で書かれているので、断面積に直してから選択肢と比べましょう。円周率は問題の注意書きにあるとおり3.14を使います。

手順1 直径2.6mmの断面積 = 3.14 × 2.6 × 2.6 ÷ 4

手順2 2.6 × 2.6 = 6.76、3.14 × 6.76 = 21.2、21.2 ÷ 4 = 約5.3mm²

手順3 長さは同じ10mどうしなので、断面積が5.3mm²にいちばん近いものを探せばよい

手順4 イは断面積5.5mm²・長さ10m → 5.3mm²にもっとも近い

よって答えはイです。直径2.6mmの銅線と断面積5.5mm²の銅線は、ほぼ同じ太さとして扱われることが多い組み合わせです。

ほかの選択肢を数字で確かめる

残りの選択肢も、もとの電線(5.3mm²・10m)の抵抗を「1」として何倍になるかを計算してみましょう。

例もとの電線を「1」としたときの抵抗

ロ 断面積8mm²・10m … 太さが5.3÷8で約0.66倍の抵抗。長さは同じ → 約0.66倍(抵抗が小さすぎる)

ハ 直径1.6mm・20m … 断面積は3.14×1.6×1.6÷4=約2.0mm²。太さで5.3÷2.0=約2.6倍、長さで2倍 → 約5.3倍

ニ 直径3.2mm・5m … 断面積は3.14×3.2×3.2÷4=約8.0mm²。太さで5.3÷8.0=約0.66倍、長さで半分 → 約0.33倍

覚えるこの問題の覚え方

「直径2.6mm ≒ 5.5mm²」は、電線の太さの問題で何度も出てくる組み合わせです。直径で書かれていたら3.14×直径×直径÷4で断面積に直し、長さと断面積の両方で比べる、という順番を守りましょう。

注意まちがえた人が選びやすい選択肢

ニ.直径3.2mm,長さ5m … 「太いぶん短い」ので打ち消し合いそうに見えますが、太くなって抵抗は約0.66倍、さらに短くなって半分になるので、どちらも抵抗を小さくする向きに働きます。打ち消し合ってはいません。

ハ.直径1.6mm,長さ20m … 細くなるのも長くなるのも抵抗を大きくする向きなので、約5.3倍になり、近くありません。

ロ.断面積8mm²,長さ10m … 誤りです。直径2.6mmを断面積に直すと約5.3mm²なので、8mm²では太すぎます。

問3

分野:電気の基礎(発熱量)重要度 ★★★

消費電力が500 Wの電熱器を,1時間30分使用したときの発熱量[kJ]は。

イ.450
ロ.750
ハ.1 800
ニ.2 700
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正解

ニ.2 700[kJ]
この問題は何を聞いているの?

500Wの電熱器を1時間30分使ったら、熱がどれだけ出るかを、kJ(キロジュール)という単位で答える問題です。電熱器は使った電気をほぼ全部熱に変えるので、「使った電気の量=出た熱の量」として計算します。

用語消費電力[W]とは?

消費電力とは、その機器が1秒あたりに使う電気の量のことです。単位はW(ワット)。500Wなら、1秒ごとに500ジュール分の電気を使っています。

なぜ?なぜ「1秒あたり」で表すのか?

機器は使う時間によって使う電気の合計が変わるからです。時間に関係なく比べられるよう、1秒あたりの量を機器の性能として表示しています。

用語電熱器(でんねつき)とは?

電熱器とは、電気を流して熱を出す器具のことです。電気ストーブや電気コンロなどが当てはまります。

なぜ?なぜ電熱器は電気をほぼ全部熱に変えられるのか?

中にある抵抗の大きな線(電熱線)に電気を流すと、流れにくさのために熱が出る、という仕組みだけで動いているからです。モーターのように「回す」仕事をしないので、使った電気がそのまま熱になります。

用語発熱量[J・kJ]とは?

発熱量とは、出た熱の合計の量のことです。単位はJ(ジュール)で、1 000Jが1kJ(キロジュール)です。

なぜ?なぜ1Wを1秒使うと1Jになるのか?

Wはもともと「1秒あたり何ジュール使うか」を表す単位だからです。つまりW×秒=J。500Wを1秒使えば500J、10秒使えば5 000Jになります。

時間を「秒」に直すのが最初の仕事

W×秒でJが出るので、まず1時間30分を秒に直します。1分は60秒、1時間は60分=3 600秒です。

なぜ?なぜ「時間」のままではなく秒に直すのか?

答えの単位がkJ(ジュールの仲間)だからです。ジュールは「W×秒」でできている単位なので、時間を秒にそろえないと、そのままでは答えの単位になりません。

手順1 1時間30分を秒に直す = 3 600秒 + 30 × 60秒 = 3 600 + 1 800 = 5 400秒

手順2 発熱量(J) = 電力 × 秒 = 500 × 5 400 = 2 700 000J

手順3 kJに直す(1 000で割る) = 2 700 000 ÷ 1 000 = 2 700kJ

よって答えはニの2 700kJです。

「1kWh=3 600kJ」を使う解き方もある

電気料金の明細でおなじみのkWh(キロワット時)を通しても解けます。1kWとは1 000Wのことで、1kWhは「1kWを1時間使ったときの電気の量」です。

手順1 電力量 = 0.5kW × 1.5時間 = 0.75kWh(1時間30分=1.5時間)

手順2 1kWh = 1 000W × 3 600秒 = 3 600 000J = 3 600kJ

手順3 発熱量 = 0.75 × 3 600 = 2 700kJ

覚えるこの問題の覚え方

「W×秒=J」が土台です。時間が「時間」で与えられたら秒に直す(1時間=3 600秒)か、「1kWh=3 600kJ」を使いましょう。30分は0.3時間ではなく0.5時間です。

注意まちがえた人が選びやすい選択肢

ロ.750 … 500W×1.5時間=750Whまで計算して、単位をWhのまま答えた形です。Whは「ワット×時間」で、kJとは別の単位なので、3 600をかけて直す必要があります。

ハ.1 800 … 30分を忘れて1時間分だけ計算すると、500×3 600=1 800 000J=1 800kJになります。1時間30分の「30分」まで入れましょう。

イ.450 … 誤りです。時間を秒にそろえてから500をかければ、2 700kJになります。

問4

分野:電気の基礎(交流の電流と電圧の関係)重要度 ★★☆

図のような正弦波交流回路の電源電圧vに対する電流iの波形として,正しいものは。

令和元年度下期 第二種電気工事士 筆記試験 問4 の回路図
令和元年度下期 第二種電気工事士 筆記試験 問4 の選択肢(4つの波形)
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正解

ハ.電流iが電圧vより90°(4分の1周期)進んだ波形
この問題は何を聞いているの?

コンセントと同じ交流の電源に、コンデンサという部品だけをつないだ回路です。このとき電流の波が、電圧の波に対してどうずれるかを、4つのグラフから選びます。計算はなく、部品ごとの「ずれ方」を知っているかで決まる問題です。

用語正弦波交流(せいげんはこうりゅう)とは?

正弦波交流とは、電気の向きと大きさが、なめらかな波の形でくり返し変わる電気のことです。家庭用コンセントの電気がこれにあたります。グラフの横軸は時間(1回の波を360°で表す)、縦軸は電圧や電流の大きさです。

なぜ?なぜ1回の波を「360°」で表すのか?

交流の波は、発電機の中で磁石が1回転するあいだに1回くり返す形で作られるからです。1回転=360°なので、波の位置も角度で表す習慣があります。90°は4分の1回転ぶんのずれです。

用語コンデンサとは?

コンデンサとは、電気をためたり放したりする部品のことです。図の右の平行な2本の短い線(記号C)がコンデンサを表しています。

なぜ?なぜ平行な2本の線で表すのか?

コンデンサの中身が、すき間をあけて向かい合わせた2枚の金属板だからです。板と板はつながっていないので、電気は板にたまるだけで、そのまま通り抜けることはありません。

用語記号vとiとは?

vは電源の電圧、iは回路を流れる電流を表す記号です。グラフでは、それぞれの波にv・iと名前が書いてあります。

なぜ?なぜ小文字のv・iを使うのか?

交流の電圧・電流は時間とともに刻々と変わるので、ある瞬間の値を小文字で書くことが多いからです。グラフの1点1点が、その瞬間のvやiの値です。

コンデンサでは「電流が電圧より90°先に進む」

コンデンサだけをつないだ交流回路では、電流の波が電圧の波より90°(4分の1周期)早く山をむかえるのです。これを「電流が電圧より90°進む」と言います。

なぜ?なぜコンデンサでは電流のほうが先に山をむかえるのか?

コンデンサに流れる電流は、電圧が変化している勢いの大きさで決まるからです。電圧が0から上がり始める瞬間(0°)は、電圧がいちばん急に増えているので電流は最大になります。逆に電圧が山のてっぺん(90°)にいる瞬間は、電圧の変化が止まるので電流は0です。

つまり、電圧が0のとき電流は最大、電圧が最大のとき電流は0です。グラフでいうと、0°の位置で電流iがすでに山のてっぺん近くにいるものが正解になります。

例4つのグラフを0°の位置で見比べる

イ … 0°でiは谷のいちばん下。vより90°遅れて山が来る → コイルのときの形

ロ … vとiが同時に0から上がり、同時に山になる → 抵抗のときの形

ハ … 0°でiが山のてっぺん。vより90°進んで山が来る → コンデンサのときの形

ニ … vが山のときiが谷。ちょうど逆向きで、抵抗・コイル・コンデンサ1つだけではこの形になりません

よって答えはハです。

用語コイルとは?

コイルとは、電線をぐるぐる巻いた部品のことです。モーターや変圧器の中にも入っています。

なぜ?なぜコイルでは電流が電圧より遅れるのか?

コイルには電流の変化をきらって、変わろうとするのを押しとどめる性質があるからです。電圧がかかっても電流はすぐには増えず、4分の1周期遅れてついてきます。コンデンサとはちょうど逆の動きです。

覚えるこの問題の覚え方

「抵抗はそろう、コンデンサは進む、コイルは遅れる」の3つをセットで覚えましょう。グラフでは0°の位置のiだけを見れば区別できます。0°でiが山=進み(コンデンサ)、谷=遅れ(コイル)、0から上がり始め=同じ(抵抗)です。

注意まちがえた人が選びやすい選択肢

イ … コンデンサとコイルを逆に覚えていると選んでしまう形です。イは電流が90°遅れているので、コイルだけの回路の波形です。

ロ … 電流と電圧がそろうのは抵抗だけの回路です。コンデンサでは90°ずれます。

ニ … 誤りです。ずれは180°(ちょうど逆向き)で、コンデンサの90°とは合いません。

問5

分野:電気の基礎(三相交流・Y結線)重要度 ★★★

図のような三相3線式回路に流れる電流I[A]は。

令和元年度下期 第二種電気工事士 筆記試験 問5 の回路図
イ.8.3
ロ.12.1
ハ.14.3
ニ.20.0
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正解

ロ.12.1[A]
この問題は何を聞いているの?

210Vの三相3線式の電源に、10Ωの抵抗を3つ、Y(スター)の形につないだ回路です。このとき電線1本に流れる電流Iを聞いています。ポイントは1つの抵抗に何Vかかっているかを正しく見ることです。

用語三相3線式(さんそうさんせんしき)とは?

三相3線式とは、3本の電線で電気を送る方式のことです。工場やビルのモーターなど、大きな電気を使う所で使われます。図の左の「3φ3W」は三相(3φ)・3線(3W)という意味の記号です。

なぜ?なぜ電線を3本使うのか?

3本の電線に、タイミングを少しずつずらした3つの交流を流すことで、少ない電線で多くの電気を効率よく送れるからです。モーターをなめらかに回しやすいという利点もあります。

用語Y結線(スター結線)とは?

Y結線とは、3つの負荷の片方のはしを1点にまとめ、もう片方をそれぞれの電線につなぐつなぎ方です。形がアルファベットのYに似ているので、Y(スター)結線と呼ばれます。

なぜ?なぜ図の形を見てY結線だと分かるのか?

3つの10Ωがまん中の1点から3方向に伸びているからです。三角形に3つをつないだ形はΔ(デルタ)結線と呼び、計算のしかたが変わるので、まず形を見分けることが大切です。

用語電線間の電圧(線間電圧)とは?

線間電圧とは、3本の電線のうち2本のあいだの電圧のことです。図の「210V」は、どの2本の間をはかっても210Vという意味です。

なぜ?なぜY結線では1つの抵抗に210Vがかからないのか?

Y結線では、電線2本のあいだに抵抗が2つ、まん中の点をはさんで並んでいるからです。ただし、3つの交流はタイミングがずれているので、210Vをきっちり半分ずつ分けるわけではありません。1つの抵抗にかかるのは210Vの√3分の1になります。

コツ√3(ルート3)は「1.73」として使う

√3は2回かけると3になる数で、約1.73です。問題の注意書きにも√3=1.73と書かれています。Y結線では線間電圧÷1.73=1つの負荷にかかる電圧と覚えておけば十分です。

1つの抵抗にかかる電圧を出してから、オームの法則

手順1 1つの抵抗にかかる電圧 = 線間電圧 ÷ √3 = 210 ÷ 1.73 = 約121.4V

手順2 1つの抵抗に流れる電流 = 電圧 ÷ 抵抗 = 121.4 ÷ 10 = 約12.1A

手順3 Y結線では電線に流れる電流=抵抗に流れる電流なので、I = 12.1A

よって答えはロの12.1Aです。

なぜ?なぜY結線では電線の電流と抵抗の電流が同じになるのか?

図の上の電線をたどると、途中で枝分かれせず、そのまま1つの10Ωにつながっているからです。1本道なので、電線を流れた電流は全部その抵抗を通ります。

覚えるこの問題の覚え方

「Yは電圧を√3で割る、電流はそのまま」と覚えましょう。Y結線では、1つの負荷にかかる電圧が線間電圧÷1.73になり、電線の電流は負荷の電流と同じです。形がYかΔかを最初に確かめるのが、三相の計算の出発点になります。

注意まちがえた人が選びやすい選択肢

ニ.20.0 … 210Vをそのまま10Ωで割ると21Aになり、いちばん近い20.0を選んでしまいます。Y結線では1つの抵抗に210Vはかからないので、√3で割るのを忘れないようにしましょう。

ハ.14.3 … 誤りです。Y結線では210÷1.73でまず1つの抵抗の電圧を出します。

イ.8.3 … 誤りです。210÷1.73÷10を計算すれば約12.1Aになります。

問6

分野:配電理論(単相3線式の中性線断線)重要度 ★★★

図のような単相3線式回路で,消費電力100 W,500 Wの2つの負荷はともに抵抗負荷である。図中の×印点で断線した場合,a−b間の電圧[V]は。
ただし,断線によって負荷の抵抗値は変化しないものとする。

令和元年度下期 第二種電気工事士 筆記試験 問6 の回路図
イ.33
ロ.100
ハ.167
ニ.200
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正解

ハ.167[V]
この問題は何を聞いているの?

家庭でも使われる単相3線式で、まん中の電線(中性線)が×印の所で切れたら、上の負荷(100W)に何Vかかるかを聞いています。切れる前は100Vだったのに、切れたあとは大きく変わってしまうことを確かめる問題です。

用語単相3線式(たんそうさんせんしき)とは?

単相3線式とは、3本の電線で、100Vと200Vの両方を取り出せる配線方式のことです。図の「1φ3W」がこの方式を表します。上と真ん中の間が100V、真ん中と下の間が100V、上と下の間が200Vです。

なぜ?なぜ3本の電線で100Vと200Vの両方が使えるのか?

100Vの電源を2つ縦に積み重ねた形になっているからです。片方だけ使えば100V、両はしを使えば100+100=200Vです。照明やコンセントは100V、エアコンなどは200Vと使い分けられます。

用語中性線(ちゅうせいせん)とは?

中性線とは、単相3線式のまん中の電線のことです。図で×印が付いている線がこれにあたります。

なぜ?なぜ中性線が切れると困るのか?

中性線は、上の負荷と下の負荷にそれぞれ100Vずつを分けて届ける役目をしているからです。これが切れると、2つの負荷は200Vの電源に1本道(直列)でつながった状態になり、電圧の分かれ方が負荷の抵抗の大きさで決まってしまいます。

用語抵抗負荷(ていこうふか)とは?

抵抗負荷とは、電熱器や白熱電球のように、抵抗だけでできている電気の使い道のことです。「負荷」は電気を使う側の機器をまとめて呼ぶ言葉です。

なぜ?なぜ図に100Ω・20Ωと抵抗値が書いてあるのか?

「100Vで100W」「100Vで500W」という情報から計算できる抵抗値を、あらかじめ書いてくれているからです。抵抗=電圧×電圧÷電力で、100×100÷100=100Ω、100×100÷500=20Ωとなります。問題文の「抵抗値は変化しない」は、断線後もこの値のまま計算してよいという意味です。

断線すると、2つの負荷は200Vに直列でつながる

×印で中性線が切れると、電気は上の電線 → 100Ω → b点 → 20Ω → 下の電線という1本道を通るしかありません。つまり200Vの電源に、100Ωと20Ωが直列でつながった回路になります。

なぜ?なぜ直列になると電圧が100Vずつに分かれなくなるのか?

1本道ではどちらの抵抗にも同じ電流が流れるので、かかる電圧は電流×抵抗、つまり抵抗の大きさに比例して分かれるからです。100Ωと20Ωなら、5対1の割合で200Vを分け合います。

手順1 直列の合成抵抗 = 100 + 20 = 120Ω

手順2 流れる電流 = 電圧 ÷ 抵抗 = 200 ÷ 120 = 約1.67A

手順3 a−b間(100Ωの負荷)の電圧 = 電流 × 抵抗 = 1.67 × 100 = 約167V

手順4 確かめ:下の20Ωの電圧 = 1.67 × 20 = 約33V。167 + 33 = 200Vで合計が合う

よって答えはハの167Vです。

比で解けば割り算が1回ですむ

100Ωと20Ωは5対1なので、200Vを6つに分けて、そのうち5つぶんが100Ωにかかると考えても同じ答えになります。200÷6×5=約167Vです。

注意中性線の断線が危険と言われる理由

断線前は100Vで使っていた100Wの機器に、167Vもかかることになるのです。小さい電力(抵抗が大きい)の機器ほど高い電圧がかかり、故障や発熱の原因になります。中性線は、それだけ大切な役目を持った電線なのです。

覚えるこの問題の覚え方

「中性線が切れたら、200Vに直列」と覚えましょう。あとは直列の電圧の分け方どおり、抵抗の大きい(電力の小さい)負荷ほど高い電圧を受け持ちます。100Wと500Wなら、電力が小さい100Wの側が167Vです。

注意まちがえた人が選びやすい選択肢

ロ.100 … 断線前の電圧のままです。中性線が切れると、上と下の負荷に100Vずつ届ける道がなくなることに注意しましょう。

イ.33 … 20Ω(500Wの負荷)にかかる電圧を答えた形です。聞かれているのはa−b間=上の100Ωのほうです。

ニ.200 … 電源全体の電圧です。200Vは100Ωと20Ωの2つで分け合っています。

問7

分野:配電理論(三相3線式の電圧降下)重要度 ★★★

図のような三相3線式回路で,電線1線当たりの抵抗が0.15 Ω,線電流が10 Aのとき,電圧降下(Vs−Vr)[V]は。

令和元年度下期 第二種電気工事士 筆記試験 問7 の回路図
イ.1.5
ロ.2.6
ハ.3.0
ニ.4.5
答え・解説を見る
正解

ロ.2.6[V]
この問題は何を聞いているの?

三相3線式で、電源側の電圧Vsと、負荷側に届いた電圧Vrの差を求める問題です。電線にも少し抵抗があるので、電気が電線を通るあいだに電圧が少し下がります。その下がり幅を計算する問題です。

用語電圧降下(でんあつこうか)とは?

電圧降下とは、電線に電流が流れることで、送った先の電圧が下がることです。下がる大きさは電流×電線の抵抗で決まります。

なぜ?なぜ電線を通ると電圧が下がるのか?

電線にもわずかな流れにくさ(抵抗)があり、そこを電流が通ると電流×抵抗のぶんだけ押す力が使われてしまうからです。長いホースの先ほど水の勢いが弱くなるのと似ています。

用語VsとVrとは?

Vsは電源側(送る側)の電線間の電圧、Vrは負荷側(受ける側)の電線間の電圧です。sは送る(send)、rは受ける(receive)の頭文字として使われます。

なぜ?なぜVs−Vrが電圧降下になるのか?

送った電圧から、届いた電圧を引けば、途中の電線で失われたぶんが残るからです。例えば202Vで送って200V届けば、電圧降下は2Vです。

用語線電流(せんでんりゅう)とは?

線電流とは、3本の電線それぞれに流れている電流のことです。図では3本とも10Aと書かれています。

なぜ?なぜ3本とも同じ10Aなのか?

負荷が三相とも同じ抵抗でつり合っているからです。3本の電流はタイミングがずれた交流ですが、大きさは同じになります。

1本ぶんの電圧降下に√3をかける

三相3線式の電圧降下は、電線1本ぶんの電圧降下(電流×抵抗)に√3(1.73)をかけて求めます。式で書くと電圧降下=√3×電流×電線1本の抵抗です。

なぜ?なぜ2倍でも3倍でもなく√3倍なのか?

電流×抵抗で出る1本ぶんの下がり(10×0.15=1.5V)は、負荷をY結線とみなしたときの「1つの負荷の電圧」から下がるぶんだからです。三相では電線間の電圧は1つの負荷の電圧の√3倍になる関係があるので、電線間で見た下がり幅も1.5Vの√3倍になります。3本の電流はタイミングがずれているため、単純に2本ぶんを足した3.0Vにはなりません。

手順1 電線1本ぶんの電圧降下 = 電流 × 抵抗 = 10 × 0.15 = 1.5V

手順2 三相3線式なので√3(1.73)をかける = 1.73 × 1.5 = 約2.6V

よって答えはロの2.6Vです。

例配線方式ごとの電圧降下のかけ算

単相2線式 … 行きと帰りの2本ぶん → 2×電流×抵抗

三相3線式 … タイミングのずれがあるので → √3×電流×抵抗

単相3線式(負荷がつり合っているとき) … 中性線に電流が流れないので → 1×電流×抵抗

覚えるこの問題の覚え方

電圧降下は「単相2線は2、三相3線は√3、つり合った単相3線は1」と、配線方式ごとのかける数で覚えましょう。計算はどれも電流×1本の抵抗から始めるので、そこにかける数を変えるだけです。

注意まちがえた人が選びやすい選択肢

イ.1.5 … 電線1本ぶん(10×0.15)だけで止めた形です。三相3線式では、最後に√3をかけます。

ハ.3.0 … 単相2線式の式(2×電流×抵抗)を使った形です。2×10×0.15=3.0Vになりますが、三相3線式は2ではなく√3をかけます。

ニ.4.5 … 電線が3本だからと3をかけた形です。3×10×0.15=4.5Vになりますが、かける数は√3です。

問8

分野:配線設計(許容電流と電流減少係数)重要度 ★★★

合成樹脂製可とう電線管(PF管)による低圧屋内配線工事で,管内に断面積5.5 mm²の600 Vビニル絶縁電線(軟銅線)3本を収めて施設した場合,電線1本当たりの許容電流[A]は。
ただし,周囲温度は30 ℃以下,電流減少係数は0.70とする。

イ.26
ロ.34
ハ.42
ニ.49
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正解

ロ.34[A]
この問題は何を聞いているの?

太さ5.5mm²の電線を3本、1本の管の中にまとめて通したとき、電線1本に何Aまで流してよいかを聞いています。表で覚えた数字に、問題文の係数をかけるだけの問題です。

用語合成樹脂製可とう電線管(PF管)とは?

PF管とは、プラスチックでできた、手で曲げられる管のことです。「可とう」は曲げられるという意味で、この管の中に電線を通して守ります。

なぜ?なぜ電線を管の中に通すのか?

電線を傷や湿気、ぶつかりから守るためです。壁の中や床下など、電線がむき出しだと傷みやすい場所で使われます。

用語600Vビニル絶縁電線(IV線)とは?

600Vビニル絶縁電線とは、銅線のまわりをビニルで1層だけ包んだ電線のことです。600Vまでの電圧で使えます。「軟銅線」はやわらかく加工した銅の線という意味です。

なぜ?なぜ「絶縁」と付いているのか?

銅線のまわりのビニルが、電気がほかへ漏れないよう絶縁(ぜつえん=電気を通さないようにすること)しているからです。

用語許容電流(きょようでんりゅう)とは?

許容電流とは、その電線に流し続けても安全な電流の上限のことです。これをこえると電線が熱くなりすぎて、ビニルが傷んだり火災の原因になったりします。

なぜ?なぜ電線ごとに許容電流が決まっているのか?

電線に電流を流すと抵抗のために熱が出るからです。太い電線ほど抵抗が小さく熱が出にくいので、太いほど許容電流は大きくなります。

用語電流減少係数(でんりゅうげんしょうけいすう)とは?

電流減少係数とは、電線を管にまとめて入れたとき、許容電流を小さくするためにかける数のことです。この問題では0.70と指定されています。

なぜ?なぜ管にまとめて入れると流せる電流が減るのか?

管の中は熱が逃げにくく、さらにとなりの電線どうしが温め合うからです。空気中に1本だけ張るより熱がこもるので、安全のために流せる電流を少なく見積もります。

覚えておく表は「電線1本の許容電流」

まず、電線を1本だけ使うときの許容電流(周囲温度30℃以下)を表から引きます。5.5mm²の600Vビニル絶縁電線は49Aです。

覚える600Vビニル絶縁電線の許容電流(周囲温度30℃以下)

単線(直径) … 1.6mm=27A/2.0mm=35A/2.6mm=48A

より線(断面積) … 2mm²=27A/3.5mm²=37A/5.5mm²=49A/8mm²=61A

なぜ?なぜ「周囲温度は30℃以下」と書いてあるのか?

表の許容電流はまわりの温度が30℃以下のときの値だからです。もっと暑い場所では熱が逃げにくくなり、さらに減らす必要があるのです。この一文で、表の数字をそのまま使ってよいと分かります。

手順1 5.5mm²の電線1本の許容電流を表から引く = 49A

手順2 管に3本まとめて入れるので、係数0.70をかける = 49 × 0.70 = 34.3A

手順3 選択肢でいちばん近いのは 34A

よって答えはロの34Aです。

覚えるこの問題の覚え方

「表の数字×係数」の2段で解けます。表の5.5mm²=49Aを覚えておけば、あとは問題文に書かれた係数(今回は0.70)をかけるだけです。係数は問題文に書いてあることが多いので、読み落とさないことが大切です。

注意まちがえた人が選びやすい選択肢

ニ.49 … 表の49Aをそのまま答えた形です。管にまとめて入れたときは係数をかけるのを忘れないようにしましょう。

イ.26 … 3.5mm²の37Aと取り違えて係数をかけると、37×0.70=25.9≒26Aになります。5.5mm²は49Aです。

ハ.42 … 誤りです。49×0.70を計算すれば34Aになります。

問9

分野:配線設計(幹線から分岐する電線の許容電流)重要度 ★★★

図のように定格電流50 Aの過電流遮断器で保護された低圧屋内幹線から分岐して,7 mの位置に過電流遮断器を施設するとき,a−b間の電線の許容電流の最小値[A]は。

令和元年度下期 第二種電気工事士 筆記試験 問9 の配線図
イ.12.5
ロ.17.5
ハ.22.5
ニ.27.5
答え・解説を見る
正解

ロ.17.5[A]
この問題は何を聞いているの?

太い電線(幹線)から細い電線を枝分かれさせ、7m先にブレーカーを付けるとき、その7mの区間(a−b間)の電線は、最低何Aまで流せるものが必要かという問題です。距離ごとの決まりを覚えていれば、かけ算1回で答えが出ます。

用語幹線(かんせん)とは?

幹線とは、電気の入口から各部屋の分電盤などへ電気を運ぶ、太い電線のことです。木の幹のように、ここから枝分かれしていきます。

なぜ?なぜ幹線は太いのか?

幹線には、その先で使うすべての機器の電流がまとめて流れるからです。たくさんの電流に耐えられるよう、太い電線を使います。

用語過電流遮断器(かでんりゅうしゃだんき)とは?

過電流遮断器とは、決められた電流をこえたら自動で電気を切る装置のことです。ブレーカーやヒューズがこれにあたります。図の四角の中にBと書かれた記号がブレーカーです。

なぜ?なぜ電気を自動で切る装置が必要なのか?

電線に許容電流をこえる電流が流れ続けると、熱で傷んで火災の原因になるからです。こえたらすぐ切ることで、電線を守ります。

用語許容電流(きょようでんりゅう)とは?

許容電流とは、その電線に流し続けても安全な電流の上限のことです。細い電線ほど小さくなります。

なぜ?なぜ分岐した細い電線が問題になるのか?

分岐点からブレーカーb までのあいだは、幹線側の50Aのブレーカーしか守ってくれないからです。細い電線に50A近く流れても、50Aのブレーカーは切れません。そこで、この区間の電線の太さに条件が付けられています。

分岐点からの距離で、必要な許容電流が変わる

分岐点aからブレーカーbまでの距離によって、a−b間の電線に必要な許容電流が決まっています。基準になるのは、幹線を守っているブレーカーの定格電流(この問題では50A)です。

覚える幹線から分岐するときの決まり

3m以下 … 電線の太さに特別な条件なし

3mをこえて8m以下 … 幹線のブレーカーの35%以上の許容電流

8mをこえる … 幹線のブレーカーの55%以上の許容電流

なぜ?なぜ距離が長いほど太い電線が必要になるのか?

細い電線の区間が長いほど、どこかで傷んだりショートしたりする危険が増えるからです。距離が短ければ危険は小さいので条件はゆるく、長くなるほど太い(許容電流の大きい)電線を求める決まりになっています。

手順1 分岐点aからブレーカーbまでの距離を図で読む = 7m

手順2 7mは「3mをこえて8m以下」にあたる → 35%以上

手順3 必要な許容電流 = 50 × 0.35 = 17.5A

よって答えはロの17.5Aです。

覚えるこの問題の覚え方

「3m・8m」と「35%・55%」を組にして覚えましょう。3mまでは自由、8mまでは35%、それより先は55%です。かける相手は幹線を守るブレーカーの定格電流で、分岐先の機器の電流ではありません。

注意まちがえた人が選びやすい選択肢

ニ.27.5 … 8mをこえるときの55%を使った形です。50×0.55=27.5Aになりますが、今回は7mなので35%です。

イ.12.5 … 誤りです。7mは「3mをこえて8m以下」なので、50Aに35%をかけます。

ハ.22.5 … 誤りです。距離の決まりに出てくる割合は35%と55%の2つだけです。

問10

分野:配線設計(分岐回路の電線とコンセント)重要度 ★★★

定格電流30 Aの配線用遮断器で保護される分岐回路の電線(軟銅線)の太さと,接続できるコンセントの図記号の組合せとして,適切なものは。
ただし,コンセントは兼用コンセントではないものとする。

令和元年度下期 第二種電気工事士 筆記試験 問10 の選択肢(電線の太さとコンセントの図記号)
答え・解説を見る
正解

ニ.断面積5.5 mm²・定格20Aの2口コンセント
この問題は何を聞いているの?

30Aのブレーカーで守られた回路に、どの太さの電線と、どのコンセントを組み合わせてよいかを聞いています。1つの対応表と、コンセントの図記号の読み方が分かれば解ける問題です。

用語分岐回路(ぶんきかいろ)とは?

分岐回路とは、分電盤(ブレーカーが並んだ箱)から枝分かれして、部屋のコンセントや照明につながる回路のことです。

なぜ?なぜ回路を分けるのか?

1か所の故障で家じゅうの電気が止まらないようにするためと、1つの回路に電気を使いすぎないようにするためです。

用語配線用遮断器(はいせんようしゃだんき)とは?

配線用遮断器とは、決められた電流をこえたら自動で電気を切り、何度でも入れ直して使える装置のことです。家庭の分電盤に並んでいるブレーカーがこれにあたります。

なぜ?なぜ「配線用」と付いているのか?

守っている相手が配線(電線)だからです。電流が流れすぎて電線が焼けるのを防ぐための装置で、人を感電から守る漏電遮断器とは役割が違います。

用語コンセントの図記号とは?

図面でコンセントを表す記号で、丸の中に横線が2本入った形です。丸の左半分が黒いのは壁に取り付けるタイプであることを表します。記号の横に何も書いていなければ定格15A・1口です。

なぜ?なぜ記号の横に「2」や「20A」と書くのか?

数字だけ(2・3)は差し込み口の数(口数)、「20A」は定格電流を表すからです。何も書かなければ15A、1口という決まりなので、選択肢の記号は次のように読みます。

例選択肢のコンセントの読み方

イ 横に「2」 … 15Aの2口コンセント

ロ 横に「3」 … 15Aの3口コンセント

ハ 横に「20A」 … 20Aの1口コンセント

ニ 横に「20A」と「2」 … 20Aの2口コンセント

用語定格電流(ていかくでんりゅう)とは?

定格電流とは、その機器が安全に使える、決められた電流の値のことです。ブレーカーなら「この電流をこえたら切る」値、コンセントなら「ここまで流してよい」上限です。

なぜ?なぜコンセントにも定格電流があるのか?

コンセントの中の金属の板や差し込み口にも、流せる電流の限界があるからです。限界をこえると、接触している部分が発熱して溶けることがあります。

30Aの回路の決まりは「電線2.6mm以上・コンセント20A〜30A」

覚える分岐回路の組合せ表(よく出る部分)

20A 配線用遮断器 … 電線1.6mm以上 / コンセント20A以下

30A … 電線2.6mm(または5.5mm²)以上 / コンセント20A以上30A以下

40A … 電線8mm²以上 / コンセント30A以上40A以下

なぜ?なぜ30Aの回路に15Aのコンセントを付けてはいけないのか?

ブレーカーが落ちてくれないからです。30Aの回路に15Aのコンセントを付けると、そのコンセントに20A・25Aと流れて熱くなっても、ブレーカーは30Aまで切れません。そのため、30Aの回路には20A以上のコンセントという決まりがあります。

見るところは「電線」と「コンセント」の2つです。どちらか1つでも決まりから外れていたら、その選択肢は誤りです。

例選択肢を1つずつ表と照らし合わせる

イ 5.5mm²/15A・2口 … 電線はOK。しかし15Aは30A回路には小さすぎる → 誤り

ロ 3.5mm²/15A・3口 … 電線が5.5mm²より細い。コンセントも15Aで小さすぎる → 誤り

ハ 直径2.0mm/20A・1口 … コンセントはOK。しかし電線が2.6mmより細い → 誤り

ニ 5.5mm²/20A・2口 … 電線は5.5mm²以上でOK、コンセントも20A以上30A以下でOK → 適切

よって答えはニです。

用語「兼用コンセントではない」とは?

兼用コンセントとは、15A用と20A用の両方のプラグが差せるコンセントのことです。この一文は、記号どおりの定格だけを持つコンセントとして考えなさいという意味です。

なぜ?なぜこの断り書きが必要なのか?

兼用コンセントは15Aと20Aの両方の扱いを受けるので、当てはめ方が変わってしまうからです。この一文で、表をそのまま当てはめてよいと決まります。

覚えるこの問題の覚え方

「電線は細すぎると使えない、コンセントは大きすぎても小さすぎても使えない」の2つで選択肢を絞りましょう。30Aの回路は電線2.6mm(5.5mm²)以上、コンセント20A〜30Aです。図記号は数字だけなら口数、Aが付けば定格、何もなければ15Aと読みます。

注意まちがえた人が選びやすい選択肢

ハ.直径2.0mm・20Aコンセント … コンセントだけ見て正しいと思ったときに選びやすい形です。コンセントは合っていますが、30Aの回路に2.0mmの電線は細すぎます。

イ.断面積5.5mm²・15A2口コンセント … 電線は合っていますが、定格の数字が書いていない=15Aであることを忘れると選びやすい形です。15Aは30A回路には小さすぎます。

ロ.断面積3.5mm²・15A3口コンセント … 誤りです。電線もコンセントも決まりを満たしていません。

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この記事のまとめ

問1〜10で使った考え方を、1問1行でふり返りましょう。解き終わったあとにここだけ読み返すと、記憶に残りやすくなります。

まとめこの10問で持ち帰ること

問1 合成抵抗 … 内側の並列(6Ωと6Ω=3Ω)→直列(+3Ω=6Ω)→外側の並列(6Ωと3Ω)の順で2Ω

問2 電線の抵抗 … 直径2.6mmは断面積に直すと約5.3mm²。長さが同じなので5.5mm²が最も近い

問3 発熱量 … W×秒=J。500×5 400秒=2 700 000J=2 700kJ

問4 コンデンサの波形 … 抵抗はそろう、コンデンサは電流が90°進む、コイルは遅れる

問5 Y結線の電流 … 1つの抵抗の電圧は210÷1.73=121V。÷10Ωで12.1A

問6 中性線の断線 … 200Vに100Ωと20Ωが直列。100Ωの側に約167V

問7 三相の電圧降下 … √3×電流×1本の抵抗。1.73×10×0.15=2.6V

問8 許容電流 … 5.5mm²=49A。係数0.70をかけて約34A

問9 幹線からの分岐 … 3m以下は自由、8mまで35%、それより先は55%。7mなので50×0.35=17.5A

問10 分岐回路 … 30Aは電線2.6mm(5.5mm²)以上・コンセント20A〜30A。記号の数字だけは口数

この10問の計算の土台は、オームの法則(電圧=電流×抵抗)と電力(電圧×電流)でした。そこに√3や時間の換算が加わり、残りは覚えた表や決まりに当てはめる問題です。新しい式を増やすより、この2本の使い方と表の数字に慣れることが近道になるでしょう。

出典

2019年度下期第二種電気工事士試験
問題・図・写真・解答は一般財団法人 電気技術者試験センターが公表しているものです。

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学科のあとは、技能試験の準備が要ります

技能試験は40分で実際に配線を組み立てる試験です。工具と練習用の材料がないと1問も練習できません。通信講座は必要か、材料は買うか借りるか——実際の価格で比べました。

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