第二種電気工事士の筆記試験を、電気の知識がまったくない人でも読み進められるように1問ずつ解説します。このページは令和3年度 上期・午前(2021年5月30日実施)の問1〜10です。

問1〜問10には計算問題と配線の決まりがまとまって出てきます。数字が並ぶと身構えてしまいますが、土台になるのはオームの法則(電圧=電流×抵抗)と電力の式が中心です。この記事では、図のどこを見て、どの順番に数字を入れるのかを1段ずつ言葉で書いていきます。各問題の下の「答え・解説を見る」を開くと、答えと考え方が出てくる作りです。まず自分で考えてから開くと、理解が深まりやすくなります。

この記事の問題はどこから?

問題文・図・写真・解答は、試験を実施している一般財団法人 電気技術者試験センターが公表しているものです。
出典:令和3年度上期第二種電気工事士試験(午前)

問1

分野:電気の基礎(直列回路の電圧)重要度 ★★★

図のような回路で,スイッチSを閉じたとき,a-b端子間の電圧[V]は。

令和3年度上期 第二種電気工事士 筆記試験 午前 問1 の回路図
イ.30
ロ.40
ハ.50
ニ.60
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正解

ハ.50[V]
この問題は何を聞いているの?

図の右はしにある「a」と「b」の2つの出口の間に、何ボルトの電圧が出ているかを聞いています。スイッチSを閉じたことで回路の形が変わるのがポイントです。まずは、出てくる言葉を1つずつ確かめていきましょう。

用語電圧[V]とは?

電圧とは、電気を押し出す力のことです。単位はV(ボルト)で、数字が大きいほど電気を強く押し出します。図の左にある「100V」の記号は電池(直流電源)で、100Vの力で電気を押し出しています。

なぜ?なぜ電圧を「押し出す力」と考えるのか?

電気の流れは水の流れに例えると分かりやすくなります。高い所にあるタンクほど水を勢いよく押し出せるように、電圧が高いほど電気を強く押し出せるからです。

用語抵抗[Ω]とは?

抵抗とは、電気の流れにくさのことです。単位はΩ(オーム)で、図の細長い長方形が抵抗を表します。この問題には30Ωの抵抗が4つ描かれています。

なぜ?なぜ回路に抵抗があると電圧が「分かれる」のか?

電気が抵抗を通り抜けるたびに、押し出す力(電圧)が少しずつ使われていくからです。坂道を下る水が、段差を1つ下りるごとに高さを失っていくイメージです。

用語端子(たんし)とは?

端子とは、電気を取り出したり、機械をつないだりするための出口のことです。図の右にある小さな白い丸が端子で、上がa、下がbです。

なぜ?なぜ端子aの先には何もつながっていないのか?

この問題は「何もつないでいない状態で、aとbの間に何Vが出ているか」を調べる設定だからです。電圧を測る道具(電圧計)を当てて読む場面を思い浮かべてください。

スイッチSを閉じると、上の30Ωは「ないもの」になる

図の上のまん中を見ると、30Ωの抵抗の真下にスイッチSが並んでいます。抵抗とスイッチが同じ2つの点を、上と下の2本の道でつないでいる形です。

用語短絡(たんらく)とは?

短絡とは、抵抗のある部品を、抵抗のない電線やスイッチでまたいでしまうことです。「ショート」とも呼ばれます。またがれた部品には電流が流れないので、計算ではないものとして扱えます。

なぜ?なぜ電気は抵抗のほうを通らなくなるのか?

電気は通りやすい道へ流れる性質があるからです。30Ωの道と、ほぼ0Ωのスイッチの道が並んでいれば、電気はスイッチ側を通ります。広い道と細い道が並んでいたら、車が広い道に集まるのと同じです。

右上の30Ωには電流が流れない

次に右上の30Ωを見ます。この抵抗の先は端子aで止まっていて、どこにもつながっていません。

用語開放(かいほう)とは?

開放とは、回路の先がどこにもつながらず、途切れている状態のことです。行き止まりの道と同じで、そこには電流が流れません。

なぜ?なぜ行き止まりの道には電流が流れないのか?

電気は電源から出て、ぐるっと回って電源に戻ってこないと流れないからです。右上の30Ωは先が途切れているので、電気の帰り道がありません。

なぜ?なぜ電流が流れない抵抗は電圧に影響しないのか?

抵抗で使われる電圧は電流×抵抗で決まるからです(これがオームの法則です)。電流が0なら、30×0=0V。つまり右上の30Ωの両はしは同じ電圧になり、aの電圧は縦の30Ωの上はしと同じになります。

残るのは「30Ωが2本の1本道」

ここまでで、上の30Ω(短絡)と右上の30Ω(電流が流れない)を外しました。電流が流れるのは、電源 → 左上の30Ω → スイッチS → 縦の30Ω → 電源という1本道です。

用語直列(ちょくれつ)とは?

直列とは、部品が1本道に並んでつながっている形のことです。直列の抵抗には同じ大きさの電流が流れ、電源の電圧は抵抗の大きさの割合で分け合われます。

なぜ?なぜ同じ大きさの抵抗なら電圧を半分ずつ分け合うのか?

同じ電流が流れる1本道なので、使われる電圧(電流×抵抗)は抵抗の大きさに比例するからです。30Ωと30Ωなら同じだけ使うので、100Vを50Vずつ分け合います。

1ステップずつ計算する

手順1 スイッチSが閉じているので、上の30Ωは短絡されて計算から外す。

手順2 右上の30Ωは先が端子aで止まっているので電流が流れない。電圧も使わない。

手順3 電流が流れる道の抵抗は 30 + 30 = 60Ω

手順4 流れる電流は 100 ÷ 60 = 約1.67A(オームの法則:電流=電圧÷抵抗)

手順5 縦の30Ωで使われる電圧は 1.67 × 30 = 約50V

手順6 a-b間の電圧は縦の30Ωの両はしの電圧と同じなので 50V

よって答えはハの50Vです。手順4〜5を計算しなくても、同じ30Ωが2本なら100Vを半分ずつと考えれば、すぐに50Vと分かります。

用語オームの法則とは?

オームの法則とは、電圧=電流×抵抗という関係のことです。並べかえると電流=電圧÷抵抗、抵抗=電圧÷電流にもなります。

なぜ?なぜ電圧と電流と抵抗はこの式で結ばれるのか?

押し出す力(電圧)が強いほど電流は多く流れ、流れにくさ(抵抗)が大きいほど電流は少なくなるからです。たとえば100Vで60Ωなら、100÷60=約1.67Aが流れます。

覚えるこの問題の覚え方

「閉じたスイッチの横の抵抗は消す。行き止まりの抵抗も消す」。消し終わったら、残った直列の抵抗で電圧を割合どおりに分けるだけです。消す作業を先に済ませると、回路がぐっと単純になります。

注意まちがえた人が選びやすい選択肢

イ.30 … スイッチSを閉じたことを見落とした人が選びやすい数字です。上の30Ωも残すと、抵抗は30+30+30=90Ω。縦の30Ωが使う電圧は100×30÷90=約33Vで、選択肢の中ではイの30が最も近くなります。

ロ.40/ニ.60 … どちらも誤りです。スイッチで消える抵抗と、電流が流れない抵抗の2つを外したあと、残る2本の30Ωで100Vを半分ずつ分けることを確かめましょう。

問2

分野:電気の基礎(オームの法則と電力の式)重要度 ★★☆

抵抗R[Ω]に電圧V[V]を加えると,電流I[A]が流れ,P[W]の電力が消費される場合,抵抗R[Ω]を示す式として,誤っているものは。

令和3年度上期 第二種電気工事士 筆記試験 午前 問2 の選択肢(4つの式)
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正解

イ.PI/V
この問題は何を聞いているの?

抵抗Rを、電圧V・電流I・電力Pを使って表した式が4つ並んでいます。その中から「誤っているもの」を1つ選ぶ問題です。正しいものを選ぶ問題ではない点に気をつけましょう。数字は出てきませんが、2本の基本の式を知っていれば解けます。

なお、選択肢の式はそれぞれ イ.PI÷V ロ.P÷I² ハ.V²÷P ニ.V÷I という意味です(横線の上を下で割る、という書き方です)。

用語電力[W]とは?

電力とは、電気が1秒間に行う仕事の量のことです。単位はW(ワット)です。電気ストーブの「1000W」や電球の「60W」がこれで、数字が大きいほど多くの熱や光を出します。

なぜ?なぜ電力は「電圧×電流」で表せるのか?

押し出す力(電圧)が強いほど、また流れる量(電流)が多いほど、電気は多くの仕事をするからです。水車に当てる水も、勢いが強く量が多いほどよく回ります。たとえば100Vで2A流れれば、100×2=200Wです。

土台になる2本の式

覚えるこの2本だけは必ず覚える

① オームの法則 … V=I×R(電圧=電流×抵抗)

② 電力の式 … P=V×I(電力=電圧×電流)

選択肢の4つの式は、すべてこの2本を組み合わせて作れるかどうかで見分けられます。正しいものから順番に確かめていきましょう。

ニ.V÷I は正しい

①のV=I×Rの両方をIで割ると、R=V÷Iになります。オームの法則そのものなので、ニは正しい式です。

なぜ?なぜ両方を同じ数で割ってもよいのか?

等しいもの同士を同じ数で割っても、等しいままだからです。たとえば 6=2×3 の両方を2で割ると 3=3 となり、関係は崩れません。

ロ.P÷I² は正しい

②のP=V×IのVに、①のI×Rを入れます。するとP=I×R×I=I²×Rです。両方をI²で割るとR=P÷I²となり、ロは正しい式です。

用語2乗(にじょう)とは?

2乗とは、同じ数を2回かけることです。I²は「I×I」を短く書いたもので、たとえばIが3なら3×3=9になります。

なぜ?なぜ電流が2回かけ算に出てくるのか?

電力は「電圧×電流」で、その電圧も「電流×抵抗」で決まるからです。電流が電圧の中にも入っているので、合わせて2回かけることになります。

ハ.V²÷P は正しい

今度は①をI=V÷Rに並べかえて、②に入れます。P=V×V÷R=V²÷Rです。これをRについて解くとR=V²÷Pとなり、ハも正しい式です。

イ.PI÷V は誤り

イの式に、②のP=V×Iを入れてみます。PI÷V=V×I×I÷V=I²。Vが消えて電流の2乗が残るだけで、抵抗にはなりません。よって誤っているのはイです。

例数字を入れて確かめる

抵抗R=10Ωに電圧V=20Vを加えると、電流はI=20÷10=2A、電力はP=20×2=40Wです。

ニ:20÷2=10 ロ:40÷(2×2)=10 ハ:(20×20)÷40=10 → どれも10Ωで正しい

イ:40×2÷20=4 → 10Ωにならないので誤り

なぜ?なぜ数字を入れて確かめると安心なのか?

文字だけの式は、並べかえの途中でかけ算と割り算を取り違えても気づきにくいからです。簡単な数字(10Ω・20Vなど)を入れて同じ答えになるかを見れば、試験中でも短い時間で確かめられます。

コツ式の見分け方

抵抗は「電圧を電流で割った値」なので、正しい式は電圧が上(分子)に、電流が下(分母)に来やすい形です。イは電流Iが上に、電圧Vが下にあり、逆向きになっています。

覚えるこの問題の覚え方

「V=IR」と「P=VI」の2本から、P=I²RとP=V²/Rが作れる。迷ったら10Ω・20Vのような簡単な数字を入れて確かめましょう。

注意まちがえた人が選びやすい選択肢

ロ・ハ・ニ … この3つはどれも正しい式です。この問題は「誤っているもの」を選ぶので、正しい式を選ぶと不正解になります。問題文の「誤っているものは」を最初に確かめる習慣をつけましょう。

問3

分野:電気の基礎(接触抵抗の発熱量)重要度 ★★★

電線の接続不良により,接続点の接触抵抗が0.5Ωとなった。この電線に20Aの電流が流れると,接続点から1時間に発生する熱量[kJ]は。
ただし,接触抵抗の値は変化しないものとする。

イ.72
ロ.144
ハ.720
ニ.1 440
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正解

ハ.720[kJ]
この問題は何を聞いているの?

電線のつなぎ目がうまくつながっていないと、そこに余計な抵抗が生まれます。その抵抗に電流が流れたとき、1時間でどれだけの熱が出るかを聞いている問題です。答えの単位がkJ(キロジュール)である点に注意しましょう。

用語接触抵抗(せっしょくていこう)とは?

接触抵抗とは、電線と電線、電線と器具のつなぎ目で生まれる抵抗のことです。ねじのゆるみや、よじれた接続などで触れ合う面積が小さくなると、大きくなります。

なぜ?なぜ接続不良だと抵抗が大きくなるのか?

電気が通れる「接している部分」が狭くなるからです。広い橋が細い橋に変わると渡りにくくなるように、通り道が狭くなるほど電気は流れにくくなります。

なぜ?なぜ接触抵抗が問題になるのか?

抵抗に電流が流れると熱が出るからです。つなぎ目が熱くなり続けると、電線の被覆(外側のビニール)が溶けたり、まわりの物が焦げたりして、火災の原因になることがあります。電気工事で「接続はしっかり」と言われる理由の1つです。

用語熱量[J]とは?

熱量とは、出た熱の量のことです。単位はJ(ジュール)で、1Wの電力を1秒間使うと1Jの熱になります。1kJ(キロジュール)=1000Jです。

なぜ?なぜ「電力×秒」で熱量になるのか?

電力(W)は1秒あたりに出る熱の量を表しているからです。1秒で200Jの熱が出るなら、10秒では200×10=2000Jになります。時間が長いほど熱がたまっていくイメージです。

まず、つなぎ目で使われる電力を求める

抵抗で使われる電力は、電流×電流×抵抗(P=I²R)で求めます。この問題では電流が20A、抵抗が0.5Ωです。

なぜ?なぜ電力を「電流×電流×抵抗」で求めるのか?

電力は電圧×電流で、つなぎ目にかかる電圧は電流×抵抗(オームの法則)だからです。電圧の所に「電流×抵抗」を入れると、電流×抵抗×電流=電流×電流×抵抗になります。この問題は電圧が分からないので、この形が便利です。

1時間を秒に直す

コツ1時間=3600秒

1時間は60分、1分は60秒なので、1時間=60×60=3600秒です。熱量の計算は秒で行うので、時間が出てきたら最初に秒に直しましょう。

1ステップずつ計算する

手順1 つなぎ目の電力 = 20 × 20 × 0.5 = 400 × 0.5 = 200W

手順2 1時間を秒に直す → 60 × 60 = 3600秒

手順3 熱量 = 200 × 3600 = 720 000J

手順4 kJに直す(1000で割る) → 720 000 ÷ 1000 = 720kJ

よって答えはハの720kJです。200Wといえば、小さな電気ヒーター並みの熱です。それがつなぎ目の1か所に集中して出続けると考えると、接続不良がいかに危険か分かるでしょう。

覚えるこの問題の覚え方

熱量[J]=電流×電流×抵抗×秒。時間は秒に直す(1時間=3600秒)、最後にkJへ(1000で割る)。この3つを順番に済ませれば、迷わず解けます。

注意まちがえた人が選びやすい選択肢

ニ.1 440 … 抵抗の0.5をかけ忘れた人が選ぶ数字です。20×20×3600=1 440 000J=1 440kJになります。

イ.72/ロ.144 … どちらも誤りです。電流は2回かけること、1時間は3600秒であることを確かめましょう。

問4

分野:電気の基礎(交流回路の消費電力)重要度 ★★★

図のような抵抗とリアクタンスとが並列に接続された回路の消費電力[W]は。

令和3年度上期 第二種電気工事士 筆記試験 午前 問4 の回路図
イ.500
ロ.625
ハ.833
ニ.1 042
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正解

ロ.625[W]
この問題は何を聞いているの?

100Vの交流の電源に、16Ωの抵抗と12Ωのリアクタンス(コイル)が並列につながっています。この回路全体で実際に使われる電力(消費電力)は何Wかを聞いている問題です。

用語交流(こうりゅう)とは?

交流とは、電気の流れる向きが、1秒間に何十回も行ったり来たりする電気のことです。家庭用コンセントの電気は交流です。図の電源の丸の中にある「~」の記号が交流を表します。

なぜ?なぜこの問題では交流であることが大事なのか?

交流の回路では、抵抗とは別に「リアクタンス」という流れにくさが現れるからです。直流(向きが変わらない電気)ではこの問題は成り立ちません。

用語リアクタンスとは?

リアクタンスとは、コイルやコンデンサが交流に対して示す流れにくさのことです。単位は抵抗と同じΩを使います。図の右側のぐるぐる巻きの記号がコイルで、そのリアクタンスが12Ωという意味です。

なぜ?なぜコイルは電力を消費しないのか?

コイルは電気をいったん磁気の形でためて、すぐに電源へ返す動きをくり返すからです。電気を熱や光に変えて使い切るわけではないので、差し引きの消費電力は0になります。

用語消費電力とは?

消費電力とは、電気が熱や光、動きなどに変わって実際に使われた分の電力のことです。単位はW(ワット)を使います。交流の回路では、消費電力が出るのは抵抗だけです。

なぜ?なぜ抵抗だけが電力を消費するのか?

抵抗は流れてきた電気を熱に変えてしまう部品だからです。電気ストーブが温かくなるのは、中の抵抗が電気を熱に変えているからだといえます。一方、コイルは上で見たとおり、ためた電気を返すだけです。

用語並列(へいれつ)とは?

並列とは、部品が横に並んで、それぞれ電源の両はしに直接つながっている形のことです。並列の部品には、どれにも電源と同じ電圧がかかります。

なぜ?なぜ並列だと、どの部品にも同じ電圧がかかるのか?

どの部品も、電源の上の線と下の線に直接つながっているからです。家庭のコンセントに何をつないでも100Vなのと同じで、16Ωの抵抗にも12Ωのコイルにも100Vがそのままかかります。

抵抗に流れる電流だけを使う

消費電力は抵抗だけで出るので、16Ωの抵抗だけに注目します。並列なので、16Ωには電源と同じ100Vがかかっています。

手順1 16Ωにかかる電圧は電源と同じ → 100V

手順2 16Ωに流れる電流 = 100 ÷ 16 = 6.25A(オームの法則:電流=電圧÷抵抗)

手順3 消費電力 = 6.25 × 6.25 × 16 = 625W(電流×電流×抵抗)

手順4 (別の求め方) 100 × 100 ÷ 16 = 10 000 ÷ 16 = 625W(電圧×電圧÷抵抗)

よって答えはロの625Wです。12Ωのコイルの数字は、消費電力の計算には使いません。

なぜ?なぜ手順4の「電圧×電圧÷抵抗」でも求められるのか?

電力は電圧×電流で、電流は電圧÷抵抗だからです。電流の所に「電圧÷抵抗」を入れると、電圧×電圧÷抵抗になります。100×(100÷16)=100×6.25=625Wと、手順3と同じ答えになります。

覚えるこの問題の覚え方

「交流の消費電力は、抵抗の分だけ」。コイル(リアクタンス)の数字は電力の計算に入れません。並列なら抵抗に電源の電圧がそのままかかるので、100×100÷16の1行で解けます。

注意まちがえた人が選びやすい選択肢

ハ.833 … コイルの12Ωで計算してしまった人が選ぶ数字です。100×100÷12=約833になります。コイルは電力を消費しないので、使うのは16Ωのほうです。

ニ.1 042 … 回路全体の電流と電圧をかけ算した人が選ぶ数字です。抵抗の電流6.25Aとコイルの電流(100÷12=約8.33A)は、交流では向きのずれがあるので、単純な足し算ではまとまりません。正しくまとめると全体の電流は約10.4Aで、100×10.4=約1 042。これは皮相電力(見かけの電力)と呼ばれる量で、消費電力ではありません。

イ.500 … 並列なのに直列だと思った人が選びやすい数字です。抵抗とリアクタンスが直列なら、まとめた流れにくさは√(16×16+12×12)=20Ωで、100×100÷20=500になります。図では2つが横に並んでいるので並列です。

問5

分野:電気の基礎(三相交流・断線時の電圧)重要度 ★★☆

図のような三相3線式200Vの回路で,c-o間の抵抗が断線した。断線前と断線後のa-o間の電圧Vの値[V]の組合せとして,正しいものは。

令和3年度上期 第二種電気工事士 筆記試験 午前 問5 の回路図
イ.断線前 116 断線後 116
ロ.断線前 116 断線後 100
ハ.断線前 100 断線後 116
ニ.断線前 100 断線後 100
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正解

ロ.断線前 116[V] 断線後 100[V]
この問題は何を聞いているの?

3本の電線で電気を送る三相3線式の回路に、同じ大きさの抵抗Rが3つ、Y字の形につながっています。このうちc-o間の抵抗が切れた(断線した)とき、a-o間の電圧がどう変わるかを聞いている問題です。断線する前と後の2つの値を求めます。

用語三相3線式(さんそうさんせんしき)とは?

三相3線式とは、3本の電線を使い、タイミングを少しずつずらした3つの交流をまとめて送る方式のことです。工場やビルの大きなモーターなどに使われます。図の「3φ3W」のφ(ファイ)は「相」、Wは「線(Wire)」の意味です。

なぜ?なぜ3本の電線で送るのか?

3つの交流を組み合わせると、少ない電線で多くの電力を、むらなく送れるからです。モーターをなめらかに回す力も生まれやすく、動力用として広く使われています。

用語線間電圧(せんかんでんあつ)とは?

線間電圧とは、3本の電線のうち、2本の間の電圧のことです。図の「200V」は、どの2本の間も200Vであることを表しています。

なぜ?なぜ「三相200V」はどの2本の間も200Vなのか?

三相3線式は3本の電線がつり合うように作られているからです。a-b間もb-c間もc-a間も、同じ200Vになります。

用語Y結線(スター結線)とは?

Y結線とは、3つの抵抗の片方のはしを1点(図のo)にまとめ、残りのはしをそれぞれの電線につなぐ形のことです。図のようにアルファベットのYの形になるので、こう呼ばれます。

なぜ?なぜY結線では1つの抵抗にかかる電圧が200Vより小さくなるのか?

1つの抵抗(a-o間)は、2本の電線の間(a-b間)に直接つながっていないからです。a-b間の200Vは、a-o間とo-b間の2つの抵抗にまたがってかかります。ただし三相では電圧のタイミングがずれているため、単純な半分の100Vにはなりません。

断線前:200Vを√3で割る

3つの抵抗がそろっているとき、Y結線の1つの抵抗にかかる電圧は、線間電圧の√3分の1になります。これは三相交流の決まりです。

用語√3(ルート3)とは?

√3とは、2回かけると3になる数のことで、約1.73です(1.73×1.73=約3)。問題用紙の最初に「√3=1.73」を使うと書かれています。

なぜ?なぜ三相では√3が出てくるのか?

三相の3つの電圧は、タイミングが3分の1周ずつずれているからです。ずれた2つの電圧の差を図で計算すると、ちょうど1つ分の√3倍になります。試験では「Y結線の1相分の電圧×√3=線間電圧」と覚えておけば十分です。

手順1 線間電圧は 200V

手順2 Y結線の1つの抵抗にかかる電圧 = 200 ÷ √3 = 200 ÷ 1.73

手順3 200 ÷ 1.73 = 約115.6 → 約116V

断線後:a-b間の200Vを2つの抵抗で半分ずつ

c-o間の抵抗が切れると、電線cからは電流が流れなくなります。残るのはa → a-o間の抵抗 → o → o-b間の抵抗 → bという1本道です。

なぜ?なぜ断線すると、三相の回路が「1本道」になるのか?

切れた抵抗の先にある電線cは、行き止まりになって電流の通り道ではなくなるからです。すると、a-b間の200Vの電源に、2つの抵抗が直列につながった形だけが残ります。

手順1 残った回路は、a-b間の200Vに、抵抗Rが2つ直列

手順2 同じ大きさの抵抗が2つなので、200Vを半分ずつ分け合う

手順3 a-o間の電圧 = 200 ÷ 2 = 100V

よって断線前116V、断線後100Vの組合せで、答えはロです。

なぜ?なぜ断線後は√3を使わないのか?

断線後は、a-b間という1つの電圧に2つの抵抗が直列になっただけだからです。もう3つの電圧のずれを考える必要はなく、ふつうの直列回路と同じように抵抗の割合で分けるだけで済みます。

覚えるこの問題の覚え方

「断線前はY結線=200÷√3=116V、断線後は直列2つ=200÷2=100V」。三相のY結線が1か所切れると、残った2つの抵抗で線間電圧を半分ずつ分けます。

注意まちがえた人が選びやすい選択肢

イ.断線前116・断線後116 … 断線しても電圧は変わらないと考えた人が選びやすい組合せです。1か所切れると回路の形が変わり、a-o間の電圧も変わります。

ニ.断線前100・断線後100 … 断線前も200Vを半分に分けると考えた人が選びやすい組合せです。3つそろっているY結線では、1つの抵抗の電圧は200÷√3=約116Vです。

ハ.断線前100・断線後116 … 断線前と断線後の値が入れ替わっています。

問6

分野:配電理論(単相3線式の中性線電流)重要度 ★★★

図のような単相3線式回路で,スイッチaだけを閉じたときの電流計Ⓐの指示値I1[A]とスイッチa及びbを閉じたときの電流計Ⓐの指示値I2[A]の組合せとして,適切なものは。
ただし,Ⓗは定格電圧100Vの電熱器である。

令和3年度上期 第二種電気工事士 筆記試験 午前 問6 の回路図
イ.I1 2  I2 2
ロ.I1 2  I2 0
ハ.I1 2  I2 4
ニ.I1 4  I2 0
答え・解説を見る
正解

ロ.I1 2[A] I2 0[A]
この問題は何を聞いているの?

3本の電線で100Vと200Vを取り出す単相3線式の回路です。まん中の電線(中性線)に電流計Ⓐがついています。スイッチaだけ閉じたときと、aとbの両方を閉じたときに、まん中の電線に何Aの電流が流れるかを聞いている問題です。

用語単相3線式(たんそうさんせんしき)とは?

単相3線式とは、3本の電線を使って、100Vと200Vの両方を取り出せるようにした配線方式のことです。多くの住宅で使われています。図の「1φ3W」は単相(1φ)・3線(3W)という意味です。

なぜ?なぜ3本の電線で100Vと200Vの両方が取り出せるのか?

まん中の線をはさんで、上の線との間が100V、下の線との間も100Vになるように作られているからです。上と下の線の間では100V+100V=200Vになります。照明やコンセントには100V、エアコンなど大きな機械には200Vを使い分けられます。

用語中性線(ちゅうせいせん)とは?

中性線とは、単相3線式の3本のうち、まん中の電線のことです。図では電流計Ⓐがついている線がこれにあたります。

なぜ?なぜ中性線の電流を調べるのか?

中性線には、上側と下側の電流の「差」だけが流れるという特徴があるからです。この性質を知っているかどうかを確かめるのが、この問題のねらいです。

用語電流計Ⓐとは?

電流計とは、電線を流れる電流の大きさを測る計器のことです。図記号は丸の中にAと書きます。単位はA(アンペア)です。

なぜ?なぜ電流の単位はA(アンペア)なのか?

電流の単位は、電気の研究をしたフランスの学者アンペールの名前から取られているからです。電流は1秒間に流れる電気の量を表し、水道でいえば水の流れる量にあたります。

用語電熱器Ⓗとは?

電熱器とは、電気を熱に変える器具のことです(電気ストーブや電気コンロなど)。図記号は丸の中にHで、ここでは定格電圧100V・200Wのものが2台あります。

なぜ?なぜ「定格電圧100V」と書かれているのか?

定格電圧とはその器具を正しく使うための電圧のことです。100Vをかけたときに200Wで働く、という意味になります。図では、それぞれの電熱器に100Vがかかる位置につながっています。

スイッチaだけを閉じたとき(I₁)

スイッチaを閉じると、上の線 → スイッチa → 上の電熱器 → 中性線という道で電流が流れます。上の電熱器には100Vがかかり、200Wで働きます。

手順1 上の電熱器に流れる電流 = 電力 ÷ 電圧 = 200 ÷ 100 = 2A

手順2 この電流は、帰り道として中性線を通る

手順3 下の電熱器はスイッチbが開いているので電流0

手順4 よって電流計の値 I1 = 2A

なぜ?なぜ電流を「電力÷電圧」で求められるのか?

電力は電圧×電流で表されるからです。両方を電圧で割ると、電流=電力÷電圧になります。200Wの器具に100Vをかければ、200÷100=2Aが流れます。

スイッチaとbを両方閉じたとき(I₂)

今度は上の電熱器にも下の電熱器にも、それぞれ2Aが流れます。このとき中性線では、上側からの電流と下側への電流が反対向きになります。

なぜ?なぜ上下が同じ電流だと、中性線の電流は0になるのか?

電流は上の線 → 上の電熱器 → 下の電熱器 → 下の線と、まん中を通らずにそのまま流れていけるからです。中性線から見ると、上から入ってくる2Aと下へ出ていく2Aが打ち消し合い、差は2−2=0Aになります。

手順1 上の電熱器の電流 = 2A

手順2 下の電熱器の電流 = 2A

手順3 中性線の電流 = 上下の電流の差 = 2 − 2 = 0A

手順4 よって電流計の値 I2 = 0A

I1=2A、I2=0Aの組合せなので、答えはロです。

覚えるこの問題の覚え方

「中性線に流れるのは、上と下の電流の差」。上下の使い方が同じ(つり合っている)なら、中性線の電流は0Aです。片側だけ使えば、その片側の電流がそのまま中性線に流れます。

注意まちがえた人が選びやすい選択肢

ハ.I₁ 2・I₂ 4 … 上下の電流を足してしまった人が選ぶ組合せです(2+2=4)。中性線では上下の電流が反対向きになるので、足し算ではなく差を取ります。

イ.I₁ 2・I₂ 2/ニ.I₁ 4・I₂ 0 … どちらも誤りです。200Wの電熱器に100Vで2A、上下つり合えば中性線は0Aの2点を確かめましょう。

問7

分野:配電理論(三相3線式の電力損失)重要度 ★★★

図のような三相交流回路において,電線1線当たりの抵抗が0.2Ω,線電流が15Aのとき,この電線路の電力損失[W]は。

令和3年度上期 第二種電気工事士 筆記試験 午前 問7 の回路図
イ.78
ロ.90
ハ.120
ニ.135
答え・解説を見る
正解

ニ.135[W]
この問題は何を聞いているの?

三相3線式の電源から三相負荷(モーターなど)へ、3本の電線で電気を送っています。電線にも少しだけ抵抗があるので、電気を送る途中で電線が熱になって失う電力が生まれます。その3本分の合計は何Wかを聞いている問題です。

用語電力損失(でんりょくそんしつ)とは?

電力損失とは、電気を送る途中で、電線の抵抗によって熱に変わって失われる電力のことです。届け先では使えない、むだになる電力です。

なぜ?なぜ電線でも電力が失われるのか?

電線は銅などでできていて電気をよく通しますが、抵抗が完全に0ではないからです。抵抗に電流が流れると熱が出るので、長い電線や細い電線ほど損失が大きくなります。

用語線電流(せんでんりゅう)とは?

線電流とは、1本1本の電線に流れる電流のことです。図では3本の電線それぞれに15Aの矢印が描かれています。

なぜ?なぜ3本とも同じ15Aなのか?

三相負荷が3本の線に対してつり合っているからです。つり合った三相回路では、3本の電線に同じ大きさの電流が流れます。

用語三相負荷とは?

負荷とは、電気を使う側の機械や器具のことです。三相負荷は三相の電気で動く機械で、工場の大きなモーターなどがこれにあたります。

なぜ?なぜ「負荷」と呼ぶのか?

電源から見ると、電気を使う機械は電源に負担をかける相手になるからです。荷物を「負う」イメージで、電気を使う側をまとめて負荷と呼びます。

1本の電線で失われる電力を求めて、3倍する

電線1本の電力損失は、電流×電流×抵抗で求めます。電線は3本あり、どれにも同じ15Aが流れ、同じ0.2Ωの抵抗があるので、1本分を3倍すれば合計になります。

なぜ?なぜ電力損失は「電流×電流×抵抗」で求めるのか?

電力は電圧×電流で、電線の抵抗にかかる電圧は電流×抵抗(オームの法則)だからです。合わせると電流×抵抗×電流=電流×電流×抵抗になります。電線の両はしの電圧は分からないので、この形を使います。

手順1 1本の電力損失 = 15 × 15 × 0.2 = 225 × 0.2 = 45W

手順2 電線は3本なので 45 × 3 = 135W

よって答えはニの135Wです。

コツ電線の本数で何倍するかが決まる

単相2線式(電線2本) … 電流×電流×抵抗×2

三相3線式(電線3本) … 電流×電流×抵抗×3

電力損失は熱が出る電線の本数ぶん足し合わせる、と考えると覚えやすいでしょう。

なぜ?なぜ三相の電力損失では√3を使わないのか?

電力損失は1本1本の電線が出す熱の合計だからです。どの電線にも15Aが流れているので、1本ずつ計算して3本分足せば済みます。√3は線間電圧を使って三相の電力を計算するときに出てくる数で、ここでは使いません。

覚えるこの問題の覚え方

「電力損失=電流×電流×抵抗×電線の本数」。三相3線式なら×3。15×15×0.2×3=135Wです。

注意まちがえた人が選びやすい選択肢

イ.78 … 3倍ではなく√3倍した人が選ぶ数字です。45×1.73=約78になります。電線の熱は本数ぶん足すので、使うのは3です。

ロ.90 … 単相2線式と同じように2倍した人が選ぶ数字です(45×2=90)。この回路は電線が3本あります。

ハ.120 … 誤りです。1本分の45Wを求め、電線3本ぶんを足すことを確かめましょう。

問8

分野:配線設計(許容電流と電流減少係数)重要度 ★★★

合成樹脂製可とう電線管(PF管)による低圧屋内配線工事で,管内に断面積5.5mm²の600Vビニル絶縁電線(軟銅線)7本を収めて施設した場合,電線1本当たりの許容電流[A]は。
ただし,周囲温度は30℃以下,電流減少係数は0.49とする。

イ.13
ロ.17
ハ.24
ニ.29
答え・解説を見る
正解

ハ.24[A]
この問題は何を聞いているの?

PF管という管の中に、太さ5.5mm²の電線を7本まとめて通したとき、電線1本に安全に流せる電流(許容電流)は何Aかを聞いている問題です。電線を管に何本も入れると、1本で使うときより流せる電流が小さくなる点がポイントです。

用語合成樹脂製可とう電線管(PF管)とは?

合成樹脂製可とう電線管とは、プラスチックでできた、手で曲げられる電線用の管のことです。「可とう」は曲げられるという意味です。PF管は、燃えにくい性質(自己消火性)をもつタイプを指します。

なぜ?なぜ電線を管に入れて工事するのか?

電線をぶつかったり、こすれたりする傷から守るためです。また、あとから電線を入れ替えやすくなる利点もあります。

用語600Vビニル絶縁電線とは?

600Vビニル絶縁電線とは、銅の線のまわりをビニルで覆った電線のことです。記号でIVと書かれることが多く、IはIndoor(屋内)、VはVinyl(ビニル)の頭文字を表しています。「600V」は600V以下の電圧で使えるという意味です。

なぜ?なぜ電線をビニルで覆うのか?

むき出しの銅線に人が触れると感電し、電線どうしが触れるとショートするからです。電気を通さないビニルで覆うことを絶縁(ぜつえん)といいます。

用語断面積5.5mm²とは?

電線の太さを、切り口の面積で表したものです。5.5mm²は、切り口の面積が5.5平方ミリメートルという意味です。細い銅線を何本もより合わせたより線は、このように面積で太さを表します。

なぜ?なぜ太さを面積で表す電線があるのか?

より線は細い線の集まりなので、直径を1つの数字で測りにくいからです。そこで、銅の部分の面積を足し合わせた値で太さを表します。1本の銅線でできた単線は、直径(1.6mm、2.0mmなど)で表すのが一般的です。

用語許容電流(きょようでんりゅう)とは?

許容電流とは、電線に安全に流し続けられる電流の上限のことです。これを超えて流すと、電線が熱くなりすぎて被覆が傷んだり、火災につながったりするおそれがあります。

なぜ?なぜ太い電線ほど許容電流が大きいのか?

太い電線ほど抵抗が小さく、熱が出にくいからです。太い水道管ほどたくさんの水を無理なく流せるのと同じイメージです。

用語電流減少係数とは?

電流減少係数とは、電線を管に何本もまとめて入れたときに、許容電流を小さくするためにかける数のことです。この問題では0.49と決められています。

なぜ?なぜ管の中に何本も入れると、流せる電流が減るのか?

電線はそれぞれ熱を出すので、狭い管の中に何本も入れると熱がこもり、冷えにくくなるからです。電線が熱くなりすぎないように、1本あたりに流せる電流を小さくして使います。本数が多いほど、係数は小さくなります。

5.5mm²の電線の許容電流は49A

600Vビニル絶縁電線の許容電流は、太さごとに決められています。試験で覚えておきたいのは次の値です(周囲温度30℃以下)。

覚える600Vビニル絶縁電線(軟銅線)の許容電流

単線 … 直径1.6mm=27A/2.0mm=35A/2.6mm=48A

より線 … 断面積2mm²=27A/3.5mm²=37A/5.5mm²=49A/8mm²=61A

1ステップずつ計算する

手順1 5.5mm²の電線の許容電流は 49A(表から)

手順2 管に7本入れるので、電流減少係数 0.49(問題文で指定)をかける

手順3 49 × 0.49 = 24.01A

手順4 最も近い選択肢は 24A

よって答えはハの24Aです。

なぜ?なぜ問題文に「周囲温度は30℃以下」と書かれているのか?

許容電流の表の値は、まわりの温度が30℃以下のときのものだからです。まわりが暑いと電線が冷えにくくなるので、さらに値を小さくする必要が出てきます。この問題ではその心配がないことを、最初に断っているのです。

コツ計算は「表の値×係数」の1回だけ

この型の問題は、表の許容電流に、問題文の電流減少係数をかけるだけです。係数は問題文に書かれていることが多いので、電線の太さごとの許容電流を覚えることが得点の決め手になります。

覚えるこの問題の覚え方

「許容電流×電流減少係数=1本あたりの許容電流」。5.5mm²は49A。49×0.49=約24Aです。

注意まちがえた人が選びやすい選択肢

ロ.17 … 直径2.0mmの単線の値(35A)を使った人が選ぶ数字です。35×0.49=約17になります。問題の電線は断面積5.5mm²です。

イ.13 … 断面積2mm²(または直径1.6mm)の値(27A)を使った人が選ぶ数字です。27×0.49=約13になります。

ニ.29 … 誤りです。5.5mm²=49Aに0.49をかけることを確かめましょう。

問9

分野:配線設計(幹線の太さと過電流遮断器)重要度 ★★★

図のような電熱器Ⓗ1台と電動機Ⓜ2台が接続された単相2線式の低圧屋内幹線がある。この幹線の太さを決定する根拠となる電流IW[A]と幹線に施設しなければならない過電流遮断器の定格電流を決定する根拠となる電流IB[A]の組合せとして,適切なものは。
ただし,需要率は100%とする。

令和3年度上期 第二種電気工事士 筆記試験 午前 問9 の幹線の図
イ.IW 50  IB 125
ロ.IW 50  IB 130
ハ.IW 60  IB 130
ニ.IW 60  IB 150
答え・解説を見る
正解

ハ.IW 60[A] IB 130[A]
この問題は何を聞いているの?

1本の太い電線(幹線)から、電熱器1台(10A)とモーター2台(20Aずつ)に電気を分けています。このとき、幹線の太さを決めるための電流IWと、幹線を守るブレーカーの大きさを決めるための電流IBを求める問題です。どちらも電気設備の技術基準の解釈(国の基準の具体的な中身)で決められた計算方法を使います。

用語幹線(かんせん)とは?

幹線とは、分電盤(ブレーカーが並んだ箱)などから、いくつもの分岐回路へ電気を配る太い電線のことです。木の幹から枝が分かれるように、幹線から各機器への電線が分かれていきます。

なぜ?なぜ幹線は太くする必要があるのか?

幹線には、つながっている機器全部の電流がまとめて流れるからです。細い電線では許容電流(安全に流せる電流の上限)を超えて、熱くなりすぎてしまいます。

用語電動機Ⓜ(でんどうき)とは?

電動機とはモーターのことです。図記号は丸の中にMです。ポンプや換気扇、工場の機械などを回します。

なぜ?なぜ電動機だけ特別な計算をするのか?

モーターは動き始める瞬間に、ふだんの何倍もの大きな電流(始動電流)が流れるからです。また、長く動かすと電流がふだんより多くなることもあります。そのため幹線の太さに余裕を持たせる決まりになっています。

用語過電流遮断器(かでんりゅうしゃだんき)とは?

過電流遮断器とは、決められた以上の電流が流れたときに、自動で電気を止める装置のことです。家庭の分電盤にある配線用遮断器(ブレーカー)がその代表です。図の四角にBの記号がこれにあたります。

なぜ?なぜ幹線に過電流遮断器をつけなければならないのか?

電流が流れすぎると、電線が熱くなって火災の原因になるからです。幹線の入口で電気を止められるようにして、幹線そのものを守ります。

用語需要率(じゅようりつ)100%とは?

需要率とは、つながっている機器のうち、同時に使われる割合のことです。100%は「全部の機器を同時にフルで使う」という意味で、この問題では全員分の電流を足して考えます。

なぜ?なぜ需要率を断っているのか?

実際の建物では、すべての機器が同時に動くとは限らないからです。需要率が100%より小さいと、計算に使う電流を減らせます。この問題では減らさずにそのまま計算することを示しています。

まず、モーターと電熱器の電流を分けて足す

手順1 モーターの電流の合計 IM = 20 + 20 = 40A

手順2 電熱器(モーター以外)の電流の合計 IH = 10A

手順3 モーターの電流(40A)のほうが、電熱器の電流(10A)より大きい

幹線の太さを決める電流 IW

覚える幹線の太さを決める電流の決まり

モーターの電流 ≦ それ以外の電流のとき … IW=IM+IH(ただ足すだけ)

モーターの電流 > それ以外の電流で、モーターの電流が50A以下のとき … IW=1.25×IM+IH

モーターの電流 > それ以外の電流で、モーターの電流が50Aを超えるとき … IW=1.1×IM+IH

この問題は、モーター40A>電熱器10Aで、40Aは50A以下なので、2つ目の「1.25倍」を使います。

手順1 モーターの電流を1.25倍する → 40 × 1.25 = 50A

手順2 電熱器の電流を足す → 50 + 10 = 60A

手順3 よって IW = 60A

なぜ?なぜモーターの電流だけ1.25倍するのか?

モーターは始動時や重い仕事をしているときに、表示の電流より多く流れることがあるからです。その分を見込んで、幹線の太さに25%の余裕を持たせています。電熱器は流れる電流がほぼ一定なので、そのまま足します。

過電流遮断器の大きさを決める電流 IB

覚える幹線の過電流遮断器の決まり(モーターがあるとき)

① IB=3×IM+IH で計算する

② ただし、①の値が2.5×IWを超えるときは、2.5×IWにできる

→ ①と②のうち、小さいほうと考えると分かりやすい

手順1 ① 3 × 40 + 10 = 120 + 10 = 130A

手順2 ② 2.5 × 60 = 150A

手順3 ①の130Aは②の150Aを超えていないので、①をそのまま使う

手順4 よって IB = 130A

なぜ?なぜ過電流遮断器ではモーターの電流を3倍もするのか?

モーターの始動電流で、ブレーカーがすぐに切れてしまわないようにするためです。動き始めの一瞬だけ大きな電流が流れるので、その間に止まらないよう大きめの値にしてあります。

なぜ?なぜ「2.5×IW」という上限があるのか?

ブレーカーを大きくしすぎると、幹線が耐えられないほどの電流が流れても止まらなくなるからです。幹線の太さ(IW)に見合った上限を決めて、電線を守っています。

IW=60A、IB=130Aの組合せなので、答えはハです。

覚えるこの問題の覚え方

「太さはモーター×1.25(50A以下)、ブレーカーはモーター×3、どちらも最後に電熱器を足す」。ブレーカーは2.5×IWと比べて小さいほうを選びます。

注意まちがえた人が選びやすい選択肢

イ.IW 50・IB 125 … 電流をただ足しただけの人が選ぶ組合せです。IW=40+10=50、IB=2.5×50=125になります。モーターの電流が電熱器より大きいので、1.25倍が必要です。

ロ.IW 50・IB 130 … IBの130Aは正しいものの、IWでモーターの1.25倍を忘れた組合せです。

ニ.IW 60・IB 150 … 2.5×IW(150A)をそのまま使った人が選ぶ組合せです。2.5×IWは上限なので、3×IM+IH=130Aのほうが小さければ130Aになります。

問10

分野:配線設計(分岐回路の組合せ)重要度 ★★★

低圧屋内配線の分岐回路の設計で,配線用遮断器,分岐回路の電線の太さ及びコンセントの組合せとして,適切なものは。
ただし,分岐点から配線用遮断器までは3m,配線用遮断器からコンセントまでは8mとし,電線の数値は分岐回路の電線(軟銅線)の太さを示す。
また,コンセントは兼用コンセントではないものとする。

令和3年度上期 第二種電気工事士 筆記試験 午前 問10 の選択肢の図
答え・解説を見る
正解

イ.配線用遮断器20A・電線2.0mm・定格電流20Aのコンセント1個
この問題は何を聞いているの?

ブレーカー(配線用遮断器)の大きさ、そこから先の電線の太さ、つなぐコンセントの大きさの3つが、正しい組合せになっているものを選ぶ問題です。組合せは電気設備の技術基準の解釈(国の基準の具体的な中身)で決められているので、表を覚えていれば当てはめるだけで解けます。

用語分岐回路(ぶんきかいろ)とは?

分岐回路とは、幹線(太い電線)から枝分かれして、コンセントや照明までつながる電線の道のことです。家庭の分電盤に並んだブレーカー1つ1つが、それぞれ1つの分岐回路を受け持っています。

なぜ?なぜ回路をいくつにも分けるのか?

1つの回路で家じゅうの電気をまかなうと、1か所の故障で家全体が停電してしまうからです。回路を分けておけば、トラブルがあってもその回路だけを止められます。

用語配線用遮断器(はいせんようしゃだんき)とは?

配線用遮断器とは、電流が流れすぎたときに自動で電気を止めるブレーカーのことです。図の四角にBの記号で、横の「20A」などが定格電流(この電流までは止まらずに流せる値)を表します。

なぜ?なぜブレーカーの大きさで電線の太さが決まるのか?

ブレーカーはその先の電線を守るための装置だからです。電線が細すぎると、ブレーカーが切れる前に電線が熱くなってしまいます。ブレーカーが大きいほど、太い電線が必要になります。

用語コンセントの定格電流とは?

コンセントの定格電流とは、そのコンセントで安全に使える電流の上限のことです。家庭でよく見るのは15Aのものですが、20Aや30Aのものもあります。

なぜ?なぜコンセントの大きさにも決まりがあるのか?

コンセントがブレーカーより小さすぎると、ブレーカーが切れる前にコンセントが傷んでしまうからです。逆に大きすぎると、そのコンセントで使う機械に対してブレーカーが小さく、すぐに切れてしまいます。

用語兼用コンセントとは?

兼用コンセントとは、15A用と20A用の両方の差込プラグが使えるコンセントのことです。この問題では「兼用コンセントではない」と断ってあるので、図に書かれた定格電流だけで判断します。

なぜ?なぜ兼用コンセントを除いているのか?

兼用コンセントは15Aのプラグも20Aのプラグも差せるので、何Aのコンセントとして扱うかの判断が入り、答えがあいまいになりやすいからです。条件をそろえて、表どおりに判断できるようにしています。

配線用遮断器・電線・コンセントの組合せ表

覚える分岐回路の組合せ(軟銅線)

20Aの配線用遮断器 … 電線1.6mm以上 / コンセント20A以下

30Aの配線用遮断器 … 電線2.6mm(5.5mm²)以上 / コンセント20A以上30A以下

40Aの配線用遮断器 … 電線8mm²以上 / コンセント30A以上40A以下

50Aの配線用遮断器 … 電線14mm²以上 / コンセント40A以上50A以下

なぜ?なぜ問題文に「分岐点から配線用遮断器までは3m」と書かれているのか?

分岐回路のブレーカーは、原則として幹線から分かれた点から3m以下の場所に取り付ける決まりがあるからです。3mであればこの原則どおりなので、特別な条件を考えずに上の表だけで判断してよい、という意味になります。

選択肢を1つずつ表に当てはめる

手順1 イ 20Aの遮断器 → 電線は1.6mm以上が必要で、2.0mmは条件を満たす。コンセントは20A以下が必要で、20Aは条件を満たす。 → 適切

手順2 ロ 30Aの遮断器 → 電線は2.6mm以上が必要なのに2.0mmで細すぎる。 → 不適切

手順3 ハ 20Aの遮断器 → 電線1.6mmは条件を満たすが、コンセントは20A以下が必要なのに30Aで大きすぎる。 → 不適切

手順4 ニ 40Aの遮断器 → 電線は8mm²以上が必要なのに5.5mm²で細すぎる。 → 不適切

よって答えはイです。

なぜ?なぜ電線は「以上」、コンセントは「範囲」で決まっているのか?

電線は太いほど安全側なので、決められた太さ以上であれば問題ありません。一方コンセントは、小さすぎても大きすぎてもブレーカーとつり合わないため、「◯A以上◯A以下」という範囲で決められています(20Aの遮断器だけは「20A以下」)。

コツ見る順番を決めておく

①ブレーカーの値を見る → ②電線が太さの条件以上か → ③コンセントが範囲の中か、の順で確かめると、取りこぼしが少なくなります。この問題では、②でロとニ、③でハが外れます。

覚えるこの問題の覚え方

「20Aは1.6mm・30Aは2.6mm・40Aは8mm²・50Aは14mm²」。コンセントはブレーカーと同じか、1段下まで(20Aの遮断器なら20A以下)と覚えましょう。

注意まちがえた人が選びやすい選択肢

ロ … 30Aの遮断器に2.0mmの電線の組合せです。2.0mmは20Aの遮断器なら使えますが、30Aには2.6mm以上が必要です。コンセントの30Aは範囲内なので、電線の太さを見落とすと選んでしまいます。

ハ … 20Aの遮断器に30Aのコンセントの組合せです。電線の1.6mmは条件を満たしていますが、コンセントが範囲(20A以下)を超えています。

ニ … 40Aの遮断器に5.5mm²の電線の組合せです。コンセントの30Aは範囲内ですが、電線は8mm²以上が必要です。

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この記事のまとめ

問1〜10で使った考え方を、1問1行でふり返りましょう。解き終わったあとにここだけ読み返すと、記憶に残りやすくなります。

まとめこの10問で持ち帰ること

問1 直列回路の電圧 … 閉じたスイッチの横の抵抗と、行き止まりの抵抗を消す。残った30Ω2本で100Vを半分ずつ=50V

問2 抵抗の式 … V=IRとP=VIの2本から作れるかを見る。PI÷VはI²になるので誤り

問3 発熱量 … 電流×電流×抵抗×秒。20×20×0.5×3600=720 000J=720kJ

問4 交流の消費電力 … 電力を使うのは抵抗だけ。100×100÷16=625W

問5 三相の断線 … 断線前はY結線で200÷√3=116V、断線後は直列2つで200÷2=100V

問6 単相3線式 … 中性線には上下の電流の差が流れる。片側だけ2A、つり合えば0A

問7 電力損失 … 電流×電流×抵抗×電線の本数。15×15×0.2×3=135W

問8 許容電流 … 5.5mm²=49A。係数0.49をかけて約24A

問9 幹線 … 太さはモーター×1.25+電熱器=60A、ブレーカーはモーター×3+電熱器=130A(2.5×60=150Aより小さい)

問10 分岐回路 … 20Aは1.6mm以上・コンセント20A以下。30Aは2.6mm、40Aは8mm²が必要

この10問の計算の土台は、オームの法則(電圧=電流×抵抗)と電力(電圧×電流、または電流×電流×抵抗)の2本でした。後半の問8〜10は、決められた表や計算のきまりに当てはめる問題です。新しい式を増やすより、この2本の使い方と、表の数字に慣れることが近道になるでしょう。

出典

令和3年度上期第二種電気工事士試験(午前)
問題・図・写真・解答は一般財団法人 電気技術者試験センターが公表しているものです。

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▶ 問11〜20
材料・器具・工具と施工場所(エントランスキャップ・耐熱性の高い電線・工具の組合せ・電動機の回転速度・直管LEDランプ・写真の材料と器具・施工場所と工事の種類・ケーブル工事)

▶ 問21〜30
施工・検査・法令(金属管とボックスの接続・弱電流電線との接近・金属可とう電線管工事・測定器・絶縁抵抗値・接地抵抗の測定・計器の結線・電気工事士法・電気用品安全法・一般用電気工作物)

▶ 配線図 問31〜40
図記号と数字もの(図記号の名称・小勢力回路・ケーブルの種類・コンセントの極配置・絶縁抵抗・最少電線本数など)

▶ 配線図 問41〜50
写真の見分け(変圧器・電線管工事の材料・照明器具・測定器・遮断器・リングスリーブと差込形コネクタ・コンセントとスイッチ)

用語からつまずいた人へ(やさしい基礎解説)

▶ オームの法則と直列・並列
電圧・電流・抵抗のきほんから

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電力・電力量・熱量

▶ 単相2線式・単相3線式・三相3線式
配線方式のちがい

▶ 配線図の図記号の読み方
スイッチ・コンセント・照明の記号

▶ 電線とケーブルの種類・許容電流
VVF・IV・1.6mm=27Aなどの暗記ポイント

▶ 電線管の種類と配線工事
金属管・VE・PF・CD管のちがいと付属品

▶ 幹線と分岐回路の決まり
幹線の計算とブレーカー×電線×コンセントの表

▶ 複線図の書き方【3ステップ】
電線の本数もリングスリーブもこれで数えられる

▶ 検査と測定器のきほん
「見る→測る→通す」と測定器の見分け方

▶ 法令のきほん
工事士法=人/用品安全法=モノ/事業法=設備

▶ モーターと進相コンデンサ
回転速度・始動電流・力率改善

学科のあとは、技能試験の準備が要ります

技能試験は40分で実際に配線を組み立てる試験です。工具と練習用の材料がないと1問も練習できません。通信講座は必要か、材料は買うか借りるか——実際の価格で比べました。

▶ 通信講座5社と工具・材料の費用を比較する