第二種電気工事士の学科試験を、電気の知識がまったくない人でも読み進められるように1問ずつ解説します。このページは令和5年度 上期・午後(2023年5月28日実施)の問21〜30です。

問21〜問30は工事のルール(施工方法)・完成したあとの検査・法令が中心です。計算はほとんど出てきません。そのかわり「決まりの数字」と「言葉の正確さ」が問われます。ここは暗記で点を取りやすい場所なので、電気の計算が苦手な人ほど落としたくないところです。「なぜその決まりがあるのか」を理由から説明しますので、丸暗記より楽に覚えられることでしょう。各問題の下の「答え・解説を見る」を開くと答えと考え方が出ます。まず自分で考えてから開くのがおすすめです。

この記事の問題はどこから?

問題文・図・写真・解答は、試験を実施している一般財団法人 電気技術者試験センターが公表しているものです。
出典:令和5年度上期第二種電気工事士試験(午後)

問21

分野:施工(住宅用分電盤)重要度 ★★★

単相3線式100/200 V屋内配線の住宅用分電盤の工事を施工した。不適切なものは。

イ.ルームエアコン(単相200 V)の分岐回路に2極2素子の配線用遮断器を取り付けた。
ロ.電熱器(単相100 V)の分岐回路に2極2素子の配線用遮断器を取り付けた。
ハ.主開閉器の中性極に銅バーを取り付けた。
ニ.電灯専用(単相100 V)の分岐回路に2極1素子の配線用遮断器を取り付け,素子のある極に中性線を結線した。
答え・解説を見る
正解
ニ.電灯専用(単相100 V)の分岐回路に2極1素子の配線用遮断器を取り付け,素子のある極に中性線を結線した。
この問題は何を聞いているの?

「家の分電盤(ぶんでんばん)まわりの工事のやり方として、決まりに反しているのはどれか」を聞いています。選択肢は4つで、正しいものが3つ、まちがいが1つです。そのまちがいを1つだけ選びます。

この問題を解くには、「単相3線式」という配線のしくみと、「極(きょく)」と「素子(そし)」という2つの言葉のちがいが分かれば十分です。順番に、まったくの初めてという前提で説明します。

まず「分電盤」とは何か

用語分電盤(ぶんでんばん)とは?

家に入ってきた電気を、部屋ごと・用途ごとに分けて配る箱のことです。玄関の上や洗面所の壁についている、小さなスイッチ(ブレーカー)がずらっと並んだ白い箱がそれです。電気が入ってくる大もとのスイッチ(主開閉器)が1つあり、そこから「台所」「リビング」「エアコン」などへ枝分かれしていきます。

なぜ?なぜ1本のまま家じゅうに配らないのか?

どこか1か所で故障が起きたときに、家じゅうの電気が止まってしまうからです。枝分かれさせて、枝ごとにブレーカーを付けておけば、異常が起きた枝だけを切り離して、ほかの部屋は使い続けられます。また、細い電線に大きな電流が流れて燃えるのを防ぐためにも、枝ごとの見張り役が必要です。

用語分岐回路(ぶんきかいろ)とは?

分電盤から枝分かれして、コンセントや照明まで伸びていく1本1本の回路のことです。「エアコン用の分岐回路」「台所のコンセントの分岐回路」のように、用途ごとに1本ずつ用意します。

なぜ?なぜ回路を用途ごとに分けるのか?

1本の電線に流せる電流には上限があるからです。エアコンや電子レンジのように大きな電気を使う機器を、ほかの部屋と同じ1本の電線にまとめると、電線が熱を持って危険になります。大食いの機器には専用の1本を与える、という考え方です。

単相3線式(たんそう3せんしき)とは?

この問題の主役です。いまの日本の住宅で、いちばん多く使われている配線の方式で、電線が3本来ています。この3本には、それぞれ名前と役目があります。

例単相3線式の3本の電線

a線(エーせん) … 電圧のかかっている線。電圧線ともいう

中性線(ちゅうせいせん) … まん中の線。電圧がかかっていない(大地と同じ0Vにしてある)

b線(ビーせん) … もう1本の電圧のかかっている線。電圧線

用語単相3線式で100Vと200Vの両方が取れるしくみ

a線と中性線のあいだ=100V/b線と中性線のあいだ=100V/a線とb線のあいだ=200V。つまり3本のうちどの2本を使うかで、100Vにも200Vにもなるのがこの方式の便利なところです。

なぜ?なぜa線とb線のあいだが200Vになるのか?

a線とb線は、電圧が振れる向きがたがいに逆だからです。a線が中性線より100V高くなっているとき、b線は中性線より100V低くなっています。するとa線とb線のあいだの差は100+100=200Vになります。シーソーの右端と左端の高さの差が、中心からの高さの2倍になるのと同じイメージです。

用語中性線(ちゅうせいせん)とは?

単相3線式のまん中の線で、大地(アース)とつながっていて電圧がほぼ0Vの線です。電気工事では白色の電線を使うと決まっており、「接地側電線(せっちがわでんせん)」とも呼ばれます。

なぜ?なぜ中性線には電圧がないのか?

わざと大地とつないで0Vに固定しているからです。こうしておくと、電線が地面や建物の鉄骨と触れたときに、行き先が決まっているので異常な高い電圧が発生しにくく、また漏電したときに電気が地面へ逃げて、漏電遮断器が異常に気づけます。

配線用遮断器(=ブレーカー)とは

用語配線用遮断器(はいせんようしゃだんき)とは?

電線に決められた以上の電流が流れたときに、自動で電気を切る装置です。一般にはブレーカーと呼ばれ、分電盤にずらっと並んでいる小さなスイッチがこれです。英語の略称でMCCB(Molded Case Circuit Breaker)とも書かれます。「切る」のが仕事なので、手でパチンと入れ直せば元に戻ります。

なぜ?なぜ電流が大きくなると切らなければならないのか?

電線が熱を持って、燃えるからです。電線には太さごとに「ここまでなら安全に流せる」という電流の上限(許容電流)が決まっています。それをこえたまま使い続けると電線の被覆(ひふく=まわりのビニル)がとけ、火事になるおそれがあります。つまり配線用遮断器は人を守る前に、まず電線を守っている装置です。この「電線を守る」という目的を覚えておくと、なぜ電線の太さとブレーカーの大きさがセットで決められているのかも納得できます。

「極」と「素子」のちがい(この問題のいちばんの山場)

選択肢に「2極2素子」「2極1素子」という言葉が出てきます。ここが分かれば、この問題は解けたも同然です。まったく別のものを数えているので、1つずつ分けて説明します。

用語極(きょく)とは?

そのブレーカーが電線を何本つかんで、何本を同時に切るかという数です。「2極」なら、電線を2本つかみ、切るときは2本同時に切ります。

なぜ?なぜ2本まとめて切る必要があるのか?

片方だけ切れても、もう片方には電気が残ってしまうからです。電気が残っていると、修理しようと触った人が感電するおそれがあります。切るときは、その回路につながる電線をまとめて切り離すのが原則です。

用語素子(そし)とは?

その極に入っている「電流を見張るセンサー」のことです。正確には「過電流引き外し素子(かでんりゅうひきはずしそし)」といい、流れる電流が大きくなりすぎたことを感じ取って、ブレーカーを切る部品です。

なぜ?なぜ「極の数」と「素子の数」が別なのか?

つかむ本数と、見張る本数は別々に決められるからです。「2極1素子(2P1E)」は、電線を2本つかんで2本とも切るけれど、見張っているのは1本だけという意味になります。見張り役(素子)は部品なので、減らせば安くなります。だから見張らなくてよい線がある場合は、素子を減らした製品を使うのです。

例2極2素子(2P2E)と2極1素子(2P1E)

2極2素子(2P2E) … 2本つかんで、2本とも見張る。200V回路には必ずこれ。100V回路に使っても問題ない(オールマイティー)

2極1素子(2P1E) … 2本つかんで、1本だけ見張る。100V回路専用。見張らないほうの極に中性線をつなぐ(そこに「N」と書いてある)

なぜ?なぜ200V回路では2素子(両方見張る)でないといけないのか?

200V回路はa線とb線を使い、どちらも電圧のかかっている線だからです。見張っていないほうの線で異常な電流が流れても、気づけません。電圧のかかっている線は、全部見張る——これが原則です。

なぜ?なぜ100V回路なら1素子でよいのか?

100V回路は「電圧線1本+中性線1本」の組み合わせだからです。中性線は電圧が0Vなので、そこに素子を置く意味がありません。電圧のかかっている1本だけ見張れば足ります。

中性線に素子を入れてはいけない理由

ここが選択肢ニの正体です。2極1素子のブレーカーには、素子のある極と、素子のない極があります。素子のない極には「N」(Neutral=中性の頭文字)と印がついていて、そこに中性線(白)をつなぐのが決まりです。選択肢ニは、これを逆にしたと書いてあります。

なぜ?なぜ中性線を「素子のある極」につないではいけないのか?

電圧のかかっている線を見張れなくなるからです。2極1素子のブレーカーは、切るときは2本とも同時に切りますが、見張っているのは素子のある1本だけです。中性線を素子のある極につなぐと、電圧線のほうが見張られなくなり、電圧線から地面などへ電気が逃げたときに、その電流は中性線を通らないため気づけず、切れないおそれがあります。

なぜ?なぜ中性線が切れると危険なのか?

単相3線式で中性線が切れると、100V用の機器に100Vを超える電圧がかかることがあるからです。まん中の基準点が消えてしまい、a線とb線のあいだの200Vが、左右につながった機器に勝手な割合で分かれてかかります。軽い機器のほうに150Vや180Vがかかって、短時間で焼けてしまうこともあるのです。これを「中性線欠相(けっそう)」といい、住宅の事故として実際に起きています。(この現象は、この記事の問25でそのまま出題されています。)

選択肢を1つずつ判定する

イ ルームエアコン(単相200V)の分岐回路に2極2素子 … 200Vはa線とb線の2本とも電圧線。両方見張る2素子が正解。→ 適切

ロ 電熱器(単相100V)の分岐回路に2極2素子 … 100Vは2極1素子でもよいが、2極2素子を使ってはいけないという決まりはない。多めに見張るぶんには安全側。→ 適切

ハ 主開閉器の中性極に銅バー … 中性線は切らずにつないでおくのが基本なので、銅の棒でそのまま通すのは正しい施工。→ 適切

ニ 電灯専用(100V)に2極1素子を付け、素子のある極に中性線を結線 … 中性線は素子のない極(N)につなぐのが決まり。逆につないでいる。→ 不適切

よって答えはニです。

用語選択肢ハの「銅バー」とは?

電気を通すための、平たい銅の棒のことです。分電盤の主開閉器(大もとのスイッチ)の中性極の位置に取り付けて、中性線をそのまま素通しでつなぐために使います。

なぜ?なぜ中性線だけスイッチで切らずに素通しにするのか?

中性線が先に切れると危険だからです(上で説明した中性線欠相です)。確実に「電圧線より後に切れる、あるいは切れない」ようにするため、中性線は切るしくみを持たない銅バーで直結するという考え方が使われます。

間違えた人が選びやすい選択肢

特に選ばれやすいのはロです。「100Vなのに2素子を使うのは、決められた組み合わせと違うのでは?」と考えてしまうためです。しかし2素子は100Vにも200Vにも使える上位互換で、使っても不適切にはなりません。逆に「200Vに2極1素子」と書いてあったら、それは確実に不適切です。この向きのちがいをはっきりさせておいてください。

ハも迷いやすい選択肢です。「中性極に何かを取り付ける」という文が、いかにも怪しく見えるからです。しかし銅バーは切らずにつなぐための部品なので、むしろ中性線欠相を防ぐための正しい施工といえます。

覚えるこの問題の覚え方

「200Vには2素子、100Vなら1素子でもよい。中性線はNの側(素子のない極)」——これだけです。理屈は「電圧のかかっている線は全部見張る/0Vの線は見張らない」。そして中性線だけが切れる状態を作らないのが単相3線式の鉄則です。「中性線を素子のある極につなぐ」と書いてあったら、まずそれを答えの候補として疑ってよいでしょう。

問22

分野:施工(D種接地工事)重要度 ★★★

機械器具の金属製外箱に施すD種接地工事に関する記述で,不適切なものは。

イ.一次側200 V,二次側100 V,3 kV・Aの絶縁変圧器(二次側非接地)の二次側電路に電動丸のこぎりを接続し,接地を施さないで使用した。
ロ.三相200 V定格出力0.75 kW電動機外箱の接地線に直径1.6 mmのIV電線(軟銅線)を使用した。
ハ.単相100 V移動式の電気ドリル(一重絶縁)の接地線として多心コードの断面積0.75 mm2の1心を使用した。
ニ.単相100 V定格出力0.4 kWの電動機を水気のある場所に設置し,定格感度電流15 mA,動作時間0.1秒の電流動作型漏電遮断器を取り付けたので,接地工事を省略した。
答え・解説を見る
正解
ニ.単相100 V定格出力0.4 kWの電動機を水気のある場所に設置し,定格感度電流15 mA,動作時間0.1秒の電流動作型漏電遮断器を取り付けたので,接地工事を省略した。
この問題は何を聞いているの?

「機械の金属のケースに行うアース工事について、決まりに反しているのはどれか」を聞いています。4つのうち3つは正しく、1つだけがまちがいです。

専門用語がたくさん出てきますが、知らない言葉はこのあと全部説明します。まずは「アースとは何か」「なぜ必要か」から始めます。

そもそも接地(アース)とは何か

用語接地(せっち)・アースとは?

電気機器の金属部分を、電線で地面(大地)とつないでおくことです。「接地工事」とは、そのために地中に金属の棒(接地極)を打ち込み、そこから機器まで電線(接地線)を引く工事のことをいいます。

なぜ?なぜわざわざ地面につなぐのか?

感電を防ぐためです。洗濯機のような金属のケースを持つ機器は、内部の電線の被覆が傷むと、ケース自体に電気が漏れて、触った人に電気が流れます。あらかじめケースを地面につないでおけば、漏れた電気は、人の体よりも通りやすい接地線のほうへ逃げていきます。人の体に流れる電気はごくわずかで済みます。

なぜ?なぜ電気は「地面へ逃げる」のか?

漏れた電気は地面を通って変圧器へ帰るという道すじを持っています。電柱などの変圧器の低圧側が、B種接地工事で地面につながれているからです。つまり地面は電気にとっての「帰り道」で、ここへつないでおけば漏れた電気は自然と流れていきます。

なぜ?なぜ人よりも接地線を選んで流れるのか?

電気は流れやすいほうへ、たくさん流れるからです。人の体の抵抗はおよそ数千Ω(オーム)ありますが、きちんと施工した接地線は100Ω以下にします。数十分の一の抵抗しかない道が横にあれば、電気の大部分はそちらへ行きます。これが「接地は感電を防ぐ」ということの中身です。

接地工事にはA種・B種・C種・D種の4つがある

接地工事は、相手の電圧が高いほど、しっかりやる(抵抗を小さくする)という考え方で4つに分けられています。第二種電気工事士の試験で主に問われるのはD種です。

覚える接地工事の種類【暗記】

A種 … 高圧・特別高圧の機器の外箱など。10Ω以下

B種 … 変圧器の低圧側の中性点。数値は計算で決まる

C種 … 300Vを超える低圧の機器の外箱。10Ω以下

D種 … 300V以下の低圧の機器の外箱。100Ω以下(0.5秒以内に動作する漏電遮断器を付けた場合は500Ω以下でよい)

用語Ω(オーム)とは? 接地抵抗が「小さいほどよい」のはなぜ?

Ωは電気の流れにくさ(抵抗)を表す単位です。数が大きいほど流れにくい。接地抵抗とは、接地極から大地までの電気の流れにくさのことです。

なぜ?なぜ接地抵抗は小さいほどよいのか?

漏れた電気を、たくさん・すばやく地面へ逃がしたいからです。抵抗が大きいと電気が地面へ流れきらず、機器のケースに電圧が残ります。残った電圧のことを「対地電圧」といい、これが高いほど触ったときに危険です。だからD種は100Ω以下という上限が決められています。

覚えるD種接地工事の決まり【この問題で使う数字】

対象 … 使用電圧300V以下の機械器具の金属製外箱など。
接地抵抗 … 100Ω以下(0.5秒以内に動作する漏電遮断器があれば500Ω以下)。
接地線の太さ … 直径1.6mm以上の軟銅線(移動して使う機器のコードなら、断面積0.75mm2以上の1心でよい)。

なぜ?なぜ移動する機器だけ細くてよいのか?

持ち運ぶ機器の線は、太いと使いものにならないからです。電気ドリルのコードが固い1.6mmの単線では、曲がらず作業になりません。そこでやわらかい細い線をたくさん束ねたコードを使い、太さの決まりを断面積0.75mm2以上としています。短くて人が持つ線なので、条件をゆるめても安全が保てるという判断です。

D種接地工事を「省略できる」条件

接地工事は原則として必要ですが、感電の危険がじゅうぶんに小さい場合にかぎって省略できます。この省略条件が、そのまま選択肢イとニになっています。

覚えるD種接地工事を省略できる主な場合【暗記】

① 交流対地電圧150V以下/直流300V以下の機器を乾燥した場所に施設するとき

② 低圧用の機器を乾燥した木製の床など、絶縁性のものの上で扱うとき

③ 二重絶縁の構造の機器を使うとき

④ 絶縁変圧器(二次側300V以下・容量3kV・A以下)を使い、その二次側の電路を接地しないで使うとき

⑤ 漏電遮断器(定格感度電流15mA以下・動作時間0.1秒以下の電流動作型)を施設するとき ← ただし「水気のある場所」は除く

用語絶縁変圧器(ぜつえんへんあつき)とは?

入ってくる側(一次側)と、出ていく側(二次側)が、電気的に完全に切り離されている変圧器です。中で電線どうしはつながっておらず、磁石の力だけで電気を渡しています。

なぜ?なぜ切り離すと接地を省略できるのか?

二次側で漏電しても、地面を通って戻る道がないからです。電気は「行って帰る」道がそろって初めて流れます。二次側を接地していない(=地面とつないでいない)と、人が片手で触っても、その人を通って地面へ帰る回路ができません。だから電気が流れにくく、感電しにくくなります。ただしこの安全は小さな範囲でしか成り立たないので、3kV・A以下・二次側300V以下という条件がついています。

用語kV・A(キロボルトアンペア)とは?

変圧器が扱える電気の大きさ(容量)を表す単位です。電圧(V)×電流(A)=V・Aで、その1000倍がkV・A。3kV・Aは3000V・A=100Vで30Aぶんの電気を扱える大きさです。

なぜ?なぜ大きい変圧器では省略が認められないのか?

大きいほど、つながる電線が長くなり、漏れる電気の量も増えるからです。電線が長いと、電線と大地のあいだにたまる電気(静電容量といいます)が無視できなくなり、「二次側を接地していないから安全」という前提がくずれます。そのため3kV・Aという上限が置かれています。

用語二重絶縁・一重絶縁とは?

二重絶縁=絶縁のしくみが二重になっている機器。1枚目の絶縁が破れても、2枚目が残るので外側に電気が出てきません。プラグにアースの端子がなく、四角が二重になった記号が付いています。
一重絶縁=通常の絶縁が1枚だけ。アースが必要です。

なぜ?なぜ一重絶縁の電動工具には接地が要るのか?

絶縁が1枚しかなく、それが破れたら金属のケースがそのまま感電源になるからです。電動ドリルは振動し、削りかすや水分も入り、絶縁が傷みやすい機器です。そのため一重絶縁のものは必ず接地線つきのコードを使います。

なぜ「水気のある場所」だけは省略できないのか

用語漏電遮断器(ろうでんしゃだんき)とは?

電気が本来の道からはずれて漏れていることを見つけて、自動で電気を切る装置です。略してELB、または漏電ブレーカーとも呼ばれます。洗面所やお風呂の近くのコンセント、屋外のコンセントなどに多く使われています。本体に「テストボタン」という小さな押しボタンが付いているのが目印です。

なぜ?なぜ「漏れている」と分かるのか?

行きの電流と帰りの電流を比べているからです。電気は行った分だけ必ず帰ってくるのが正常な状態といえます。ところがどこかで漏れていると、帰ってくる量が減ります。その差(=漏れている分)が決められた値をこえたら、0.1秒ほどで電気を切ります。この問題文にある「定格感度電流15mA」「動作時間0.1秒」とは、15mA(1000分の15アンペア)漏れたら、0.1秒以内に切るという意味です。

ここが選択肢ニの正体です。漏電遮断器を付ければ接地を省略できるという規定はありますが、「水気のある場所を除く」という但し書きがついています。

なぜ?なぜ水気のある場所では省略が認められないのか?

水があると、人の体を通って電気が流れる量が一気に増えるからです。乾いた手で触ったときの人体の抵抗はおよそ数千Ωありますが、濡れた手・濡れた床では数百Ωまで下がります。同じ100Vでも、流れる電流が10倍近くになるということです。

なぜ?なぜ漏電遮断器があっても足りないのか?

漏電遮断器は「漏れてから」切る装置だからです。0.1秒とはいえ、切れるまでのあいだは電気が体に流れます。水気のある場所ではその短い時間でも致命傷になり得るので、「漏らさずに逃がす」接地と、「漏れたら切る」漏電遮断器の両方を要求しています。安全は二段構えにする、という考え方です。

用語水気のある場所・湿気の多い場所とは?

水気のある場所=水を扱う場所・雨にさらされる場所など、水滴が飛ぶような場所(洗い場、屋外の露出部など)。
湿気の多い場所=水滴は飛ばないが、常に湿っている場所(地下室、厨房の隣室など)。

なぜ?なぜこの2つを言い分けるのか?

危険の度合いがちがうからです。規定によって「湿気の多い場所まで禁止」のものと、「水気のある場所だけ禁止」のものがあります。この問題は「水気のある場所」で接地の省略を認めないという規定なので、選択肢の言葉づかいをそのまま読み取ってください。

選択肢を1つずつ判定する

イ 二次側100V・3kV・Aの絶縁変圧器(二次側非接地)に電動丸のこぎりを接続し、接地なしで使用 … 3kV・A以下・二次側300V以下・二次側非接地の条件をすべて満たす。→ 適切

ロ 三相200V・0.75kW電動機の接地線に直径1.6mmのIV電線 … D種の接地線は直径1.6mm以上。ちょうど下限を満たす。→ 適切

ハ 単相100V移動式の電気ドリル(一重絶縁)の接地線に断面積0.75mm2の多心コードの1心 … 移動して使う機器は0.75mm2以上でよい。→ 適切

ニ 水気のある場所に電動機を設置し、漏電遮断器(15mA・0.1秒)を付けたので接地を省略 … 水気のある場所では、漏電遮断器による省略は認められない。→ 不適切

よって答えはニです。

用語IV電線とは?

600Vビニル絶縁電線のことで、銅の線1本をビニルで包んだだけの電線です。「IV」はIndoor Vinylの略。電線管の中に通したり、接地線に使ったりします。

なぜ?なぜ接地線に緑色のIV電線を使うのか?

ひと目で「これは接地線だ」と分かるようにするためです。接地線は緑と決められています。色を統一しておけば、あとから点検する人が誤って外したり、電圧線とつなぎ間違えたりする事故を防げます。

間違えた人が選びやすい選択肢

特に引っかかりやすいのはハです。「0.75mm2なんて細すぎるのでは?」と感じるからです。しかし移動して使う機器の接地線は0.75mm2以上でよいと決まっています。「1.6mm=固定して使う機器/0.75mm2=持ち運ぶ機器」という2本立てで覚えてください。

イも迷います。「接地を施さないで使用した」という言い切りが不安をあおるからです。しかし3kV・A・二次側非接地の絶縁変圧器という条件がそろっていれば、省略は正しい判断です。数字(3kV・A)と「非接地」の2語を必ず確認しましょう。

覚えるこの問題の覚え方

「水気のある場所では、接地の省略はできない」——この1行がこの問題の核心です。省略が認められるのは「乾いている」「絶縁されている」「二重絶縁」「絶縁変圧器」のような、そもそも電気が人に流れない状況のときだけ。漏電遮断器は「漏れたあと」の対策なので、水気のある場所では単独では認められないと理解しておけば、言い回しが変わっても判断できます。

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問23

分野:施工(金属管工事の末端)重要度 ★★★

図に示す雨線外に施設する金属管工事の末端A又はB部分に使用するものとして,不適切なものは。

雨線外に施設する金属管工事の末端。左が垂直配管でA部分、右が水平配管でB部分
イ.A部分にエントランスキャップを使用した。
ロ.B部分にターミナルキャップを使用した。
ハ.B部分にエントランスキャップを使用した。
ニ.A部分にターミナルキャップを使用した。
答え・解説を見る
正解
ニ.A部分にターミナルキャップを使用した。
この問題は何を聞いているの?

「雨のかかる場所で、金属管の口にかぶせるフタとして、使ってはいけない組み合わせはどれか」を聞いています。登場する部品は2つだけ、使う場所も2つだけなので、組み合わせを覚えてしまえば得点しやすい問題です。

図の読み方

図には左と右で2つの配管が描かれています。左が「垂直配管」、右が「水平配管」です。どちらも壁(斜線が引いてある部分が壁の断面です)に沿って金属管が来ていて、点線の丸で囲まれた部分が、管の末端(口)を表しています。ここに何をかぶせるか、というのがこの問題です。

コツ図に描かれているもの

A部分(左・垂直配管) … 金属管が壁に沿って下から上へ立ち上がり、その先が上を向いて終わっている末端

B部分(右・水平配管) … 金属管が壁から横向きに出て終わっている末端

斜線の帯 … 建物の壁(断面)

点線の丸 … 「ここに何を付けるか」を示す印。部品そのものは描かれていない

用語雨線外(うせんがい)とは?

雨がかかる場所のことです。正確には、軒先(のきさき)の先端から、壁に向かって45度の角度で引いた線より外側を指します。ここより内側(雨線内)は、屋根に守られていて雨がかからないとみなされます。

なぜ?なぜ45度という線で区切るのか?

雨は真下に落ちるだけでなく、風で斜めに降り込むからです。「多少の風があっても、この角度より内側なら雨は届かない」という目安として、45度という線が決められています。この問題で「雨線外」と書かれているのは、「雨水が入らない部品を選びなさい」という意味です。

エントランスキャップとターミナルキャップ

この2つが、この問題に出てくる部品のすべてです。どちらも金属管の口にかぶせるフタですが、電線が出ていく向きがちがいます。

用語エントランスキャップとは?

金属管の末端に取り付ける、雨水が入らないようにできたフタです。出口が下向きに曲がっているのが特徴で、電線はいったん上に出てから、下を向いて外へ出ていきます。

なぜ?なぜ下向きの出口だと雨水が入らないのか?

雨は上から落ちてくるからです。出口が下を向いていれば、落ちてきた雨水は出口に入れず、そのままフタの外側を流れ落ちます。傘の内側に雨が入らないのと同じ理屈です。だから上向きの管の末端(垂直配管)でも安心して使えます。

用語ターミナルキャップとは?

金属管の末端に取り付ける、電線が横向きに出ていくフタです。「サービスキャップ」とも呼ばれます。出口が真横を向いているのが特徴です。

なぜ?なぜ横向きの出口だと使える場所が限られるのか?

管が上を向いていると、出口も上を向いてしまうからです。横向きに出るということは、管の向きがそのまま出口の向きになるということです。水平の管に付ければ出口は横を向いて問題ありませんが、垂直に立ち上がった管の上端に付けると、出口が空を向いて、雨水がそのまま管の中へ流れ込みます。管の中に水がたまれば、電線の絶縁が傷んで漏電の原因になります。

覚える使える場所【暗記】

エントランスキャップ … 垂直配管にも水平配管にも使える(オールマイティー)

ターミナルキャップ … 水平配管だけ。垂直配管の上向き末端には使えない

なぜ?なぜエントランスキャップは両方に使えるのか?

出口がもともと下を向いているので、管がどちらを向いていても雨が入らないからです。水平の管に付けた場合も、出口は斜め下を向くように作られています。

なぜ?なぜ試験ではこの組み合わせが繰り返し問われるのか?

実際の現場で、間違えると事故につながりやすい部分だからです。垂直配管の上端にターミナルキャップを付けると、雨のたびに管の中へ水が入り、数年で漏電やブレーカーの誤動作を起こすおそれがあります。見た目では分かりにくいのに被害が大きいので、繰り返し出題されます。

選択肢を1つずつ判定する

イ A(垂直配管)にエントランスキャップ … エントランスキャップは垂直でも使える。→ 適切

ロ B(水平配管)にターミナルキャップ … ターミナルキャップの本来の使い方。→ 適切

ハ B(水平配管)にエントランスキャップ … エントランスキャップは水平でも使える。→ 適切

ニ A(垂直配管)にターミナルキャップ … 出口が上を向いて雨水が入る。→ 不適切

よって答えはニです。

間違えた人が選びやすい選択肢

よくある取りちがえはハです。「エントランスキャップは垂直用、ターミナルキャップは水平用」と、1対1で覚えてしまった人が、「水平にエントランスは違う」と考えて選んでしまいます。しかしエントランスキャップは水平配管にも使えます。正しくは「エントランスは両方OK、ターミナルは水平だけ」という片側だけの制限です。

また、AとBのどちらが垂直かを図で取り違えるミスも起きます。図の下に「垂直配管」「水平配管」と書いてあるので、解き始める前に、A=垂直・B=水平と余白にメモするのが確実です。

覚えるこの問題の覚え方

「エントランスは、どこでも入れる(両方OK)。ターミナルは、横だけ」と覚えます。理由でも思い出せます——エントランスキャップは口が下を向いているから雨が入らない、ターミナルキャップは口が真横だから、管が上を向くと空を向いてしまう。「垂直(上向き)+ターミナル」の組み合わせを見たら不適切、これだけ押さえてください。

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問24

分野:検査(竣工検査の順序)重要度 ★★★

一般用電気工作物の竣工(新増設)検査に関する記述として,誤っているものは。

イ.検査は点検,通電試験(試送電),測定及び試験の順に実施する。
ロ.点検は目視により配線設備や電気機械器具の施工状態が「電気設備に関する技術基準を定める省令」などに適合しているか確認する。
ハ.通電試験(試送電)は,配線や機器について,通電後正常に使用できるかどうか確認する。
ニ.測定及び試験では,絶縁抵抗計,接地抵抗計,回路計などを利用して測定し,「電気設備に関する技術基準を定める省令」などに適合していることを確認する。
答え・解説を見る
正解
イ.検査は点検,通電試験(試送電),測定及び試験の順に実施する。
この問題は何を聞いているの?

「電気工事が終わったあとの検査について、まちがった説明はどれか」を聞いています。ロ・ハ・ニは「それぞれの検査で何をするか」の説明で、イだけが「どの順番でやるか」の説明です。1つだけ性質のちがう選択肢があることに気づけば、そこを疑うのが近道です。

竣工検査とは?

用語竣工検査(しゅんこうけんさ)とは?

電気工事が完成したときに、決まりどおりにできているかを確かめる検査のことです。「竣工」は工事が完成することという意味です。新しく作ったときだけでなく、増設したとき(回路を足したとき)にも行います。

なぜ?なぜ完成したあとにわざわざ検査するのか?

電気の不具合は、見ただけでは分からないものが多いからです。電線の被覆が中で傷んでいても、アースがつながっていなくても、見た目はきれいで、しかもスイッチを入れれば普通に動いてしまいます。数か月後に漏電や火災になって初めて分かる、ということもあり得るのです。だから計器を使って、目に見えないところを数値で確かめる必要があります。

用語一般用電気工作物(いっぱんようでんきこうさくぶつ)とは?

電力会社から低圧(600V以下)で電気を受けて使う、小さな電気設備のことです。一般的な住宅、小さな店、小さな事務所がこれにあたります。第二種電気工事士が工事できるのは、この一般用電気工作物です。

なぜ?なぜ規模で分けるのか?

設備が大きくなるほど、扱う電圧も電流も大きく、事故の被害が大きくなるからです。工場やビルのように高圧で受電する設備は「自家用電気工作物」と呼ばれ、電気主任技術者という別の資格者の管理が必要になります。規模に応じて必要な資格を分ける、という考え方です。

検査の正しい順序は「見る → 測る → 通す」

この問題の答えは、ここで決まります。竣工検査は次の順で行います。

①点検(目視) … まず目で見て、配線・器具の取り付け状態を確かめる。電気を流さずにできるので最初にやる

②測定及び試験 … 絶縁抵抗計・接地抵抗計などで測る。電気を流す前に、漏れていないか・アースが効いているかを数値で確認する

③通電試験(試送電) … いちばん最後に電気を流して、実際に照明が点くか、機器が動くかを確かめる

なぜ?なぜ通電(電気を流すこと)を最後にするのか?

危険や損害が出る可能性がいちばん高い作業だからです。もし絶縁が悪い状態で電気を流せば、その瞬間に漏電・感電・機器の焼損が起きるおそれがあります。先に目で見て、計器で測って、「流しても大丈夫」と確認してから流すのが安全の基本です。

なぜ?なぜ測定を点検より後にするのか?

目で見れば分かることを、わざわざ計器で探すのは無駄だからです。電線が外れている、ねじが締まっていない、といった不具合は、見ただけで分かります。手軽な方法から順に、だんだん手間のかかる方法へ進むのが合理的です。

用語通電試験(つうでんしけん)・試送電(しそうでん)とは?

実際に電気を流して、正常に使えるかどうかを確かめることです。照明が点くか、コンセントに電気が来ているか、スイッチと照明の対応が合っているか、モーターが正しい向きに回るか、などを見ます。

なぜ?なぜ測定だけで済ませず、実際に流してみるのか?

計器では分からない「つなぎ間違い」があるからです。絶縁抵抗もアースも問題ないのに、玄関のスイッチを押すと台所の照明が点く——といった配線の入れ替わりは、電気を流して初めて分かります。

測定に使う3つの計器

覚える竣工検査で使う計器【暗記】

絶縁抵抗計(メガー) … 電線から電気が漏れていないかを測る。単位はMΩ(メガオーム)。100Vの回路なら0.1MΩ以上が合格

接地抵抗計(アーステスタ) … アースがきちんと地面につながっているかを測る。単位はΩ。D種なら100Ω以下が合格

回路計(テスター) … 電圧・電流・抵抗を測る道具。導通(電気が通っているか)の確認にも使う

用語絶縁抵抗(ぜつえんていこう)とは?

電線と、その外側(大地や他の電線)とのあいだの「電気の漏れにくさ」のことです。数が大きいほど漏れにくく、良い状態を表します。単位はMΩ(メガオーム)で、1MΩ=100万Ωです。

なぜ?なぜ「大きいほどよい」のか? 接地抵抗とは逆では?

測っている場所が正反対だからです。絶縁抵抗は「漏れてほしくない場所」の抵抗なので、大きいほどよい。接地抵抗は「電気を逃がしたい場所」の抵抗なので、小さいほどよい。「絶縁は大きく、接地は小さく」と対にして覚えると混同しません。

選択肢を1つずつ判定する

例イ 点検 → 通電試験 → 測定及び試験の順 … 通電が2番目になっている。正しくは点検 → 測定及び試験 → 通電試験。→ 誤り

ロ 点検は目視で施工状態が技術基準に適合しているか確認 … 点検の説明として正しい。→ 正しい

ハ 通電試験は通電後正常に使用できるかを確認 … 通電試験の説明として正しい。→ 正しい

ニ 測定及び試験は絶縁抵抗計・接地抵抗計・回路計などで測定して確認 … 使う計器も目的も正しい。→ 正しい

よって答えはイです。

間違えた人が選びやすい選択肢

ロ・ハ・ニはどれも「言っていることが正しい」ので、迷った人はニを選びがちです。ニには計器の名前が3つも並んでいて、「この中に1つくらい違うものが混ざっているのでは」と疑いたくなるからです。しかし絶縁抵抗計・接地抵抗計・回路計は、いずれも竣工検査の定番で、この3つに誤りはありません。

この問題は、選択肢の中で1つだけ「順番」を語っているイに真っ先に目をつけるのが正解への近道です。「順序を書いた選択肢が1つだけあったら、まずそこを疑う」——ほかの正誤問題でも使えるコツです。

覚えるこの問題の覚え方

「見る → 測る → 通す」の3文字で覚えます。いちばん危険な「通す(通電)」は、必ず最後。順番を思い出せなくなったら、「安全を確かめてから電気を流す」という当たり前の考え方に戻れば、正しい順序にたどりつけます。ちなみに点検・測定・通電の3つが竣工検査の中身だ、という枠組みも覚えておくと他の年度の出題にも対応できます。

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問25

分野:検査(単相3線式の故障)重要度 ★★★

図のような単相3線式回路で,開閉器を閉じて機器Aの両端の電圧を測定したところ150 Vを示した。この原因として,考えられるものは。

単相3線式回路。左が電源で200V、中央が開閉器、右にa線と中性線のあいだの機器Aと、中性線とb線のあいだの機器B。機器Aの両端に電圧計が接続されている
イ.機器Aの内部で断線している。
ロ.a線が断線している。
ハ.b線が断線している。
ニ.中性線が断線している。
答え・解説を見る
正解
ニ.中性線が断線している。
この問題は何を聞いているの?

「本来100Vのはずのところで150Vが出た。どこが壊れているのか」を聞いています。故障の原因をあてる問題で、電気工事士の試験ではたびたび出題されています。計算は不要で、「中性線が切れたらどうなるか」を知っているかどうかだけの問題です。

図の読み方

図を左から右へ読んでいきます。

コツ図に描かれているもの

左(矢印と数字) … 電源。上下の100Vが2つ、合わせて200V。これが単相3線式であることを表している

中央(点線の四角と丸) … 開閉器(スイッチ)。3本の線をまとめて入り切りする

右上の「機器A」 … a線と中性線のあいだにつながっている。本来100V

右下の「機器B」 … 中性線とb線のあいだにつながっている。本来100V

丸にVの記号 … 電圧計。機器Aの両端の電圧を測っている

用語電圧計(でんあつけい)とは?

2点間の電圧(電気を押す力の差)を測る計器です。図では丸の中にVと書かれた記号で表され、測りたい部分と並列(横に並べて)につなぎます。

なぜ?なぜ電圧計は並列につなぐのか?

電圧は「2点の差」だからです。高さの差を測るには両端に定規を当てるのと同じで、測りたいものの両端に橋渡しするようにつなぎます。(電流計は逆に、流れの中に割り込ませる=直列につなぎます。)

用語開閉器(かいへいき)とは?

回路の電気を、入れたり切ったりするスイッチのことです。「開閉器を閉じる」=スイッチを入れて電気を流すという意味です。

なぜ?なぜ「閉じる」が「電気を入れる」なのか?

回路(電気の通り道)が輪になってつながることを「閉じる」と表現するからです。電気は輪がつながって初めて流れます。逆に切ることは「開く」といいます。日常の「ふたを閉じる=ふさぐ」とは逆なので、「閉じる=電気が流れる/開く=止まる」と覚え直してください。

正常なときはどうなっているか

故障を考える前に、正常な状態を押さえます。単相3線式は、100Vの電源が2つ、たてに直列に積み重なっていると考えると分かりやすいです。そのつなぎ目から出ているのが中性線です。

例a線と中性線のあいだ … 上の電源の100Vがそのままかかる … 機器Aに100V

中性線とb線のあいだ … 下の電源の100Vがそのままかかる … 機器Bに100V

a線とb線のあいだ … 上下を足して … 200V

なぜ?なぜ中性線があると、機器AとBがそれぞれ100Vになるのか?

中性線が「まん中の基準点」を機器のところまで持ってきているからです。中性線があるおかげで、機器Aは上の100V電源だけに、機器Bは下の100V電源だけにつながった形になります。2つの機器はおたがいに独立していて、相手の影響を受けません。

なぜ?なぜ独立していることが大事なのか?

片方でどんな機器を使っても、もう片方の電圧が変わらないようにするためです。エアコンを入れたら隣の部屋の照明が暗くなる、といったことが起きないのは、中性線が基準点を保っているからです。

中性線が切れると何が起きるか(この問題の核心)

では中性線が断線すると、どうなるでしょうか。まん中の基準点が消えます。すると機器Aと機器Bはもう独立していられません。

① 中性線が切れると、機器Aと機器Bをつなぐ道はどうなるか … a線 → 機器A → (切れた中性線の位置) → 機器B → b線という1本のつながりだけが残る

② その1本にかかる電圧は … a線とb線のあいだ=200V

③ つまり … 機器Aと機器Bが直列につながれて、そこに200Vがかかる状態になる

④ 直列につながれた2つの機器に、200Vはどう分かれるか … 抵抗の大きいほうに、大きい電圧がかかる

⑤ この問題では … 機器Aに150V、機器Bに50Vと分かれた(合計200V)

用語直列(ちょくれつ)とは? なぜ抵抗の大きいほうに大きな電圧がかかるのか?

直列=部品を1列にならべて、同じ電流が順番に通っていくつなぎ方です。水道でいえば、1本のホースの途中に細い部分と太い部分がある状態です。

なぜ?なぜ抵抗が大きいほうに電圧が集まるのか?

直列では、どの部品にも同じ大きさの電流が流れるからです。同じ電流を、抵抗の大きい部品に通そうとすれば、それだけ強く押してやらなければなりません。この「押す力」が電圧です。抵抗が大きい=通りにくい=強く押す必要がある=電圧が大きくかかる、という関係になります。(オームの法則「電圧=抵抗×電流」の、電流が同じ場合そのものです。)

なぜ?なぜ「150V」という半端な数字になるのか?

機器Aと機器Bの抵抗の比が、そのまま電圧の比になるからです。合計200Vが150Vと50Vに分かれたということは、機器Aの抵抗は機器Bの3倍だったと分かります。

なぜ?なぜ機器によって抵抗がちがうのか?

消費する電力(ワット数)がちがうからです。電気をたくさん使う機器ほど電流をよく通す=抵抗が小さい。電気をあまり使わない機器ほど抵抗が大きい。つまり中性線が切れると、あまり電気を使っていない機器のほうに、高い電圧がかかって壊れることがあります。「使っていないほうが壊れる」という理不尽さが、この故障のこわいところです。

用語中性線欠相(けっそう)とは?

単相3線式で中性線が切れてしまう故障のことです。「欠相」は相(電線)が欠けるという意味。実際の住宅でも起きる事故で、テレビや照明が同時に何台も焼けるという大きな被害につながります。

なぜ?なぜ対策としてブレーカーに「中性線欠相保護」が付いているのか?

中性線が切れたことを、ブレーカー自身が見張って、すぐ全部切るためです。中性線欠相保護付きの遮断器は、片側の電圧が異常に高くなったことを感じ取って回路を切り離します。新築住宅の分電盤には、この機能付きが広く使われています。

ほかの選択肢だったら、電圧計は何Vを示すか

答えを確かめるために、ほかの3つが起きた場合に何Vになるかを1つずつたどってみます。ここまでできれば、この形の問題で迷うことは少なくなるでしょう。

覚えるイ 機器Aの内部で断線 … 機器Aに電流が流れなくなるだけ。電圧計はa線と中性線のあいだ=100Vをそのまま示す。→ 100V

ロ a線が断線 … 機器Aへ電気が来なくなる。電圧計の一方の端に電源がつながっていない。→ ほぼ0V

ハ b線が断線 … 下側(機器Bの回路)だけが止まる。上側の機器Aは中性線が生きているので正常のまま。→ 100V

ニ 中性線が断線 … 機器AとBが直列になり200Vを分け合う。抵抗の大きい機器Aに大きな電圧。→ 100Vより大きい値になり得る=150Vはこれ

100Vを超える値が出るのは、中性線の断線のときだけです。よって答えはニです。

間違えた人が選びやすい選択肢

特に選ばれやすいのはロ(a線が断線)です。「機器Aの電圧がおかしいのだから、機器Aにつながっているa線が怪しい」と素直に考えてしまうためです。しかしa線が切れたら電圧は下がる(0Vになる)のであって、150Vに上がることはありません。「電圧が上がった」のか「下がった」のかを、まず確認してください。

イ(機器Aの内部で断線)も選ばれます。「機器Aがおかしいのだから機器Aの故障だろう」という考え方です。しかし機器そのものが切れても、両端にかかる電源の電圧(100V)は変わりません。機器の故障では、電源の電圧は変えられない——ここが理解の分かれ目です。

覚えるこの問題の覚え方

「100Vのはずが100Vより高い → 中性線の断線」。これだけで答えが出ます。理由もセットで覚えてください——中性線が切れると、2つの機器が直列につながって200Vを分け合う。だから片方は100Vより高く、もう片方は100Vより低くなり、2つを足すと200Vになります。この問題なら機器A=150V、機器B=50Vです。足して200Vになるかどうかで、自分の理解を確かめられます。

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問26

分野:検査(接地抵抗計)重要度 ★★☆

接地抵抗計(電池式)に関する記述として,誤っているものは。

イ.接地抵抗計には,ディジタル形と指針形(アナログ形)がある。
ロ.接地抵抗計の出力端子における電圧は,直流電圧である。
ハ.接地抵抗測定の前には,接地抵抗計の電池が有効であることを確認する。
ニ.接地抵抗測定の前には,地電圧が許容値以下であることを確認する。
答え・解説を見る
正解
ロ.接地抵抗計の出力端子における電圧は,直流電圧である。
この問題は何を聞いているの?

「接地抵抗計という測定器について、まちがった説明はどれか」を聞いています。1つだけ、はっきり事実と違うことが書いてあります。それを見つけるために、まずはこの計器が何をする道具なのかを見ていきましょう。

接地抵抗計とは何をする道具か

用語接地抵抗計(せっちていこうけい)とは?

アース(接地)が、きちんと地面につながっているかを測る計器です。「アーステスタ」とも呼ばれます。測るのは接地極(地中に打ち込んだ金属の棒)から大地までの、電気の流れにくさで、単位はΩ(オーム)です。

なぜ?なぜアースの良し悪しを測る必要があるのか?

アースは、つないだだけでは効いているとは限らないからです。土が乾いていたり、石が多かったり、接地極が浅かったりすると、見た目はつながっていても、電気は地面へ流れていきません。そうなると漏電したときに電気が逃げ場を失い、アースがないのと同じになってしまいます。だから工事の完了時に必ず数値で確かめます。

用語接地抵抗(せっちていこう)とは?

接地極から大地へ電気が流れ出るときの、流れにくさのことです。数が小さいほど、電気がよく地面へ逃げる=良い状態です。D種接地工事なら100Ω以下(0.5秒以内に切れる漏電遮断器があれば500Ω以下)が合格ラインになります。

なぜ?なぜ土の状態で数値が変わるのか?

電気を運ぶのは、土そのものではなく、土に含まれる水分と塩分だからです。乾いた砂地や岩盤では電気が流れにくく、数値が大きく出ます。湿った粘土質の土ではよく流れ、数値は小さくなります。同じ場所でも雨のあとと日照りのあとでは値が変わるほどです。

どうやって測っているのか(3つの端子)

接地抵抗計にはE・P・Cという3つの端子があり、3本の線を地面に配置して測ります。これを「電位降下法」といいます。

例接地抵抗計の3つの端子

E端子 … 測りたい接地極につなぐ(Earth=アース)

P端子 … 補助接地極(電圧を測るための棒)につなぐ(Potential=電位)

C端子 … 補助接地極(電流を流すための棒)につなぐ(Current=電流)

並べ方 … E・P・Cの順に、ほぼ一直線に、約5〜10mずつ離して打ち込む

なぜ?なぜ棒を3本も使うのか?

「地面に電気を流してみて、そのとき生じた電圧を測る」ことで抵抗を求めているからです。EとCのあいだに電流を流し、EとPのあいだの電圧を測ります。電圧 ÷ 電流 = 抵抗(オームの法則)で接地抵抗が求まります。

なぜ?なぜ電圧用と電流用の棒を分けるのか?

電流を流している棒で電圧も測ると、余計な電圧まで一緒に測ってしまうからです。測定用の線そのものにも抵抗があり、そこで生じる電圧が誤差になります。電流を流す係(C)と、電圧を見る係(P)を分けることで、知りたい部分の電圧だけを正確に測れます。

ここが答え——流すのは交流であって直流ではない

選択肢ロには「出力端子における電圧は、直流電圧である」と書かれています。これが誤りです。接地抵抗計が地面に流すのは交流です。(一般に数百Hzの交流が使われます。)

用語直流(ちょくりゅう)と交流(こうりゅう)とは?

直流=電気がいつも同じ向きに流れ続けるもの。乾電池がこれです。
交流=流れる向きが、行ったり来たりを高速でくり返すもの。コンセントの電気がこれです。

なぜ?なぜ接地抵抗の測定に交流を使うのか?

直流を土に流すと、電気分解のような現象が起きて、正しい値が測れなくなるからです。土の中には水分と、そこに溶けたイオン(電気を帯びた粒)があります。直流を流し続けると、プラスのイオンとマイナスのイオンがそれぞれの電極に集まって層をつくり、電気の流れを邪魔します。これが「分極(ぶんきょく)」と呼ばれる現象です。向きが入れ替わる交流なら、イオンが片側に集まる前に向きが変わるので、分極が起きず、安定した値が測れます。

コツでは「電池式」と書いてあるのはなぜ?

計器を動かす電源が乾電池だからです。電池から取り出した直流を、計器の内部で交流に作り変えてから地面へ流します。

なぜ?なぜここが引っかけになるのか?

「電池式=直流」と早合点させるためです。出題者はこの思い込みを狙っています。電源が電池であることと、外へ出す電気が直流であることは別の話です。同じ理屈で絶縁抵抗計(メガー)も電池式ですが、そちらが出すのは直流です。2つを並べて覚えると、どちらも間違えにくくなります。

覚える2つの「電池式の計器」のちがい【暗記】

接地抵抗計 … 電源は電池。出す電気は交流(分極を防ぐため)

絶縁抵抗計(メガー) … 電源は電池。出す電気は直流(100V回路なら125V、200V回路なら250Vの直流をかけて漏れを見る)

地電圧のチェックも忘れずに

用語地電圧(ちでんあつ)とは?

測ろうとしている接地極に、もともと現れている電圧のことです。他の設備の漏れ電流や、鉄道の迷走電流(線路から地中へ漏れ出た電流)などが原因で、何もしていないのに地面のあいだに電圧が出ていることがあります。

なぜ?なぜ測定の前に地電圧を確かめるのか?

もともと電圧があると、測定結果がその分だけ狂うからです。接地抵抗計は「自分が流した電流と、そのとき出た電圧」から抵抗を計算しています。関係のない電圧がまざっていれば、計算結果もずれてしまうわけです。そのため多くの接地抵抗計には地電圧を測る機能がついていて、許容値(おおむね数V〜10V程度)以下であることを確かめてから測定に入ります。

選択肢を1つずつ判定する

イ ディジタル形と指針形(アナログ形)がある … どちらも実際に売られている。→ 正しい

ロ 出力端子における電圧は直流電圧 … 正しくは交流電圧。分極を避けるため。→ 誤り

ハ 測定前に電池が有効であることを確認 … 電池が弱ると必要な電流を流せず、正しく測れない。→ 正しい

ニ 測定前に地電圧が許容値以下であることを確認 … 地電圧があると測定値が狂う。→ 正しい

よって答えはロです。

間違えた人が選びやすい選択肢

ニ(地電圧)を選んでしまいがちです。「地電圧」という言葉自体を初めて見て、知らない言葉=あやしいと判断してしまうためです。しかし地電圧の確認は実際の測定手順にきちんと含まれており、正しい記述といえます。「知らない用語が出てきたら誤り」という選び方は、この試験では通用しません。

イ(ディジタル形と指針形)も、「ディジタル」という表記の古さから引っかかる人がいますが、これは公式の問題文の表記であって、内容は正しい記述です。

覚えるこの問題の覚え方

「接地は交流、絶縁は直流」——この対で覚えます。理由もいっしょに——接地は土に流すから、直流だと分極して測れない。絶縁は電線の被覆に電圧をかけて漏れを見るので、直流でよい。そしてどちらも電源は乾電池です。「電池式」という言葉に引っぱられて「だから直流」と決めつけないことが、この問題を落とさないコツです。

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問27

分野:検査(漏れ電流計)重要度 ★★☆

漏れ電流計(クランプ形)に関する記述として,誤っているものは。

イ.漏れ電流計(クランプ形)の方が一般的な負荷電流測定用のクランプ形電流計より感度が低い。
ロ.接地線を開放することなく,漏れ電流が測定できる。
ハ.漏れ電流専用のものとレンジ切換えで負荷電流も測定できるものもある。
ニ.漏れ電流計には増幅回路が内蔵され,[mA]単位で測定できる。
答え・解説を見る
正解
イ.漏れ電流計(クランプ形)の方が一般的な負荷電流測定用のクランプ形電流計より感度が低い。
この問題は何を聞いているの?

「漏れ電流計という測定器について、まちがった説明はどれか」を聞いています。「感度が低い」か「感度が高い」か——この1点だけで答えが決まる、シンプルな問題です。

クランプ形の電流計とは

用語クランプ形電流計とは?

電線をはさむだけで、そこに流れている電流が測れる計器です。「クランプ」ははさむという意味。洗濯ばさみのような形の輪が開いて、電線をぐるりと囲みます。

なぜ?なぜ電線を切らずに、はさむだけで測れるのか?

電線に電流が流れると、そのまわりに磁気(じき)が生まれるからです。電流が大きいほど磁気も強くなります。クランプ形の計器は、はさんだ輪の中でこの磁気の強さを感じ取り、逆算して電流の大きさを表示しています。電線に直接触らないので、電気を止めずに測れるのが最大の利点です。

用語漏れ電流(もれでんりゅう)とは?

本来の通り道からはずれて、絶縁の傷んだところから外へ流れ出てしまった電気のことです。「漏電(ろうでん)」の量、と考えて構いません。正常な機器でもごくわずかには漏れており、その量はmA(ミリアンペア)単位の小さな値です。

なぜ?なぜ漏れ電流を測る必要があるのか?

火災や感電になる前に、絶縁が傷んできたことに気づくためです。漏れ電流が少しずつ増えているなら、その回路のどこかで絶縁が劣化しているという信号です。大きな事故になる前に手を打てます。

用語mA(ミリアンペア)とは?

電流の単位Aの1000分の1です。1A=1000mA。1mAは0.001Aという、とても小さな電流です。

なぜ?なぜこんな小さな単位が必要なのか?

命にかかわるかどうかの境目が、この大きさだからです。人体に流れる電流がおおよそ50mA前後になると、心臓が正常に動けなくなり、命にかかわります。漏電遮断器の定格感度電流が30mAや15mAに設定されているのは、この危険な値に達する前に電気を切るためです。1Aの単位で見ていては、危険を見逃してしまいます。

なぜ漏れ電流計のほうが「感度が高い」のか

ここが答えの決め手になります。一般的なクランプ形電流計は、数A〜数百Aの電流を測る道具です。一方漏れ電流計が測るのは、mA単位という、桁ちがいの小ささです。

例負荷電流測定用のクランプ形電流計 … 測るのは数A〜数百A。目盛りの単位はA

漏れ電流計(クランプ形) … 測るのは数mA以下。目盛りの単位はmA

→ 桁ちがいに小さいものを測るのだから、漏れ電流計のほうが感度は高い

用語感度(かんど)が高い・低いとは?

どれだけ小さな変化を感じ取れるかという性能のことです。感度が高い=小さいものまで測れる。感度が低い=大きいものしか測れない。

なぜ?なぜ「感度が高い」ものを、何にでも使わないのか?

感度が高い計器は、大きな電流を測れないからです。料理のはかりで考えると分かりやすくなります。0.1g単位まで量れる精密なはかりに、10kgの米袋は載せられません。測る対象の大きさに合った道具を選ぶ、というだけのことです。だから現場では負荷電流用と漏れ電流用の2つを使い分けます。

用語増幅回路(ぞうふくかいろ)とは?

小さな信号を、大きくして扱いやすくする電子回路のことです。漏れ電流計の中に組み込まれています。

なぜ?なぜ増幅回路が必要なのか?

1mAの電流が作る磁気は、あまりにも弱くて、そのままでは読み取れないからです。クランプが感じ取ったごく小さな信号を、電子回路で何百倍・何千倍にも大きくしてから、目盛りや数字にします。マイクで拾った小さな声をアンプで大きくするのと同じ仕組みです。このおかげでmA単位での表示ができます。

接地線をはさむだけで漏れ電流が分かる理由

選択肢ロの「接地線を開放することなく」とは、アース線を外したり切ったりしなくても、という意味です。これは正しい記述です。

なぜ?なぜ接地線をはさむと漏れ電流が測れるのか?

漏れた電気は、接地線を通って地面へ帰っていくからです。つまり接地線に流れている電流=漏れている電流です。クランプではさむだけなので、電気を止めずに、線も外さずに測れます。

なぜ?なぜ「外さずに測れる」ことが重要なのか?

アース線を外している最中に漏電が起きたら、感電するおそれがあるからです。外している数分間、その機器は保護されていない状態になります。また、稼働中の設備の電気を止めれば業務が止まります。止めずに・外さずに測れることが、クランプ形の最大の価値です。

用語電源線をまとめてはさむ測り方もある

接地線ではなく、行きと帰りの電線をまとめてはさむ方法もあります。単相2線式なら2本、三相3線式なら3本を、まとめて1つのクランプの中に入れます。

なぜ?なぜまとめてはさむと漏れ電流だけが分かるのか?

正常なら、行った電気と帰ってきた電気は同じ量で、たがいに打ち消し合うからです。行き100Aで帰り100Aなら、差し引き0になり、計器は0を示します。ところが漏電していると、行った電気の一部が地面へ逃げてしまい、帰ってくる量が少なくなります。その差の分が漏れ電流として表示されるのです。これは漏電遮断器が漏電を見つけている仕組みとまったく同じ考え方です。

選択肢を1つずつ判定する

例イ 漏れ電流計のほうが負荷電流測定用より感度が低い … 逆。mA単位まで測る漏れ電流計のほうが感度は高い。→ 誤り

ロ 接地線を開放することなく測定できる … はさむだけなので線を外す必要がない。→ 正しい

ハ 漏れ電流専用のものと、レンジ切換えで負荷電流も測れるものがある … 実際に両用のものが売られている。→ 正しい

ニ 増幅回路が内蔵され、mA単位で測定できる … 小さな信号を増幅してmA表示する。→ 正しい

よって答えはイです。

間違えた人が選びやすい選択肢

ハ(レンジ切換えで両方測れる)を疑う人もいるでしょう。「専用の道具のはずなのに、両方測れるのはおかしいのでは」と考えるためです。しかし実際に両用の製品があります。内部で測定回路を切り替えることで、1台で負荷電流(A)と漏れ電流(mA)の両方に対応しています。

選択肢イは、「感度が低い」の「低い」を「高い」に変えただけの典型的なひっかけです。「高い/低い」「大きい/小さい」「以上/以下」といった向きの言葉は、この試験で入れ替えられやすい部分です。選択肢を読むときは、向きを表す言葉に印をつけながら読む習慣をつけてください。

覚えるこの問題の覚え方

「小さいものを測る道具ほど、感度は高い」——ごく当たり前のことです。漏れ電流計はmA(1000分の1A)まで測るのだから、Aの単位で測る一般的な電流計より感度が高いことになります。数字の大小で考えれば、暗記しなくても判断できます。そしてクランプ形=はさむだけ=電気も止めず線も外さない。この2点を押さえれば、ほかの年度の漏れ電流計の問題にも対応しやすくなります。

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問28

分野:法令(4つの法律の役割)重要度 ★★★

次の記述は,電気工作物の保安に関する法令について記述したものである。誤っているものは。

イ.「電気工事士法」は,電気工事の作業に従事する者の資格及び権利を定め,もって電気工事の欠陥による災害の発生の防止に寄与することを目的としている。
ロ.「電気事業法」において,一般用電気工作物の範囲が定義されている。
ハ.「電気用品安全法」では,電気工事士は適切な表示が付されているものでなければ電気用品を電気工作物の設置又は変更の工事に使用してはならないと定めている。
ニ.「電気設備に関する技術基準を定める省令」において,電気設備は感電,火災その他人体に危害を及ぼし,又は物件に損傷を与えるおそれがないよう施設しなければならないと定めている。
答え・解説を見る
正解
イ.「電気工事士法」は,電気工事の作業に従事する者の資格及び権利を定め,もって電気工事の欠陥による災害の発生の防止に寄与することを目的としている。
この問題は何を聞いているの?

「電気に関する4つの法律について、まちがった説明はどれか」を聞いています。法律の名前がずらりと並ぶので身構えてしまいますが、それぞれの法律が「何を取り締まる法律か」さえ分かれば解けます。まずはその役割分担から見ていきましょう。

4つの法律の役割分担(これがすべての土台)

覚える法律の役割分担【最重要・暗記】

電気工事士法 … 「人」の法律。誰が工事をしてよいか(資格)と、その人が守るべきこと(義務)を決める

電気工事業法 … 「会社」の法律。電気工事を仕事として行う事業者の登録などを決める

電気用品安全法 … 「モノ」の法律。電線・スイッチ・コンセントなどの製品の安全を決める

電気事業法 … 「設備」と「電気事業」の法律。電気工作物の区分(一般用/自家用など)を決める

用語この4つを、なぜ分けているのか?

取り締まる相手がちがうからです。人(誰が工事するか)、会社(誰が請け負うか)、モノ(何を使うか)、設備(どんな設備か)——この4つを別々の法律で押さえることで、電気の事故を、どの角度からも防ごうとしています。

なぜ?なぜ試験で繰り返し問われるのか?

電気工事士は、この4つ全部に関わる立場だからです。「資格を持った人(工事士法)が、登録した会社(業法)に属して、表示のある製品(用品安全法)を使って、決められた区分の設備(事業法)を、技術基準(電技)どおりに作る」——この流れ全体が電気工事という仕事です。

用語電気設備に関する技術基準を定める省令(電技)とは?

電気設備をどう作れば安全かを定めた、国の細かい決まりです。長いので「電技(でんぎ)」と略します。選択肢ニに出てくる「感電、火災その他人体に危害を及ぼし……」は、この電技の基本方針そのものです。

なぜ?なぜ法律ではなく「省令」なのか?

技術は変わっていくので、直しやすくしておく必要があるからです。法律を変えるには国会の議決が要りますが、省令は担当の大臣(経済産業大臣)が定めるので、より速く改正できます。新しい材料や工法が出てきたときに、すぐ対応できるように技術の細かい部分は省令に置いてあるのです。

ここが答え——「権利」ではなく「義務」

選択肢イには「資格及び権利を定め」と書かれています。これが誤りです。正しくは「資格及び義務」です。

用語電気工事士法の目的(第1条)

電気工事の作業に従事する者の「資格及び義務」を定め、もって電気工事の欠陥による災害の発生の防止に寄与すること——これが法律の目的です。「権利」という言葉はどこにも出てきません。

なぜ?なぜ「権利」ではなく「義務」なのか?

この法律は、資格者を守るための法律ではなく、世の中の人を守るための法律だからです。目的の後半にある「電気工事の欠陥による災害の発生の防止に寄与する」という一文がそれを表しています。守る相手は、工事をする人ではなくその工事によって影響を受ける人たちです。だから資格者に与えられるのは「これを守りなさい」という義務であって、「これができる」という権利ではありません。

用語電気工事士に課されている主な義務

① 電気設備技術基準に適合するように作業を行う義務。
② 作業のときに免状を携帯する義務。
③ 都道府県知事から報告を求められたら応じる義務。
④ 表示のない電気用品を使ってはならないという義務。

なぜ?なぜ免状を「持っているだけ」ではなく「携帯」しなければならないのか?

その場で確認できなければ意味がないからです。工事現場で誰が有資格者か分からなければ、無資格者が作業していても誰も気づけません。作業中は身につけておくことが求められています。

ほかの3つがなぜ正しいのか

用語選択肢ロ 一般用電気工作物の範囲は「電気事業法」で定義されている

電気工作物を、一般用と事業用(自家用はこの中に入る)に分けているのは電気事業法です。「一般用電気工作物」=低圧(600V以下)で受電する小規模な設備という定義もここに書かれています。

なぜ?なぜ「設備の区分」を法律で決めるのか?

区分によって、必要な資格も、必要な検査も変わるからです。住宅と工場を同じルールで縛れば、住宅には厳しすぎ、工場には甘すぎることになります。まず設備を分類し、それぞれに合った規制をかける——そのための土台が電気事業法の定義です。

用語選択肢ハ 表示のない電気用品は工事に使ってはならない

これは電気用品安全法の定めです。電気工事士は、PSEマーク(国の安全基準を満たした印)などの適切な表示が付いた製品でなければ、電気工作物の工事に使ってはいけません。

なぜ?なぜ工事する人にまで使用の制限をかけるのか?

製品を作る側だけを取り締まっても、事故は防げないからです。いくら製造や輸入を規制しても、安い無表示品を現場で使われてしまえば意味がありません。そこで作る側(製造・輸入)・売る側(販売)・使う側(工事士)の3か所すべてに制限をかけて、無表示品が壁の中に入り込まないようにしています。この「使う側の制限」は問29でもそのまま出題されています。

用語選択肢ニ 感電・火災のおそれがないように施設する

これは電技(電気設備に関する技術基準を定める省令)の基本方針です。電技の第1章に、この趣旨がそのまま書かれています。

なぜ?なぜこんな当たり前のことをわざわざ条文にするのか?

すべての細かい決まりの「よりどころ」になるからです。「なぜ接地が要るのか」「なぜ絶縁抵抗を測るのか」——すべてこの一文に行きつきます。個々の数字を丸暗記するより、この方針から考えるほうが応用がききます。

選択肢を1つずつ判定する

例イ 電気工事士法は資格及び権利を定める … 正しくは「資格及び義務」。→ 誤り

ロ 電気事業法において一般用電気工作物の範囲が定義 … 電気工作物の区分は電気事業法。→ 正しい

ハ 電気用品安全法で、表示のない電気用品を工事に使ってはならないと定めている … 使用の制限は電気用品安全法。→ 正しい

ニ 電技で、感電・火災のおそれがないよう施設しなければならないと定めている … 電技の基本方針。→ 正しい

よって答えはイです。

間違えた人が選びやすい選択肢

ロを選んでしまいやすいので注意が必要です。「一般用電気工作物という言葉は、電気工事士法にも出てくるのだから、定義も工事士法では?」と考えるためです。しかし定義しているのは電気事業法で、電気工事士法はその定義を借りて使っているにすぎません。「設備の区分=電気事業法」とはっきり結びつけておきましょう。

選択肢イは、「義務」を「権利」に変えただけです。長い条文の中の2文字なので、ざっと読むとまったく違和感なく通り過ぎてしまいます。法令の問題では、「〜を定め」の直前にある言葉を必ず声に出して確認する——それだけでこの手のひっかけは防ぎやすくなります。

覚えるこの問題の覚え方

「工事士法=人/業法=会社/用品安全法=モノ/事業法=設備」。この4語の対応が、法令問題の土台です。そして電気工事士法は「資格及び義務」——権利ではない。資格は与えられるが、権利は与えられないと覚えてください。守る相手は工事をする人ではなく、その電気を使う人たちだからです。

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問29

分野:法令(電気用品安全法)重要度 ★★★

「電気用品安全法」における電気用品に関する記述として,誤っているものは。

イ.電気用品の製造又は輸入の事業を行う者は,「電気用品安全法」に規定する義務を履行したときに,経済産業省令で定める方式による表示を付すことができる。
ロ.特定電気用品には 丸の中にPSEと書かれたマーク または(PS)Eの表示が付されている。
ハ.電気用品の販売の事業を行う者は,経済産業大臣の承認を受けた場合等を除き,法令に定める表示のない電気用品を販売してはならない。
ニ.電気工事士は,「電気用品安全法」に規定する表示の付されていない電気用品を電気工作物の設置又は変更の工事に使用してはならない。
答え・解説を見る
正解
ロ.特定電気用品には(丸のPSEマーク)または(PS)Eの表示が付されている。
この問題は何を聞いているの?

「電気用品安全法について、まちがった説明はどれか」を聞いています。マークの形(丸かひし形か)を知っているかどうかで決まる問題です。選択肢ロに小さなマークの絵が入っているので、そこをよく見てください。

電気用品安全法とは

用語電気用品安全法とは?

電気の製品(モノ)の安全を確保するための法律です。電線・ヒューズ・スイッチ・コンセント・家電製品などを「電気用品」として指定し、安全性を確かめたものにだけマークを付けて売ってよいと決めています。

なぜ?なぜ製品にまで法律が必要なのか?

使う人には、その製品が安全かどうか判断できないからです。コンセントの中身を分解して確かめる人はいません。作った側に安全を確かめる義務を負わせ、それを済ませた印としてマークを付けさせることで、買う人はマークがあるかどうかだけを見れば済むようになります。

用語電気用品(でんきようひん)とは?

一般の人が日常的に使う電気製品や部品のうち、法律で指定されたものです。電線、コンセント、スイッチ、差込みプラグ、ヒューズ、電気ストーブ、テレビ、洗濯機など、幅広く指定されています。

なぜ?なぜすべての電気製品ではなく「指定されたもの」なのか?

危険性の低いものまで規制すると、社会全体の負担が大きくなりすぎるからです。危険につながりやすいもの、家庭で広く使われるものを国が選んで指定しています。発電所の大型機器のように、専門家しか扱わないものは対象外です。

特定電気用品と、それ以外——ここがこの問題の急所

電気用品は「特定電気用品」と「特定電気用品以外の電気用品」の2つに分けられています。付けるマークの形がちがいます。

覚える2つの区分とマーク【最重要・暗記】

特定電気用品 … 危険や障害の発生するおそれが特に多いもの。マークはひし形(◇)の中にPSE、文字で書くときは<PS>E。例=電線、ヒューズ、配線器具(コンセント・スイッチ)、温水機器など

特定電気用品以外の電気用品 … それ以外のもの。マークは丸(○)の中にPSE、文字で書くときは(PS)E。例=電気ストーブ、テレビ、リチウムイオン蓄電池など

丸の中にPSEと書かれたマーク。これは特定電気用品以外の電気用品に付けられる表示

上の絵は、問題文の選択肢ロに実際に印刷されているマークを公式の問題用紙から切り出したものです。まわりが丸になっているのが分かるでしょうか。丸は「特定電気用品以外」の印です。つまり選択肢ロは、「特定電気用品には」と言いながら、特定電気用品以外のマークを2つ挙げていることになります。だからこれが誤りです。

なぜ?なぜ危険なものだけ「ひし形」にするのか?

ひと目で区別できるようにするためです。特定電気用品は、壁の中や配線に組み込まれ、あとから交換しにくいものが多く、不良品が入り込むと事故につながります。そこで形そのものを変えて、より厳しい審査を受けた製品だと分かるようにしています。

なぜ?なぜ特定電気用品のほうが審査が厳しいのか?

登録検査機関という第三者の検査を受けなければならないからです。特定電気用品以外は、製造・輸入する会社が自分で確かめる(自主検査)だけで表示を付けられます。危険度に応じて、確かめ方の厳しさを変えているのです。

コツ覚えるコツ——「ひし形は、とがっているから危険」

ひし形(◇)は角がとがっている=危険なもの=特定電気用品。丸(○)は角がない=おだやか=特定電気用品以外。

なぜ?なぜ形で覚えるほうがよいのか?

試験では、マークが絵で出てくることがあるからです。「特定電気用品はひし形」と文字で覚えていても、絵を見た瞬間に判断できなければ意味がありません。とがっている=危ないという感覚で結びつけておけば、絵でも文字でも即座に答えられます。

作る人・売る人・使う人、それぞれの決まり

選択肢イ・ハ・ニは、それぞれ立場のちがう人に対する決まりを述べていて、いずれも正しい記述です。3つ並べて見ると、法律の狙いがよく分かります。

コツ作る人・輸入する人(選択肢イ) … 義務を果たしたときに、表示を付けることができる。=確かめる前に付けてはいけない

売る人(選択肢ハ) … 表示のない電気用品を販売してはならない

使う人(電気工事士)(選択肢ニ) … 表示のない電気用品を工事に使用してはならない

なぜ?なぜ選択肢イは「付けなければならない」ではなく「付けることができる」なのか?

表示は「義務を果たした証拠」であって、義務そのものではないからです。手順としては①検査などの義務を果たす → ②その結果として表示を付けられるという順です。この順番が逆になれば、中身を確かめないままマークだけ付けることになり、マークの意味がなくなってしまいます。

なぜ?なぜ「できる」という表現に引っかかりやすいのか?

法律の文章は「〜しなければならない」が多いという思い込みがあるからです。ここは権利を与える形の条文なので「できる」で正しいのです。「義務を履行したときに」という条件がちゃんと前に付いていることを確認してください。

選択肢を1つずつ判定する

イ 製造・輸入する者は、義務を履行したときに表示を付すことができる … 条文どおり。→ 正しい

ロ 特定電気用品には丸のPSEまたは(PS)Eの表示 … どちらも「特定電気用品以外」の表示。特定電気用品はひし形のPSE/<PS>E。→ 誤り

ハ 販売する者は、表示のない電気用品を販売してはならない … 販売の制限。→ 正しい

ニ 電気工事士は、表示のない電気用品を工事に使用してはならない … 使用の制限。→ 正しい

よって答えはロです。

間違えた人が選びやすい選択肢

イを選んでしまいやすい問題です。「表示を付すことができる」という言い回しが、「付けなければならない、の間違いではないか」と感じさせるためです。しかし条文は「できる」で正しい。義務を果たした人だけが名乗れる印、という構造だからです。

また、マークの絵を見落として、文字の「(PS)E」だけで判断するミスも起きます。実は(PS)Eも「特定電気用品以外」の表示なので、絵を見落としても結論は同じ「誤り」になります。とはいえ丸とひし形の区別は、配線図の問題でも写真の問題でも問われるので、形でしっかり覚えておいてください。

覚えるこの問題の覚え方

「とがったひし形=特定電気用品(危険度が高い)/丸=それ以外」。文字では<PS>E がひし形、(PS)E が丸——カッコの形がマークの形と同じだと気づくと、迷いにくくなります。< > はとがっている、( ) は丸い。この対応は非常に覚えやすいので、ぜひ使ってください。

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問30

分野:法令(電圧の区分)重要度 ★★★

「電気設備に関する技術基準を定める省令」における電圧の低圧区分の組合せで,正しいものは。

イ.直流にあっては600 V以下,交流にあっては600 V以下のもの
ロ.直流にあっては750 V以下,交流にあっては600 V以下のもの
ハ.直流にあっては600 V以下,交流にあっては750 V以下のもの
ニ.直流にあっては750 V以下,交流にあっては750 V以下のもの
答え・解説を見る
正解
ロ.直流にあっては750 V以下,交流にあっては600 V以下のもの
この問題は何を聞いているの?

「電気の世界で「低圧(ていあつ)」と呼べるのは、何ボルトまでか」を聞いています。しかも直流(ちょくりゅう)と交流(こうりゅう)で数字がちがうので、2つの数字をセットで答える問題です。

計算はまったくありません。数字を2つ覚えているかどうか、それだけの問題です。ただし「どちらが750で、どちらが600か」を取りちがえると、そのまま不正解になります。この記事では取りちがえが起きない覚え方まで説明します。

用語「電気設備に関する技術基準を定める省令」とは?

電気の設備は、こう作らなければいけません、と国が決めたルールブックのことです。長いので、現場でも試験の参考書でも「電技(でんぎ)」「技術基準」と略して呼ばれます。「感電しないように」「火事にならないように」といった安全の大原則が書かれています。

なぜ?なぜ法律ではなく「省令」という形なのか?

中身が技術的で、こまかく、時代とともに変わるからです。法律を1つ変えるには国会での手続きが必要で、時間がかかります。その点、省令は担当の役所(経済産業省)が定める決まりなので、新しい機器が出てきたときなどにすばやく直せます。だから「大きな方針は法律、こまかい技術の中身は省令」という役割分担になっているのです。

用語低圧(ていあつ)とは?

電圧の高さによって電気設備を3つのグループに分けたときの、いちばん低いグループのことです。家庭用コンセント(100V)、エアコン用(200V)、工場の動力(三相200V)は、すべてこの低圧に入ります。

なぜ?なぜ電圧をグループ分けするのか?

電圧の高さによって、危険の度合いも、必要な対策も、必要な資格もまったく変わるからです。100Vの工事と、6600Vの工事を同じルールでやったら、低い方には過剰、高い方には手薄になってしまいます。そこでまず電圧で線を引き、それぞれのグループに見合ったルールを作るという順にしているのです。第二種電気工事士が扱えるのも、この低圧の範囲までです。

電圧の3つの区分——これが答えの本体

技術基準では、電圧を低圧・高圧・特別高圧(とくべつこうあつ)の3つに分けています。答えに必要なのは低圧の行だけですが、3つ並べて見るほうが記憶に残るので全部出します。

例電圧の区分(電気設備に関する技術基準を定める省令 第2条)

低圧 … 直流は750V以下/交流は600V以下

高圧 … 直流は750Vをこえて7,000V以下/交流は600Vをこえて7,000V以下

特別高圧 … 直流・交流とも7,000Vをこえるもの

表を見ると、低圧と高圧の境目だけが直流と交流でちがい、高圧と特別高圧の境目は7,000Vで共通だと分かります。つまり覚えるべき「ずれ」は、下の1本の線だけです。

用語直流(ちょくりゅう)と交流(こうりゅう)とは?

直流は電気の流れる向きがずっと変わらない電気です。乾電池、スマホのバッテリー、太陽光パネルが作る電気がこれです。記号はDC。
交流は電気の流れる向きが、1秒間に何十回も行ったり来たりする電気です。家のコンセントから来る電気がこれで、日本では1秒間に50回または60回入れかわります。記号はAC。

なぜ?なぜ家庭に来る電気は交流なのか?

交流は「変圧器(へんあつき)」で電圧を自由に上げ下げできるからです。変圧器とは電圧の高さを変える装置で、電柱の上に載っているバケツのような灰色の機器がそれです。発電所から家まで電気を送るときは、電圧を高くするほど電線での損失が小さくなります。そこで送るときは何万ボルトまで上げ、家の近くの電柱で100Vや200Vまで下げます。この上げ下げが簡単にできるのが交流の最大の長所で、だから日本中の配電網は交流なのです。

なぜ直流のほうが数字が大きい(750V)のか

この問題でいちばん大事なのは「直流750V/交流600V」という、直流のほうが大きい向きです。ここを理由から理解しておけば、逆に覚えてしまうミスを防ぎやすくなります。

なぜ?なぜ同じ電圧でも交流のほうが危ないと考えるのか?

交流は、心臓のリズムを乱しやすいからです。交流は電気の向きが1秒間に何十回も入れかわるため、体を通ると筋肉がその回数だけ引きつけられます。とくに商用の50〜60Hzは心臓に影響しやすい周波数とされ、心室細動(しんしつさいどう=心臓が細かくふるえて血を送れなくなる状態)を起こしやすいのです。また、感電したときに筋肉が縮んで電線を握りしめてしまい、自分で手が離せなくなるのも交流の怖さです。

なぜ?なぜ交流の「600V」という数字だけ低いのか?

より危ないものほど、低いところで線を引いて、早めに厳しいルールをかける必要があるからです。交流は同じ電圧でも危険度が高いので、600Vをこえたらもう「高圧」あつかいにして、そこから先は第二種電気工事士では触れないようにしています。直流は相対的にその危険が小さいぶん、750Vまでは「低圧」でよいと決めているわけです。

なお、750Vという数字が決まった細かい経緯までは試験では問われません。「直流750V/交流600V」という向きを確実に覚えておけば十分です。

例① 交流は危ない … 向きが入れかわるので心臓に効きやすい → 低いところ(600V)で線を引く

② 直流は相対的にまし → 少し上(750V)まで低圧でよい

③ 結論 … 直流750V以下/交流600V以下が低圧

選択肢を1つずつ判定する

イ 直流600V以下/交流600V以下 … 直流が600Vでは足りない。直流は750V。→ 誤り

ロ 直流750V以下/交流600V以下 … 技術基準第2条のとおり。→ これが正解

ハ 直流600V以下/交流750V以下 … 直流と交流が入れかわっている。いちばん引っかかりやすい選択肢。→ 誤り

ニ 直流750V以下/交流750V以下 … 交流が750Vでは大きすぎる。交流は600V。→ 誤り

よって答えはロです。

間違えた人が選びやすい選択肢

ハを選んでしまいやすい問題です。「600と750という2つの数字は覚えていたのに、どちらがどちらか分からなくなった」という取りちがえで、ちょうど正解と直流・交流をひっくり返しただけの選択肢がハだからです。出題者はこの取りちがえを狙ってハを置いていると考えられます。

ニも選ばれやすい選択肢です。「大きいほうの数字にそろえておけば安全そうだ」という、なんとなくの感覚で選んでしまうパターンです。しかし交流の600Vは、危ないから低く引かれている線なので、そろえてはいけません。

イを選ぶ人もいます。「600V」という数字だけが強く記憶に残っているためです。実際、600Vという数字は電線の名前(600Vビニル絶縁電線=IV線など)にも出てくるので、目にする回数が多いのです。だからこそ「もう1つ、750という数字があった」ことをセットで思い出せるようにしておいてください。

例この問題で覚えておくと、ほかの問題にも効く数字

600V … 交流の低圧の上限。IV線・VVFケーブルの「600V」という名前も、この区分の電圧まで使えるという意味

750V … 直流の低圧の上限。この問題のためだけに覚える数字と割り切ってよい

7,000V … 高圧と特別高圧の境目。直流も交流も同じ

6,600V … 電柱の上を通っている高圧配電線の電圧。7,000V以下なので「高圧」。第二種電気工事士では扱えない

覚えるこの問題の覚え方

「チョク(直流)が上、コウ(交流)が下」——直流750V/交流600V。理由は「交流のほうが感電したときに危ないから、低いところで線を引いてある」。数字だけで覚えると取りちがえやすいのですが、「危ないほうが小さい数字」という向きで覚えると、迷いにくくなります。ついでに高圧と特別高圧の境目は直流も交流も7,000Vまで一緒に入れておきましょう。

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この記事のまとめ

問21〜問30は工事のルール(施工)・完成したあとの検査・法令の10問でした。計算は1問もありません。そのかわり「決まりの数字」と「言葉の1文字」で正誤が決まります。つまり覚えていれば10問すべてで得点をねらえる場所です。学科試験は50問中30問(60点)で合格ですから、ここを落とさないだけで合格がぐっと近づきます。試験の直前には、次の10行だけをもう一度読んでください。

まとめこの10問で必ず持ち帰ること

問21 住宅用分電盤 … 2極1素子の遮断器は、素子のない極に中性線をつなぐ。素子のある極に中性線をつなぐのは不適切(電圧線を見張れなくなるため)

問22 D種接地工事 … 水気のある場所は、漏電遮断器を付けても接地を省略できない。省略できるのは「乾燥した場所」など条件がそろったときだけ

問23 金属管の末端(雨線外) … エントランスキャップは垂直も水平もOK/ターミナルキャップは水平だけ。「垂直+ターミナル」を見たら不適切

問24 竣工検査の順序 … 点検(見る)→ 測定・試験(測る)→ 通電試験(通す)。通電はいちばん最後

問25 単相3線式で100Vのはずが150V … 中性線の断線。中性線が切れると2つの機器が直列になり、200Vが機器の抵抗の比で分けられる

問26 接地抵抗計 … 出力端子の電圧は交流(直流ではない)。直流を流すと土の中で電気分解が起きて正しく測れない

問27 漏れ電流計(クランプ形) … ふつうの負荷電流用より感度は高い。mA(ミリアンペア)という小さな電流を読むための計器

問28 4つの法律の役割 … 電気工事士法は「資格及び義務」(権利ではない)。一般用電気工作物の定義は電気事業法

問29 電気用品安全法の表示 … 特定電気用品=ひし形のPSE/<PS>E、それ以外=丸のPSE/(PS)E。カッコの形とマークの形が同じ

問30 電圧の低圧区分 … 直流750V以下/交流600V以下。交流のほうが危ないから、低いところで線を引いてある

この10問を、あとから思い出すためのつながり

バラバラに10個覚えるのは大変です。3つのかたまりに分けて、それぞれ1つの考え方でまとめてしまいましょう。

【施工の3問(問21〜23)】は「切ってはいけないもの・ふさいではいけないもの」 … 中性線だけを切れる状態にしてはいけない(問21)、水気のある場所の接地は省いてはいけない(問22)、上を向いた管の口を空に開けてはいけない(問23)。どれも「安全のための逃げ道をふさぐな」という同じ話です。

【検査の4問(問24〜27)】は「見る → 測る → 通す」 … 順序が問24、測る場面で使う計器が問26(接地抵抗計)と問27(漏れ電流計)、そして測った結果から異常を読み解くのが問25(中性線断線)。検査という1つの流れの中に、4問すべてが並んでいます。

【法令の3問(問28〜30)】は「人・モノ・設備」 … 人=電気工事士法、モノ=電気用品安全法(問29の表示)、設備=電気事業法と技術基準(問30の電圧区分)。問28はこの3つの役割分担そのものを聞いています。

この「切るな・ふさぐな」「見る→測る→通す」「人・モノ・設備」という3つの合言葉だけ覚えて試験会場に行けば、細かい数字はそこからたぐり寄せられます。暗記が苦手な人ほど、こういうひもづけが効果的です。

つまずいたら、どこから戻るか

この10問で手が止まった人は、戻る場所がはっきりしています。問21・問25で止まった人は「単相3線式のしくみ」、問24・問26・問27で止まった人は「検査と測定器のきほん」、問28〜30で止まった人は「法令のきほん」です。記事の下にある基礎解説へのリンクから、その1本だけ読み直してください。全部やり直す必要はありません。

出典

令和5年度上期第二種電気工事士試験(午後)
問題・図・写真・解答は一般財団法人 電気技術者試験センターが公表しているものです。

あわせて読みたい(第二種電気工事士 令和5年度上期・午後 全5記事)

▶ 問1〜10
計算と電気の基礎(合成抵抗・抵抗の比較・電力量・力率・三相電流)

▶ 問11〜20
材料と工具(写真鑑別・リングスリーブ・施設場所と工事の種類)

▶ 配線図 問31〜40
図記号と数字もの(ジョイントボックス・絶縁抵抗・接地工事・電線本数)

▶ 配線図 問41〜50
写真の見分け(結線・ケーブル・器具・リングスリーブ)

用語からつまずいた人へ(やさしい基礎解説)

▶ オームの法則と直列・並列
電圧・電流・抵抗のきほんから

▶ W・Wh・Jの違い
電力・電力量・熱量

▶ 単相2線式・単相3線式・三相3線式
配線方式のちがい

▶ 配線図の図記号の読み方
スイッチ・コンセント・照明の記号

▶ 電線とケーブルの種類・許容電流
VVF・IV・1.6mm=27Aなどの暗記ポイント

▶ 電線管の種類と配線工事
金属管・VE・PF・CD管のちがいと付属品

▶ 幹線と分岐回路の決まり
幹線の計算とブレーカー×電線×コンセントの表

▶ 複線図の書き方【3ステップ】
電線の本数もリングスリーブもこれで数えられる

▶ 検査と測定器のきほん
「見る→測る→通す」と測定器の見分け方

▶ 法令のきほん
工事士法=人/用品安全法=モノ/事業法=設備

▶ モーターと進相コンデンサ
回転速度・始動電流・力率改善

学科のあとは、技能試験の準備が要ります

技能試験は40分で実際に配線を組み立てる試験です。工具と練習用の材料がないと、実際に手を動かす練習ができません。通信講座は必要か、材料は買うか借りるか——実際の価格で比べました。

▶ 通信講座5社と工具・材料の費用を比較する