第二種電気工事士の学科試験を、電気の知識がまったくない人でも読み進められるように1問ずつ解説します。このページは令和6年度 上期(2024年5月26日実施)の問1〜10です。

問1〜問10は計算と電気の基礎が中心です。式を丸暗記するより、図のどこを見て、どの順に計算するかを覚えるほうが早く解けるようになります。各問題の下の「答え・解説を見る」を開くと答えと考え方が出ます。まず自分で考えてから開くのがおすすめです。

この記事の問題はどこから?

問題文・図・写真・解答は、試験を実施している一般財団法人 電気技術者試験センターが公表しているものです。
出典:令和6年度上期第二種電気工事士試験(学科試験)

問1

分野:電気の基礎(消費電力)重要度 ★★★

図のような回路で,8 Ωの抵抗での消費電力[W]は。

令和6年度上期 第二種電気工事士 学科 問1 の回路図
イ.200
ロ.800
ハ.1 200
ニ.2 000
答え・解説を見る
正解
ロ.800[W]
この問題は何を聞いているの?

「この回路に電気を流したとき、8Ωの抵抗だけが1秒間にどれだけ電気を使うか」を聞いています。まず用語から説明します。

用語抵抗(ていこう)とは?

電気の流れにくさのことです。単位はΩ(オーム)で、数字が大きいほど流れにくくなります。図の細長い四角が抵抗です。

なぜ?なぜ電気に「流れにくさ」があるのか?

ホースの中にスポンジが詰まっていると水が流れにくいのと同じで、電線や部品の中にも電気の通りを邪魔するものがあります。その「詰まり具合」を数字にしたものが抵抗です。

用語消費電力[W]とは?

1秒間に使う電気の量です。単位はW(ワット)。電力=電流×電流×抵抗(I²R)でも、電力=電圧×電流(VI)でも求められます。

なぜ?なぜ同じ電力なのに式が2つあるのか?

どちらも中身は同じです。オームの法則(V=I×R)でVをIRに置き換えるとVI=I²Rになります。その部品に加わる電圧が分かっていればVI、電流と抵抗が分かっていればI²Rと、分かっているほうを使えば計算が短くなります。

回路を「1本の抵抗」にまとめる

この回路は、20Ωと30Ωが上下に枝分かれ(並列)していて、そのかたまりの先に8Ωが1本道でつながっている(直列)という形です。

用語直列と並列のちがい

直列=1本道に並ぶ → 抵抗はそのまま足し算。
並列=道が枝分かれ → 抵抗は必ず小さくなる。大きさがちがう2本なら(かけ算)÷(足し算)で求めます。

なぜ?なぜ並列だと抵抗が小さくなるのか?

枝分かれは道幅が増える=電気が流れやすくなるということだからです。計算した答えが、いちばん小さい抵抗(この問題なら20Ω)より大きくなったら、計算ミスを疑いましょう。

コツ手順1 20Ωと30Ωの並列 = (20×30)÷(20+30)= 600 ÷ 50 = 12Ω

手順2 その12Ωと8Ωは1本道(直列) = 12 + 8 = 20Ω(回路全体の抵抗)

手順3 回路に流れる電流 = 電圧 ÷ 全体の抵抗 = 200 ÷ 20 = 10A

手順4 8Ωの消費電力 = I²R = 10 × 10 × 8 = 800W

よって答えはロの800Wです。

なぜ?なぜ手順3で「回路全体」の電流を使えるのか?

8Ωは枝分かれしていない1本道の途中にあるからです。1本道の部分には、回路を流れる電流がまるごと通ります。一方で20Ωと30Ωは枝分かれしているので、それぞれに流れる電流は10Aより少なくなります。

なぜ?なぜ枝分かれすると電流が分かれるのか?

道が2本になれば水も2手に分かれるのと同じです。だから並列部分の抵抗1本ずつの電力を聞かれたときは、その1本に流れる電流を先に出す必要があります。

覚えるこの問題の覚え方

電力を聞かれたら、まず「回路全体を1本の抵抗にまとめて→全体の電流を出す」という順番です。いきなり8Ωだけを見ても電流が分からないので進めません。並列は(かけて)÷(足して)、直列はそのまま足す——この2つを覚えておけば、この形の問題の多くに対応できます。

【第二種電気工事士】W・Wh・Jの違いをゼロから解説(電力・電力量・熱量)👉 この分野をもっとくわしく【第二種電気工事士】W・Wh・Jの違いをゼロから解説(電力・電力量・熱量)

問2

分野:電気の基礎(抵抗率)重要度 ★★☆

電気抵抗R[Ω],直径D[mm],長さL[m]の導線の抵抗率ρ[Ω・m]を表す式は。

令和6年度上期 第二種電気工事士 学科 問2 の選択肢
答え・解説を見る
正解
ハ.πD²R ÷(4L×10⁶)
この問題は何を聞いているの?

「電線の抵抗・太さ・長さが分かっているとき、抵抗率(ていこうりつ)はどんな式になるか」を聞いています。計算するのではなく、式の形を選ぶだけの問題です。

用語抵抗率ρ(ロー)とは?

その金属そのものの電気の通しにくさを表す数字です。単位はΩ・m(オーム・メートル)。銅は小さく、鉄は大きい、というように材料ごとに決まっている値です。

なぜ?なぜ抵抗(Ω)と抵抗率(Ω・m)を分けるのか?

同じ銅線でも、長ければ抵抗は大きく、太ければ抵抗は小さくなります。つまり抵抗Ωは「その1本の事情」で変わってしまいます。そこで、長さと太さの影響を取り除き、材料そのものの性質を表すために用意された別の数字が抵抗率です。

コツρの読み方

ρはギリシャ文字の「ロー」です。アルファベットのpではありません。電気の世界では抵抗率をこの記号で書く決まりになっています。

もとになる式は1つだけ

抵抗を求める式はR = ρ × L ÷ A(Aは断面積)です。この1本を覚えておけば、あとは式を入れ替えるだけで済みます。

用語断面積Aとは?

断面積とは、電線を輪切りにしたときの切り口の面積のことです。電線の切り口は円なので、直径をDとするとA = π × D² ÷ 4で求まります。

なぜ?なぜ直径から半径に直して2乗するのか?

円の面積は「半径×半径×π」で求める決まりだからです。半径は直径の半分(D÷2)なので、(D÷2)×(D÷2)×π=πD²÷4になります。

単位をそろえるのがこの問題の山場

問題文で直径Dはmm(ミリメートル)、長さLはm(メートル)と、単位がそろっていません。答えの抵抗率はΩ・mなので、断面積もm²(平方メートル)にそろえる必要があります。

コツmm²をm²に直すには10⁻⁶をかける

1m = 1000mm なので、1m² = 1000 × 1000 = 1 000 000 mm²です。つまり1mm² = 100万分の1 m²。式では×10⁻⁶と書きます。

なぜ?なぜ長さは1000倍なのに面積は100万倍になるのか?

面積は「たて×よこ」だからです。たてが1000倍、よこも1000倍になれば、面積は1000×1000=100万倍になります。

手順1 断面積(mm²) = πD² ÷ 4

手順2 m²に直す = πD² ÷ 4 × 10⁻⁶ = πD² ÷(4 × 10⁶)

手順3 R = ρL ÷ A を ρ について解く → ρ = R × A ÷ L

手順4 Aを手順2の形で入れる = ρ = πD²R ÷(4L × 10⁶)

よって答えはハです。

覚えるこの問題の覚え方

選択肢の見分け方は2か所だけです。①Dが2乗になっているか(断面積なので必ず2乗)。②10の6乗になっているか(面積の単位換算なので必ず10⁶)。この2つを満たすのはハだけなので、式を組み立てなくてもD²と10⁶を探すだけで選べます。

【第二種電気工事士】オームの法則と直列・並列をゼロから解説👉 この分野をもっとくわしく【第二種電気工事士】オームの法則と直列・並列をゼロから解説

問3

分野:電気の基礎(熱量)重要度 ★★★

電線の接続不良により,接続点の接触抵抗が0.2 Ωとなった。この電線に15 Aの電流が流れると,接続点から1時間に発生する熱量[kJ]は。ただし,接触抵抗の値は変化しないものとする。

イ.11
ロ.45
ハ.72
ニ.162
答え・解説を見る
正解
ニ.162[kJ]
この問題は何を聞いているの?

「電線のつなぎ目がゆるんで抵抗ができてしまったとき、1時間でどれだけの熱が出るか」を聞いています。実務ではこれが火事の原因になるため、試験でも重視されているテーマです。

用語接触抵抗とは?

電線と電線のつなぎ目にできてしまう抵抗のことです。しっかり圧着(金具で強く締め付けてつなぐこと)されていれば0に近いのですが、ゆるんだり酸化したりすると抵抗が生まれます。

なぜ?なぜつなぎ目に抵抗ができると危険なのか?

抵抗があるところでは電気が熱に変わるからです。電線本体は熱くならないのに、つなぎ目だけが高温になって、まわりの被覆(電線を包むビニルの皮)や木材を焦がします。

用語熱量[J]と[kJ]

J(ジュール)は熱や仕事の量の単位です。k(キロ)は1000倍を表すので、1kJ = 1000J。答えの単位がkJなので、最後に1000で割ります。

なぜ?なぜWとJを使い分けるのか?

W(ワット)は1秒あたりの量、J(ジュール)は合計の量だからです。「1秒に45Wの熱が出る」状態が3600秒続けば、合計は45×3600Jになります。水道でいえばWが「毎秒の勢い」、Jが「たまった量」にあたります。

計算は3ステップ

コツ手順1 1秒あたりの熱(W) = I²R = 15 × 15 × 0.2 = 225 × 0.2 = 45W

手順2 1時間=3600秒なので 45 × 3600 = 162 000 J

手順3 kJに直す = 162 000 ÷ 1000 = 162kJ

よって答えはニの162kJです。

なぜ?なぜ電圧が問題文に出てこないのか?

電流と抵抗の2つが分かっていれば熱は計算できるからです。電圧が必要なのはVIの式を使うときだけで、この問題はI²Rで足ります。

なぜ?なぜI²Rを選ぶと決められるのか?

与えられているのが電流15Aと抵抗0.2Ωだからです。問題文に出てきた数字がそのまま入る式を選ぶのが、電気の計算問題の基本の考え方です。

覚えるこの問題の覚え方

1時間=3600秒を忘れると、ほかが全部合っていても答えが出ません。「I²Rでワットを出す → 秒をかける → 1000で割ってkJ」という3段の流れで覚えます。なお選択肢の45は「手順1で止めてしまった人」、162 000は「kJに直し忘れた人」が選ぶ数字です。

【第二種電気工事士】W・Wh・Jの違いをゼロから解説(電力・電力量・熱量)👉 この分野をもっとくわしく【第二種電気工事士】W・Wh・Jの違いをゼロから解説(電力・電力量・熱量)

問4

分野:電気の基礎(三相の力率)重要度 ★★☆

定格電圧V[V],定格電流I[A]の三相誘導電動機を定格状態で運転したところ,消費電力がP[kW]であった。この電動機の力率[%]を表す式は。

令和6年度上期 第二種電気工事士 学科 問4 の選択肢
答え・解説を見る
正解
イ.P ÷(√3VI)× 10⁵
この問題は何を聞いているの?

「三相のモーターの力率(りきりつ)を求める式はどれか」という問題です。これも計算せず、式の形を選びます。

用語力率とは?

送りこんだ電気のうち、実際に仕事に使われた割合のことです。単位は%。100%に近いほどムダがなく、低いほど、同じ仕事をするのに大きな電流が必要です。

なぜ?なぜ送った電気の一部が仕事にならないのか?

モーターはコイル(電線をぐるぐる巻いたもの)でできていて、コイルは電気を磁石の力に変えたり戻したりを繰り返します。この行ったり来たりする分は仕事にはなりませんが、電線には流れます。だから「送った量」と「使われた量」にズレが生じるのです。

用語見かけの電力(皮相電力)とは?

電圧×電流で計算した、送りこんだほうの電力です。三相の場合は√3 × V × Iで求めます。力率は(実際に使われた電力)÷(見かけの電力)×100です。

なぜ?なぜ三相のときだけ√3をかけるのか?

三相は3本の電線でタイミングをずらして電気を送る方式です。3本ぶんなのに単純な3倍にならず、ずれの分を計算すると√3(=約1.73)倍になります。三相の電力の式には√3が入ると覚えておくとよいでしょう。

単位のkWが落とし穴

消費電力がP[kW]で与えられているのに、電圧と電流はV[V]とI[A]です。このまま割り算すると単位が合わないので、Pを1000倍してW(ワット)に直す必要があります。

手順1 力率の定義 = 実際の電力[W] ÷ 見かけの電力[W] × 100

手順2 実際の電力をWに直す = P × 1000

手順3 見かけの電力 = √3 × V × I

手順4 まとめる = (P × 1000)÷(√3VI)× 100 = P ÷(√3VI)× 10⁵

1000(kWをWに直す分)と100(%にする分)をかけ合わせると10万=10⁵になります。よって答えはイです。

覚えるこの問題の覚え方

力率は「実際 ÷ 見かけ」——つまりPが上、√3VIが下です。選択肢のロ・ハ・ニはこの上下が逆だったり√3の位置がちがったりします。分数の上にPがあるものを探すだけで、この問題はイに絞れます。

【第二種電気工事士】力率と三相交流|√3が出る場所を知識ゼロから【第4回】👉 この分野をもっとくわしく【第二種電気工事士】力率と三相交流|√3が出る場所を知識ゼロから【第4回】

問5

分野:電気の基礎(三相回路)重要度 ★★★

図のような三相3線式回路に流れる電流I[A]は。

令和6年度上期 第二種電気工事士 学科 問5 の回路図
イ.8.3
ロ.11.6
ハ.14.3
ニ.20.0
答え・解説を見る
正解
ロ.11.6[A]
この問題は何を聞いているの?

「200Vの三相電源に10Ωの抵抗を3つつないだとき、電線1本に流れる電流はいくらか」という問題です。出題されやすい定番の形なので、解き方を丸ごと覚える価値があります。

用語三相3線式とは?

3本の電線で電気を送る方式です。工場やお店の大きなエアコン・モーターに使われます。図の左にある「3φ3W電源」がそれです(φは相を表す記号)。

なぜ?なぜ3本もの電線で送るのか?

モーターを回すのに都合がよく、同じ電力なら電線が細くて済むからです。3本にタイミングをずらして電気を流すと、モーターの中で回る磁石の力が自然に生まれます。

用語Y結線(スター結線)とは?

3つの抵抗の片方の端を1点に集めてつなぐ形です。図がアルファベットのY(またはカタカナのト)のように見えるので、この名前が付いています。

なぜ?なぜ結び方の名前を覚える必要があるのか?

結び方によって、抵抗1個にかかる電圧が変わるからです。Y結線では、電線と電線の間の200Vが抵抗2個ぶんで分け合われるので、抵抗1個には200Vそのままはかかりません。

線間電圧と相電圧を区別する

用語線間電圧と相電圧

線間電圧=電線と電線の間の電圧。この図では200Vです。
相電圧=抵抗1個にかかる電圧。Y結線では線間電圧 ÷ √3になります。

なぜ?なぜY結線だと√3で割るのか?

3本の電気はタイミングがずれているため、2個ぶんの電圧が単純な2倍にはならないからです。ずれを計算に入れると、ちょうど√3(=1.73)倍という関係になります。問題文にある「√3=1.73」は、この計算で使う値として書かれています。

コツ手順1 抵抗1個にかかる電圧(相電圧) = 200 ÷ 1.73 = 約115.6V

手順2 その抵抗に流れる電流 = 115.6 ÷ 10 = 約11.6A

手順3 Y結線では、抵抗に流れる電流がそのまま電線を流れる → I = 11.6A

よって答えはロの11.6Aです。

なぜ?なぜ手順3で「そのまま」と言えるのか?

Y結線では、電線1本と抵抗1個が一直線につながっているからです。途中で枝分かれしていないので、抵抗を流れた電流はそっくりそのまま電線を流れます。

なぜ?なぜこの確認が要るのか?

もう一つの結び方であるΔ(デルタ)結線だと、抵抗を流れる電流と電線を流れる電流が別物(√3倍ちがう)になるからです。Y結線=電圧が√3で割られる/Δ結線=電流が√3倍になると、変わるほうを区別して覚えます。

覚えるこの問題の覚え方

Y結線の電流=線間電圧 ÷ √3 ÷ 抵抗——この1本の流れで解けます。選択肢の20.0は、√3で割るのを忘れて「200 ÷ 10」とそのまま割った人が選ぶ数字です。√3で割るのは1回だけです。

【第二種電気工事士】力率と三相交流|√3が出る場所を知識ゼロから【第4回】👉 この分野をもっとくわしく【第二種電気工事士】力率と三相交流|√3が出る場所を知識ゼロから【第4回】

問6

分野:配線設計(電圧降下)重要度 ★★★

図のように,電線のこう長8 mの配線により,消費電力2 000 Wの抵抗負荷に電力を供給した結果,負荷の両端の電圧は100 Vであった。配線における電圧降下[V]は。ただし,電線の電気抵抗は長さ1 000 m当たり3.2 Ωとする。

令和6年度上期 第二種電気工事士 学科 問6 の回路図
イ.1
ロ.2
ハ.3
ニ.4
答え・解説を見る
正解
イ.1[V]
この問題は何を聞いているの?

「電気を送る電線そのもので、電圧がどれだけ目減りしたか」を聞いています。

用語電圧降下とは?

電線にも抵抗があるため、送り出したときより、届いたときの電圧のほうが低くなります。この減った分の電圧が電圧降下です。

なぜ?なぜ電線でも電圧が減るのか?

電線は抵抗が0ではないからです。抵抗があるところに電流が流れると、電流×抵抗の分だけ電圧が使われてしまいます(オームの法則そのものです)。長い配線ほど、また電流が大きいほど、この目減りが大きくなります。

用語こう長(亘長)とは?

こう長とは、配線の「片道」の長さのことで、この問題では8mにあたります。図で上下2本の線に「8m」と書かれているのは、行きも帰りも8mという意味です。

なぜ?なぜ片道と往復を区別しないといけないのか?

電気は行って帰ってくることで初めて流れるからです。電流は行きの電線8mも、帰りの電線8mも、同じように通ります。だから電圧が減る電線の長さは、合計16mとして計算します。

計算は4ステップ

コツ手順1 電流を出す = 消費電力 ÷ 負荷の電圧 = 2 000 ÷ 100 = 20A

手順2 電線1本8mの抵抗 = 3.2 × 8 ÷ 1 000 = 0.0256Ω

手順3 行きと帰りで2本ぶん = 0.0256 × 2 = 0.0512Ω

手順4 電圧降下 = 電流 × 抵抗 = 20 × 0.0512 = 約1.02V

問題文に「最も近い値を選びなさい」とあるので、答えはイの1Vです。

なぜ?なぜ手順1で100Vのほうを使うのか?

2 000Wという消費電力は負荷(抵抗)が使った電力であり、負荷にかかっていた電圧は100Vだからです。電源側の電圧(101Vほど)ではありません。

なぜ?なぜ「どちらの電圧か」を気にする必要があるのか?

「電力 ÷ 電圧 = 電流」の式は、同じ場所の電力と電圧でしか成り立たないからです。2 000Wが負荷の電力なら、割るのも負荷の電圧にそろえます。

覚えるこの問題の覚え方

単相2線式(行きと帰りの電線ひと組で電気を送る方式)は、電線の長さを2倍にして計算する——これがいちばんの要点です。選択肢の2Vは、この「往復2本」を忘れずに計算した人ではなく、逆に2倍を二重にかけてしまったときに出てくる値なので注意しましょう。手順は「電流を出す → 片道の抵抗 → 2倍 → かけ算」の4つで、いつも同じ流れになります。

【第二種電気工事士】電圧降下|2・1・√3の使い分けを知識ゼロから【第6回】👉 この分野をもっとくわしく【第二種電気工事士】電圧降下|2・1・√3の使い分けを知識ゼロから【第6回】

問7

分野:配線設計(電力損失)重要度 ★★★

図のような単相3線式回路において,電線1線当たりの抵抗が0.1 Ω,抵抗負荷に流れる電流がともに15 Aのとき,この配線の電力損失[W]は。

令和6年度上期 第二種電気工事士 学科 問7 の回路図
イ.45
ロ.60
ハ.90
ニ.135
答え・解説を見る
正解
イ.45[W]
この問題は何を聞いているの?

「電線が熱として捨ててしまう電力は何ワットか」を聞いています。この問題の勝負どころは「電線3本のうち、何本を計算に入れるか」だけです。

用語単相3線式とは?

3本の電線で100Vと200Vの両方を取り出せる方式です。一般の住宅で広く使われています。上下の線(外側の線)と、まん中の線(中性線)の3本でできています。

なぜ?なぜ3本にすると100Vと200Vが取れるのか?

上とまん中で100V、下とまん中で100Vになるように電気が送られているからです。その上と下の間で取れば、100V+100V=200Vになります。

用語電力損失とは?

電線の抵抗によって熱に変わってしまい、使えなくなる電力のことです。1本あたりI²R(電流×電流×抵抗)で求め、電流が流れている本数ぶんを足します。

なぜ?なぜ電圧ではなく電流の2乗で効いてくるのか?

I²Rの式のとおり、電流が2倍になると損失は4倍になるからです。同じ電力を送るなら、電圧を高くして電流を小さくしたほうが損失が減ります。住宅で200Vのエアコンが使われるのは、これが理由の1つです。

中性線に電流は流れるのか

この問題では、上下の負荷がどちらも15Aです。このように上下が同じ状態を「平衡している」といいます。

用語平衡していれば中性線の電流は0A

上の負荷に流れる15Aと下の負荷に流れる15Aが中性線の中で打ち消し合うため、中性線に流れる電流は15 − 15 = 0Aになります。よって中性線では損失が発生しません。

なぜ?なぜ打ち消し合うのか?

上側と下側では電気の流れる向きが逆だからです。中性線は上側の帰り道であると同時に下側の行き道でもあるので、同じ大きさなら行きと帰りがちょうど相殺されます。なお上下の電流がちがえば、その差の電流が中性線に流れます。

手順1 電流が流れている電線は、上と下の2本だけ(中性線は0A)

手順2 電線1本の損失 = I²R = 15 × 15 × 0.1 = 22.5W

手順3 2本ぶん = 22.5 × 2 = 45W

よって答えはイの45Wです。

覚えるこの問題の覚え方

「単相3線式・上下同じ電流」と書いてあったら、電線は2本ぶんだけ計算すると覚えます。選択肢のハ(90W)は×4本、ニ(135W)は3本ぶんの計算に、さらに何かをかけた数字です。3本あるからといって3をかけない——ここを間違えなければ得点につながります。

問8

分野:配線設計(許容電流)重要度 ★★★

金属管による低圧屋内配線工事で,管内に直径2.0 mmの600Vビニル絶縁電線(軟銅線)4本を収めて施設した場合,電線1本当たりの許容電流[A]は。ただし,周囲温度は30 ℃以下,電流減少係数は0.63とする。

イ.17
ロ.22
ハ.30
ニ.35
答え・解説を見る
正解
ロ.22[A]
この問題は何を聞いているの?

「管の中に電線を4本まとめて入れたとき、1本にどれだけ電流を流していいか」を聞いています。似た形で出題されやすいので、数字を暗記しておけば計算は1回のかけ算で済みます。

用語許容電流とは?

その電線に安全に流していい電流の上限です。これを超えると電線が熱を持ちすぎて、被覆が溶けたり火事につながったりします。

なぜ?なぜ電線ごとに上限が決まっているのか?

電線が熱くなる量は太さで決まるからです。細い電線は同じ電流でも熱くなりやすいので、上限が低く設定されています。

用語電流減少係数とは?

電線を何本もまとめて管に入れたときに、上限を減らすための数字です。この問題では0.63と与えられています。

なぜ?なぜまとめると上限を減らさないといけないのか?

電線は流れる電流で自分自身が熱くなります。まとめて管に入れるとお互いの熱が逃げ場を失って、こもってしまうのです。そこで本数が多いほど小さい係数をかけて、流していい電流を減らす決まりになっています。3本以下は0.70、4本は0.63、5〜6本は0.56です。

覚えるのは太さごとの数字だけ

覚える600Vビニル絶縁電線(IV)の許容電流【暗記】

1.6 mm … 27A

2.0 mm … 35A

2.6 mm … 48A

3.2 mm … 62A

コツ手順1 2.0mmの許容電流を思い出す = 35A

手順2 電流減少係数をかける = 35 × 0.63 = 22.05A

手順3 最も近い値を選ぶ → 22A

よって答えはロの22Aです。

なぜ?なぜ小数点以下を切り捨てるのか?

許容電流は安全側(小さいほう)に丸めるのが原則とされています。また問題文に「最も近い値」とあり、選択肢に22があるのでそのまま選べます。

なぜ?なぜ35Aのままではいけないのか?

35Aは電線を1本だけ、空気中に置いたときの値だからです。管の中に4本まとめた状態では熱が逃げないので、係数をかけたあとの22Aが本当の上限になります。

覚えるこの問題の覚え方

「太さの表 × 係数」の1回のかけ算で終わります。選択肢のニ(35)は係数をかけ忘れた人、イ(17)は1.6mmの27Aと勘違いして0.63をかけた人が選ぶ数字です。1.6=27/2.0=35/2.6=48の3つと、3本まで0.70・4本0.63・5〜6本0.56を丸暗記してください。

【第二種電気工事士】電線とケーブルの種類・許容電流をゼロから解説👉 この分野をもっとくわしく【第二種電気工事士】電線とケーブルの種類・許容電流をゼロから解説

問9

分野:配線設計(幹線)重要度 ★★☆

図のような電熱器Ⓗ1台と電動機Ⓜ2台が接続された単相2線式の低圧屋内幹線がある。この幹線の太さを決定する根拠となる電流IW[A]と幹線に施設しなければならない過電流遮断器の定格電流を決定する根拠となる電流IB[A]の組合せとして,適切なものは。ただし,需要率は100 %とする。

令和6年度上期 第二種電気工事士 学科 問9 の幹線の図
イ.IW 50 / IB 125
ロ.IW 50 / IB 130
ハ.IW 60 / IB 130
ニ.IW 60 / IB 150
答え・解説を見る
正解
ハ.IW 60 / IB 130
この問題は何を聞いているの?

「幹線(かんせん)の電線の太さを決める電流と、その幹線に付けるブレーカー(電気が流れすぎたときに自動で止める装置)の大きさを決める電流を、それぞれ計算しなさい」という問題です。

用語幹線とは?

分電盤(各部屋へ電気を分ける箱)から先に枝分かれする前の、太い大もとの電線のことです。図でいちばん上から下に伸びている縦の線が幹線にあたります。

なぜ?なぜ幹線だけ特別な計算をするのか?

幹線にはその先につながる機器すべての電流が集まるからです。枝分かれした先(分岐回路)とちがって、合計で何アンペア流れるかを見積もらないと太さが決められません。

用語Ⓗ と Ⓜ の意味

Ⓗ=電熱器(ヒーター)、Ⓜ=電動機(モーター)です。この問題では、電熱器に10A、電動機に20A+20Aの計40Aが流れます。

なぜ?なぜ電熱器とモーターを分けて数えるのか?

モーターは動き始める瞬間だけ、大きな電流が流れるからです。止まっている重い機械を回し始めるには力が要るのと同じで、始動時には定格の何倍もの電流が一瞬流れます。ヒーターにはこれがないので、計算のルールが別になっています。

IW(電線の太さ)を決める

覚える幹線の太さを決める電流IWの求め方【暗記】

モーターの合計 ≦ ヒーターの合計のとき … そのまま足すだけ(IM + IH)

モーターの合計 > ヒーターの合計 で、モーターが50A以下のとき … 1.25 × IM + IH

モーターの合計 > ヒーターの合計 で、モーターが50A超のとき … 1.1 × IM + IH

コツ手順1 モーターの合計 IM = 20 + 20 = 40A/ヒーターの合計 IH = 10A

手順2 40 > 10 なので「モーターのほうが多い」 かつ 40A は50A以下 → 1.25倍のルール

手順3 IW = 1.25 × 40 + 10 = 50 + 10 = 60A

なぜ?なぜモーターだけ1.25倍するのか?

始動のときの大きな電流に、電線が耐えられるようにしておくためです。モーターが多いほど始動電流の影響が大きいので、余裕を持たせます。

なぜ?なぜ50Aを境に1.25倍と1.1倍が分かれるのか?

モーターが大きくなるほど、複数のモーターが同時に始動する確率は下がるからです。規模が大きい設備では余裕を減らしてよい、という考え方になっています。

IB(ブレーカーの大きさ)を決める

覚える過電流遮断器の定格を決める電流IBの求め方【暗記】

① 3 × IM + IH を計算する

② 2.5 × IW を計算する

③ ①と②のうち、小さいほうがIB

コツ手順4 ① 3 × 40 + 10 = 120 + 10 = 130A

手順5 ② 2.5 × 60 = 150A

手順6 小さいほうを選ぶ → IB = 130A

よってIW=60A、IB=130Aの組合せ、答えはハです。

なぜ?なぜ小さいほうを選ぶのか?

ブレーカーは電線を守るための部品だからです。ブレーカーが電線の限界より大きいと、電線が焼けてもブレーカーが落ちません。そこで電線が耐えられる範囲(2.5×IW)を超えないように上限をかけています。

なぜ?なぜ3倍という数字が出てくるのか?

モーターの始動電流が定格の数倍になるためです。始動のたびにブレーカーが落ちては使い物にならないので、始動電流では落ちない大きさまで許容しています。

覚えるこの問題の覚え方

IWは「1.25倍(モーターが多く50A以下のとき)」、IBは「3倍と2.5×IWの小さいほう」——この2つだけです。選択肢を見るとIWが50か60かで2つに割れているので、まず1.25×40+10=60を出せば、答えはハかニに絞れます。あとは130と150のどちらが小さいかを見るだけです。

【第二種電気工事士】幹線と分岐回路の決まりをゼロから解説👉 この分野をもっとくわしく【第二種電気工事士】幹線と分岐回路の決まりをゼロから解説

問10

分野:配線設計(分岐回路)重要度 ★★★

低圧屋内配線の分岐回路の設計で,配線用遮断器,分岐回路の電線の太さ及びコンセントの組合せとして,適切なものは。ただし,分岐点から配線用遮断器までは3 m,配線用遮断器からコンセントまでは8 mとし,電線の数値は分岐回路の電線(軟銅線)の太さを示す。また,コンセントは兼用コンセントではないものとする。

令和6年度上期 第二種電気工事士 学科 問10 の選択肢
答え・解説を見る
正解
イ.20A・2.0mm・定格電流20Aのコンセント2個
この問題は何を聞いているの?

「ブレーカーの大きさ・電線の太さ・コンセントの大きさの3点セットが、決まりどおりに組み合わされているのはどれか」を聞いています。表を1つ覚えておけば得点しやすい問題です。

用語分岐回路とは?

幹線から枝分かれした先の、部屋やコンセントにつながる回路のことです。分電盤の中に並んでいる小さなブレーカー1つ1つが、それぞれ1本の分岐回路を受け持っています。

なぜ?なぜブレーカー・電線・コンセントをセットで決めるのか?

いちばん弱いところが先に焼けてしまわないようにするためです。太いブレーカーに細い電線をつなぐと、電線が焼けてもブレーカーが落ちません。また大きなコンセントを小さい回路に付けると、使う人が「ここは大きな電流を使ってよい」と勘違いしてしまいます。

この表だけ覚えれば解ける

覚える分岐回路の組合せ【暗記】

20A 配線用遮断器 … 電線1.6 mm以上 / コンセント20A以下

20A ヒューズ(配線用遮断器以外) … 電線2.0 mm以上 / コンセント20A

30A … 電線2.6 mm以上 / コンセント20A以上30A以下

40A … 電線8 mm²以上 / コンセント30A以上40A以下

50A … 電線14 mm²以上 / コンセント40A以上50A以下

選択肢を1つずつ照合する

例イ 20A・2.0mm・20Aコンセント2個 … 20A回路の電線は1.6mm以上なので2.0mmはOK。コンセントも20A以下でOK。→ 適切

ロ 30A・2.0mm・20Aコンセント2個 … 30A回路には2.6mm以上が必要。2.0mmでは細すぎる。→ 誤り

ハ 20A・1.6mm・30Aコンセント1個 … 電線1.6mmはOKだが、20A回路に30Aのコンセントは付けられない。→ 誤り

ニ 30A・2.6mm・15Aコンセント1個 … 電線2.6mmはOKだが、30A回路のコンセントは20A以上30A以下。15Aは小さすぎる。→ 誤り

よって答えはイです。

覚える「3m」「8m」という条件は何のためにあるのか?

分岐した電線の太さを、いつも同じ太さにしなくてよいという別のルールがあるためです。分岐点からブレーカーまでが3m以下なら、電線の太さに追加の制限は付きません。

なぜ?なぜ距離で扱いが変わるのか?

ブレーカーより手前の電線はそのブレーカーに守られていないからです。短ければ事故の危険が小さいので3mまでは自由、8m以下なら幹線の35%以上、それより長いと55%以上の太さが必要——というルールになっています。この問題では3mなので、上の表で判断して問題ありません。

覚えるこの問題の覚え方

「20Aは1.6mm・30Aは2.6mm」と「コンセントはブレーカーの大きさを超えない」の2点で、ロ・ハ・ニがすべて消えます。距離の3m・8mという条件は今回は影響しないので、読み飛ばしてかまいません。なお20Aだけは「配線用遮断器なら1.6mm/ヒューズなら2.0mm」と2種類あるのが引っかけどころです。

📝 読んだあとは、解いて確かめる
令和6年度 上期 第二種電気工事士 学科(全50問)を、1問ずつ解いて答え合わせ
全50問。選択肢を選ぶとその場で正解・不正解と解説が出ます。登録も料金もいりません。
ドリルで解く →
この記事のまとめ

まとめこの10問で持ち帰りたいこと

問1 消費電力 … まず全体を1本の抵抗にまとめて電流を出す。並列は(かけて)÷(足して)

問2 抵抗率 … 断面積なのでDは2乗、mm²→m²なので10⁶。この2つを探すだけ

問3 熱量 … I²Rでワット → ×3600秒 → ÷1000でkJ

問4 三相の力率 … 「実際 ÷ 見かけ」。Pが上、√3VIが下。kWと%で10⁵

問5 三相3線式 … Y結線は線間電圧 ÷ √3 が抵抗1個ぶん。√3で割るのは1回だけ

問6 電圧降下 … 単相2線式は電線が往復2本ぶん

問7 電力損失 … 単相3線式で上下が同じ電流なら中性線は0A。電線は2本ぶん

問8 許容電流 … 2.0mm=35A × 0.63(4本)=22A。1.6=27/2.6=48も暗記

問9 幹線 … IW=1.25IM+IH/IB=3IM+IH と 2.5IW の小さいほう

問10 分岐回路 … 20A=1.6mm・30A=2.6mm。コンセントはブレーカーを超えない

出典

令和6年度上期第二種電気工事士試験(学科試験)
問題・図・写真・解答は一般財団法人 電気技術者試験センターが公表しているものです。

あわせて読みたい(第二種電気工事士 令和6年度上期 全5記事)

▶ 問11〜20
材料と工具(アウトレットボックス・IV 60℃・写真鑑別・リングスリーブ)

▶ 問21〜30
施工・検査・法令(可とう電線管・弱電流電線・回路計・接地と絶縁)

▶ 配線図 問31〜40
図記号と数字もの(リモコン・VE28・接地工事・絶縁抵抗・電線本数)

▶ 配線図 問41〜50
写真の見分け(コネクタ・カップリング・工具・スリーブ・コンセント)

用語からつまずいた人へ(やさしい基礎解説)

▶ オームの法則と直列・並列
電圧・電流・抵抗のきほんから

▶ W・Wh・Jの違い
電力・電力量・熱量

▶ 単相2線式・単相3線式・三相3線式
配線方式のちがい

▶ 配線図の図記号の読み方
スイッチ・コンセント・照明の記号

▶ 電線とケーブルの種類・許容電流
VVF・IV・1.6mm=27Aなどの暗記ポイント

▶ 電線管の種類と配線工事
金属管・VE・PF・CD管のちがいと付属品

▶ 幹線と分岐回路の決まり
幹線の計算とブレーカー×電線×コンセントの表

▶ 複線図の書き方【3ステップ】
電線の本数もリングスリーブもこれで数えられる

▶ 検査と測定器のきほん
「見る→測る→通す」と測定器の見分け方

▶ 法令のきほん
工事士法=人/用品安全法=モノ/事業法=設備

▶ モーターと進相コンデンサ
回転速度・始動電流・力率改善

学科のあとは、技能試験の準備が要ります

技能試験は40分で実際に配線を組み立てる試験です。工具と練習用の材料がないと、実際に手を動かす練習ができません。通信講座は必要か、材料は買うか借りるか——実際の価格で比べました。

▶ 通信講座5社と工具・材料の費用を比較する