【令和5年度】第二種電気工事士の過去問と解説【上期 午後 学科 問1〜10】
第二種電気工事士の学科試験を、電気の知識がまったくない人でも読み進められるように1問ずつ解説します。このページは令和5年度 上期・午後(2023年5月28日実施)の問1〜10です。
問1〜問10は計算が中心です。「計算」と聞くと身構えてしまうかもしれませんが、ここで本当に必要な式はたった3つ——オームの法則(電圧=電流×抵抗)、電力(電力=電圧×電流)、そして電線の太さと電流の表を引くことだけです。難しい公式を暗記する必要はありません。「抵抗って何?」「並列って何?」というところから、1問ずつ全部説明しますので、電気の勉強がまったく初めてという人も、そのまま読み進めてください。各問題の下の「答え・解説を見る」を開くと答えと考え方が出ます。まず自分で考えてから開くのがおすすめです。
この記事の問題はどこから?
問題文・図・写真・解答は、試験を実施している一般財団法人 電気技術者試験センターが公表しているものです。
出典:令和5年度上期第二種電気工事士試験(午後)
問1
図のような回路で,端子a-b間の合成抵抗[Ω]は。

答え・解説を見る
「3Ωの抵抗が5個ゴチャゴチャにつながっている。これを全部まとめると、結局いくつの抵抗1個ぶんになるか」を聞いています。この「まとめた1個ぶんの値」のことを合成抵抗(ごうせいていこう)と呼びます。
つまりやることはお片づけです。5個バラバラに置かれているものを、ルールに従って2個にまとめ、最後に1個にまとめる。それだけです。難しい公式は1つも要りません。まず、出てくる言葉を全部説明します。
用語抵抗(ていこう)とは?
電気の流れにくさのことです。単位はΩ(オーム)と書きます。水道で例えると、ホースの途中に入れた「細くなっている部分」だと思ってください。細い部分があると水は流れにくくなります。その「流れにくさの度合い」が抵抗で、数字が大きいほど流れにくいのです。
なぜ?なぜ電気の道にわざわざ「流れにくい部分」を作るのか?
電気は流れにくいところを通るときに、その働きを外に出すからです。電球が光るのも、ヒーターが熱くなるのも、電気が通りにくい部分を無理やり通っているからです。つまり抵抗は邪魔者ではなく、電気を「光」や「熱」に変える仕事場そのものなのです。
用語Ω(オーム)とは?
抵抗の大きさを表す単位です。「3Ω」なら「流れにくさが3」という意味です。長さのcm、重さのgと同じで、ただの目盛りの名前だと思ってかまいません。
なぜ?なぜ「オーム」という名前なのか?
この関係を見つけた人の名前だからです(ゲオルク・オーム)。単位が人の名前になっているのは電気ではよくあることで、V(ボルト)もA(アンペア)もW(ワット)も、全部人の名前です。意味を深く考えず、記号として受け取ってください。
抵抗のつなぎ方には2種類しかありません。この2つの見分けと計算ができれば、合成抵抗の問題の多くに対応できます。
用語直列(ちょくれつ)とは?
直列とは、抵抗が一列に、数珠つなぎに並んでいる状態のこと。電気の通り道が1本しかなく、途中で枝分かれしていないのが目印です。計算はただの足し算——3Ωと3Ωが直列なら、合わせて6Ωです。
なぜ?なぜ直列だと足し算になるのか?
邪魔が順番に増えていくだけだからです。細いホースを2本つなげば、水はもっと流れにくくなります。通らなければならない関門が2つに増えるので、流れにくさもそのまま2つぶん足されるのです。
用語並列(へいれつ)とは?
抵抗が横に並んでいて、電気の通り道が枝分かれしている状態です。両端がそれぞれ同じ点につながっているのが目印です。計算は足し算ではなく、必ず元の1個より小さくなります。同じ値どうしなら個数で割るだけ——3Ωが2個並列なら3÷2=1.5Ωです。
なぜ?なぜ並列だと抵抗が小さくなるのか?
通り道が増えるからです。レジが1台しかない店に行列ができていても、もう1台開ければ行列は半分になります。道が2本になれば、電気は両方に分かれて流れるので、全体として見ればずっと流れやすくなった=抵抗は小さくなったのです。並列の答えが元の1個より大きくなったら、必ず計算間違いです。
覚える並列の計算のしかた(2通りだけ覚える)
同じ値がn個ならば … 1個の値 ÷ 個数。例)3Ωが2個 → 3÷2=1.5Ω / 3Ωが3個 → 3÷3=1Ω
ちがう値が2個ならば … 「かけて、割る」(積÷和)。例)3Ωと1.5Ω → (3×1.5)÷(3+1.5)=4.5÷4.5=1Ω
なぜ?なぜ「かけて割る」で並列の答えが出るのか?
本来の式は「1÷(1/R₁+1/R₂)」という分数だらけの形なのですが、2個のときだけは、それを整理すると「積÷和」になるのです。2個のときは必ず使えますので、分数の式は忘れて「かけて、割る」と唱えて覚えてしまってください。
なぜ?なぜ3個以上のときに「かけて割る」を使ってはいけないのか?
この形は2個のときにだけ成り立つ整理結果だからです。3個以上なら、まず2個を合成して1個にし、その結果と3個目をまた2個として合成する——と、2個ずつ順番に片づければ、いつでも「かけて割る」だけで処理できます。
図には3Ωの抵抗が5個あります。いきなり全部を見ようとすると混乱するので、まん中に見える「太い点(黒丸)」に注目して、図を左半分と右半分に切ります。
用語図の中の「黒丸(●)」とは?
電線どうしがそこでつながっていることを表す印です。黒丸のある交差点=つながっている、黒丸のない交差点=またいでいるだけでつながっていない、というルールです。
なぜ?なぜ黒丸の有無をそんなに気にする必要があるのか?
つながっているかどうかで、回路の形がまったく別物になるからです。この問題の図でも、まん中の縦線に打たれた黒丸を見落とすと、「右半分の2個が並列である」ことに気づけません。配線図の問題(問31〜40)でも同じ読み方をするので、いま身につけておくとあとが楽です。
左半分(aから、まん中の太い縦線まで) … 3Ωが3個あります。上に1個、下側に2個です。
右半分(まん中の縦線から、bまで) … 3Ωが2個、上下に並んでいます。
このまん中の縦線は、上・中・下がすべて黒丸でつながった1本の線です。電気の世界では、電線で直接つながっているところは、全部「同じ1点」とみなします。ですからこの縦線全体を、「まん中の駅」のような1つの点だと思ってください。すると回路は「a → まん中の駅 → b」という、たった2区間の話になります。
では、区間ごとに片づけていきます。左半分からです。
手順1:左半分の「下2個」を先にまとめる
図の左下にある2個の3Ωは、左端がどちらもaの点、右端がどちらも同じ点につながっています。両端が同じ点=並列です。同じ値が2個なので、3 ÷ 2 = 1.5Ω。
手順2:手順1の1.5Ωと、左上の3Ωをまとめる
いま左半分は「上に3Ω」「下に1.5Ω」の2本になりました。この2本も左端がa、右端がまん中の駅で、両端が同じ点=並列です。値がちがうので「かけて割る」を使います。
かけると 3 × 1.5 = 4.5
足すと 3 + 1.5 = 4.5
割ると 4.5 ÷ 4.5 = 1Ω … 左半分は1Ω
手順3:右半分をまとめる
右半分の2個は、左端がどちらもまん中の駅、右端がどちらもbの側。これも並列です。同じ値が2個なので3 ÷ 2 = 1.5Ω。 … 右半分は1.5Ω
手順4:左半分と右半分をつなぐ
いま回路は「a -[1Ω]- まん中の駅 -[1.5Ω]- b」という一列(直列)になりました。直列は足し算です。
1 + 1.5 = 2.5Ω
よって答えはロ.2.5Ωです。
計算に自信がないときのために、検算のコツを1つ紹介します。
用語合成抵抗の答えは、どのくらいの大きさになるはずか?
並列がたくさんある回路は、必ず「使われている抵抗1個の値」より小さい区間ができます。この問題では3Ωしか使われていないので、左半分も右半分も3Ωより小さいはずです(実際1Ωと1.5Ω)。そして最後にそれを足すので、答えは大きくても6Ω未満だと分かります。
なぜ?なぜこの見積もりで選択肢を減らせるのか?
選択肢のハ(6Ω)とニ(15Ω)は、この見積もりだけで消せるからです。15Ωというのは5個を全部直列にした(3×5)値で、並列を1つも使っていない答えです。図に枝分かれがある以上、そんなに大きくなるはずがありません。
ニ(15Ω)は、5個の3Ωをただ全部足してしまった人の答えです。3×5=15。図の枝分かれを見落として、「一列につながっている」と思い込んだときにこうなります。図を見たら、まず黒丸と枝分かれを探す——これを習慣にしてください。
ハ(6Ω)は、左半分を3Ω、右半分を3Ωと勘違いした人の答えです。「並列だけど、値は変わらないだろう」と流してしまうとこうなります。並列にした瞬間、必ず値は小さくなります。ここは絶対に譲らないでください。
イ(1.1Ω)は誤りです。左半分1Ω+右半分1.5Ωの直列なので、答えは1.5Ωより小さくなりません。まん中の駅で左右に切って計算すれば、2.5Ωに決まります。
覚えるこの問題の覚え方
「黒丸で切って、小さい島から片づける」。複雑に見える回路も、つながっている点でいったん切り分ければ、中身は「並列2個」か「直列2個」しか出てきません。そして並列は必ず小さくなる/直列は必ず大きくなる。この2つの感覚を持っていれば、計算間違いにその場で気づけます。
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A,B 2本の同材質の銅線がある。Aは直径1.6mm,長さ100m,Bは直径3.2mm,長さ50mである。Aの抵抗はBの抵抗の何倍か。
答え・解説を見る
「細くて長い電線Aは、太くて短い電線Bにくらべて、何倍電気が流れにくいか」を聞いています。
数値がそのまま与えられているので、公式に数字を入れて割り算するだけ——なのですが、この問題には、公式を使わずに暗算で答えを出せる裏道があります。まずは電線の抵抗というものを理解して、そのあと裏道を紹介します。
用語電線の抵抗とは?
電線そのものが持っている「電気の流れにくさ」のことです。銅は電気をよく通す金属ですが、まったくゼロではありません。長い電線を使えば使うほど、細い電線を使えば使うほど、流れにくさは増えていきます。
なぜ?なぜ電線の抵抗を気にしなければいけないのか?
電線の抵抗のせいで、電圧が目減りするからです。100Vを送り出したのに、長い電線の先では95Vしか届かない——ということが実際に起こります(これを電圧降下といい、この記事の問6・問7でくわしく扱います)。また、抵抗があると電線が熱を持つので、火災の危険にもつながります。
例電線の抵抗を決める3つの要素
①材質 … 銅かアルミか。この問題では「同材質の銅線」と書いてあるので、2本とも条件は同じ=考えなくてよい
②長さ … 長いほど流れにくい。長さが2倍なら抵抗も2倍(そのまま比例)
③太さ(断面積) … 太いほど流れやすい。断面積が2倍なら抵抗は半分(反比例)
なぜ?なぜ長いほど流れにくくなるのか?
電気が通り抜けなければならない距離が伸びるからです。電線の中では、電気が金属の原子のあいだをかき分けて進んでいます。道のりが2倍になれば、かき分ける回数も2倍——だから抵抗もそのまま2倍になります。直列に抵抗を2個つないだのと同じことです。
なぜ?なぜ太いほど流れやすくなるのか?
通り道の幅が広がるからです。2車線の道路を4車線にすれば、同じ時間に倍の車が通れます。電線も同じで、断面積が2倍になれば流れやすさも2倍=抵抗は半分になります。
この問題で特につまずきやすいポイントがここです。抵抗に効くのは「直径」ではなく「断面積」だ、という点です。
用語断面積(だんめんせき)とは?
電線をスパッと輪切りにしたときの、切り口の面積のことです。電線の断面は円なので、面積は半径×半径×3.14で求まります。直径をDとすれば半径はD÷2なので、断面積 = 3.14 × D × D ÷ 4です。
なぜ?なぜ直径ではなく断面積で考えるのか?
電気が通れるのは「切り口の広さ」のぶんだけだからです。道路の「幅」ではなく「車線の本数(=面積)」が交通量を決めるのと同じです。そして円の面積は、直径を2倍にすると4倍になります(2×2=4)。直径2倍=断面積4倍=抵抗4分の1——ここが最大のポイントです。
用語直径を2倍にすると、面積はなぜ4倍になるのか?
面積はタテとヨコの両方が効くからです。1辺1cmの正方形の面積は1cm²ですが、1辺を2cmにすると2×2=4cm²になります。円でもまったく同じで、直径が2倍なら面積は2×2=4倍です。
なぜ?なぜこれを毎回意識しなければならないのか?
試験は、この「2乗」を忘れた人を落とすように作られているからです。この問題も、直径が2倍(1.6mm→3.2mm)になっているのに抵抗を「2分の1」と計算してしまうと、答えが4になり、ちゃんと選択肢ハ(4倍)が用意されています。ひっかけの答えは選択肢に用意されていることが多いと考えておきましょう。
念のため、正式な式でも確かめておきます。電線の抵抗 = ρ(ロー)× 長さ ÷ 断面積という式です。
用語ρ(ロー)とは?
抵抗率(ていこうりつ)といって、その金属が持っている「流れにくさの体質」を表す数字です。銅なら銅で決まった値があり、太さや長さには関係しません。読み方は「ロー」で、ギリシャ文字です。
なぜ?なぜこの問題ではρの値を知らなくてよいのか?
問題文に「同材質の銅線」と書いてあるからです。2本とも同じ銅なので、ρはまったく同じ値。倍率(=わり算)を求める問題では、同じ数どうしは打ち消し合って消えます。ですからρがいくつかを知らなくても、答えは出せるのです。
手順1:2本の抵抗を、式の形のまま書く
Aの抵抗 = ρ × 100 ÷(3.14 × 1.6 × 1.6 ÷ 4)
Bの抵抗 = ρ × 50 ÷(3.14 × 3.2 × 3.2 ÷ 4)
手順2:AをBで割る(=何倍かを出す)
ρと3.14と÷4は、両方に同じだけあるので消えます。残るのは長さと直径だけ。
A ÷ B = (100 ÷ 1.6²) ÷ (50 ÷ 3.2²)
手順3:2乗を先に計算する
1.6 × 1.6 = 2.56 / 3.2 × 3.2 = 10.24
手順4:わり算を整理する
(100 ÷ 2.56)÷(50 ÷ 10.24)
= 39.0625 ÷ 4.8828…
= 8
よって答えはニ.8倍です。
この問題は、「Aを基準にして、Bへ変えていくと何倍になるか」と考えると、暗算で終わります。
変化①:長さが100m → 50m(半分になった)
長さはそのまま比例するので、抵抗も半分(÷2)。
変化②:直径が1.6mm → 3.2mm(2倍になった)
直径2倍 → 断面積は2×2=4倍 → 抵抗は4分の1(÷4)。
まとめる
BはAにくらべて ÷2 して ÷4 = 8分の1の抵抗。
つまりAのほうが8倍抵抗が大きい。→ 8倍
なぜ?なぜ数値を計算しなくても答えが出るのか?
問題が「何倍か」しか聞いていないからです。「Aは何Ωか」と聞かれたらρの値が必要ですが、倍率だけなら、変化した分だけを追いかければ十分です。試験本番では電卓が使えないので、この「変化を追う」やり方のほうが速く、計算ミスも起きにくくなります。
なぜ?なぜ数字がちょうど1.6と3.2なのか?
身近な電線の太さが、そのまま使われているからです。1.6mm・2.0mm・2.6mmは実際の住宅配線で使う定番の太さで、許容電流(電線に流してよい電流の上限)の暗記(問8で扱います)でも出てきます。3.2mmは1.6mmのちょうど2倍なので、出題者が「2乗を分かっているか」を試すために選んだ数字だと考えてよいでしょう。
ハ(4倍)は、特に引っかかりやすい答え。直径が2倍だから抵抗は2分の1、長さが半分だからさらに2分の1、合わせて4分の1——と計算してしまうパターンです。直径は2乗で効くのを忘れた形で、まさに出題者が用意している落とし穴です。
ロ(2倍)は、長さだけを見た人の答えです。100m対50mで2倍——太さの違いをまったく使っていません。「同材質」という言葉に安心して、材質以外の条件も同じだと思い込むとこうなります。
イ(1倍)は誤りです。Aは長いうえに細いので、長さの面でも太さの面でもBより抵抗が大きくなり、打ち消し合うことはありません(長さで2倍×太さで4倍=8倍)。
覚えるこの問題の覚え方
「長さは1回、太さは2回」——これだけ覚えてください。長さは1乗(そのまま比例)、直径は2乗(2倍なら4倍、3倍なら9倍)。そして長さは抵抗を増やす向き、太さは抵抗を減らす向き。この4つの言葉で、電線の抵抗の問題の多くを処理できます。
👉 この分野をもっとくわしく【第二種電気工事士】オームの法則と直列・並列をゼロから解説問3
抵抗に15Aの電流を1時間30分流したとき,電力量が4.5kW・hであった。抵抗に加えた電圧[V]は。
答え・解説を見る
「電気を1時間半使ったら4.5kW・h ぶん使った。そのとき、いったい何Vの電圧をかけていたのか」を聞いています。
答えにたどりつくには、2段階で戻ります。①「1時間半で4.5kW・h」から「1時間あたり何kWか」を出す → ②「電力」と「電流」から「電圧」を出す。ここで出てくるW(ワット)とWh(ワットアワー)のちがいが、この問題の核心です。
多くの人がここで混乱します。この2つは、単位が似ているだけでまったく別の量です。「速さ」と「距離」くらいちがいます。
用語W(ワット)= 電力(でんりょく)とは?
いま、この瞬間に、どれくらいの勢いで電気を使っているかを表す数字です。「電気の使いっぷりの強さ」だと思ってください。1000Wのドライヤーと40Wの電球なら、ドライヤーのほうが25倍の勢いで電気を使っています。
なぜ?なぜワットは「速さ」に例えられるのか?
時間の情報が入っていないからです。車の「時速60km」が、走った時間を言わずに勢いだけを表すのと同じで、ワットも使った合計の量ではなく、勢いだけを表しています。1000Wのドライヤーを1秒使っても1時間使っても、ワットの値は1000Wのままです。
用語W・h(ワットアワー)= 電力量(でんりょくりょう)とは?
その勢いで、どれだけの時間使ったか、を掛け合わせた「合計の量」です。電力量 = 電力(W)× 時間(h)。電気代の請求書に載っているのは、こちらのkW・hです。
なぜ?なぜ電気代は「W」ではなく「W・h」で決まるのか?
電力会社が売っているのは「勢い」ではなく「合計の量」だからです。1000Wのドライヤーを1分だけ使うのと3時間使うのとでは、払う金額がまるでちがいます。「時速60kmで走った」だけではガソリン代が決まらず、「何時間走ったか」を掛けて初めて走行距離=ガソリン代が決まるのと同じ関係です。
用語この2つの関係を1行で
電力量(W・h) = 電力(W) × 時間(h)
電力(W) = 電力量(W・h) ÷ 時間(h) … 今回はこちらを使います(合計から勢いを逆算する)
問題文には「1時間30分」と「4.5kW・h」という、そのままでは計算に使えない形の数字が2つあります。計算を始める前に、必ず直しておきます。
変換1:1時間30分 → 何時間か
30分は1時間の半分=0.5時間。ですから1時間30分は1.5時間です。
※「1.30時間」ではありません。ここは間違えやすいところです。
変換2:4.5kW・h → 何W・hか
k(キロ)は1000倍という意味の記号です。ですから4.5kW・h = 4500W・h。
用語k(キロ)とは?
1000倍を表す記号です。1kg=1000g、1km=1000mと同じで、1kW=1000W、1kW・h=1000W・hです。
なぜ?なぜ電気の世界ではキロをよく使うのか?
家庭で使う電気は、Wで書くと桁が多くなりすぎるからです。エアコンが2800W、電子レンジが1400W、家全体だと数千Wになるので、2.8kW・1.4kWと書いたほうが読みやすいのです。試験では選択肢がkWで、問題文がWになっている(逆もある)ことが多いので、どちらの単位で答えるかを最後に必ず確認してください。
なぜ?なぜ「30分=0.5時間」に直さなければならないのか?
W・hのhは「hour(時間)」であって「分」ではないからです。単位の中に「時間」と書いてある以上、掛けたり割ったりする数字も「時間」でそろえなければ、答えが合いません。
なぜ?なぜ「1.30時間」と書いてはいけないのか?
時間は10進法ではなく60進法だからです。1時間は100分ではなく60分。ですから30分は「0.30時間」ではなく30÷60=0.5時間です。15分なら0.25時間、45分なら0.75時間——この3つは計算でよく使うので、そのまま覚えてしまってください。
手順1:電力(勢い)を求める
電力量 ÷ 時間 = 電力 なので、
4500W・h ÷ 1.5h = 3000W
(=3kW。1時間半で4.5kW・h使ったのだから、1時間あたり3kWの勢い)
手順2:電圧を求める
電力 = 電圧 × 電流 なので、電圧 = 電力 ÷ 電流。
3000W ÷ 15A = 200V
よって答えはハ.200Vです。
なぜ?なぜ「電力=電圧×電流」なのか?
電圧が「電気を押す力の強さ」、電流が「流れている電気の量」だからです。水に例えると、電圧=水圧、電流=水の量。水車を勢いよく回すには、水圧が高いだけでも、水の量が多いだけでも足りず、両方をかけ合わせたものが仕事の量になります。だから電力は掛け算なのです。
なぜ?なぜ今回は「割り算」で使ったのか?
3つのうち2つが分かっていて、残り1つを知りたいからです。電力=電圧×電流という関係は、電圧=電力÷電流とも電流=電力÷電圧とも書けます。掛け算の式は、いつでも割り算に置きかえられる——これは電気の計算問題の多くに共通する考え方です。
抵抗の値を先に出してから電圧を求めることもできます。遠回りですが、途中の意味がよく分かるので紹介します。
コツ手順1 電力3000W、電流15A。電力=電流×電流×抵抗という式も成り立つので、
3000 = 15 × 15 × 抵抗 → 3000 ÷ 225 = 約13.3Ω
手順2 オームの法則「電圧=電流×抵抗」に入れる。
15A × 13.3Ω = 約200V
同じ答えになりました。本番では最初のやり方(電力量÷時間 → ÷電流)のほうが速いので、そちらを使ってください。
ニ(400V)は誤りです。時間で割り忘れると4500 ÷ 15 = 300Vとなり、400Vにはなりません。W・hが出てきたら、まず時間で割るのを最初にやってください。
ロ(100V)は、時間を「3時間」と勘違いした人の答えです。4500 ÷ 3 = 1500W、1500 ÷ 15 = 100V。1時間30分を「1と30で、なんとなく3」のように読み間違えると起こります。また「家庭の電気は100Vだろう」という思い込みで選んでしまう人もいます。思い込みではなく計算で決めることが大切です。
イ(24V)は誤りです。正しく計算すると200Vになり、24Vになる計算の道筋はありません。
覚えるこの問題の覚え方
「W・hを見たら、まず時間で割ってWにする」。電力量の問題は、多くがこれで始まります。そして時間は必ず「時間(h)」の単位にそろえる——30分=0.5/15分=0.25/45分=0.75。そのあとは電力÷電流=電圧で終わりです。
👉 この分野をもっとくわしく【第二種電気工事士】W・Wh・Jの違いをゼロから解説(電力・電力量・熱量)問4
単相交流回路で200Vの電圧を力率90%の負荷に加えたとき,15Aの電流が流れた。負荷の消費電力[kW]は。
答え・解説を見る
「200Vをかけて15A流れた。ただし力率は90%。このとき実際に消費された電力は何kWか」を聞いています。
答えを出すだけなら3つの数字をかけ算するだけで終わります。ただ、「力率(りきりつ)」という言葉の意味が分からないと、なぜかけるのかも、なぜ90%で目減りするのかも分かりません。そこをじっくり説明します。
用語交流(こうりゅう)とは?
電気の流れる向きが、1秒間に何十回も入れかわる電気のことです。コンセントから来る電気はすべて交流で、東日本は1秒間に50回、西日本は60回、向きが行ったり来たりしています。英語でAC(エーシー)とも書きます。
なぜ?なぜ向きが入れかわる電気をわざわざ使うのか?
変圧器(トランス)で電圧を自由に上げ下げできるからです。発電所からは非常に高い電圧で送ったほうが電線での損失が少なくてすみ、家の近くで100V・200Vまで下げて配ります。変圧器によるこの「電圧の上げ下げ」は交流でなければできません。そのため世界中の送電網が交流になっています。
用語単相(たんそう)とは?
電気の波が1組だけ来ているという意味です。家庭用コンセントはすべて単相で、「単相2線式(電線2本)」「単相3線式(電線3本)」の2種類があります。これに対して、波が3組ずれて来ているのが三相(さんそう)で、工場のモーターなどに使います(次の問5で扱います)。
なぜ?なぜ家庭は単相で、工場は三相なのか?
大きなモーターを回すには三相のほうが都合がよいからです。三相は波が3組ずれて来るので、力が途切れずに連続して出せます。一方、家庭で使うのは照明やテレビなど小さな機器ばかりなので、電線が少なくてすむ単相で十分なのです。
ここが山場です。力率が分かれば、この問題はぐっと解きやすくなります。
用語力率(りきりつ)とは?
送り込んだ電気のうち、実際に仕事をしてくれた割合のことです。90%なら、見かけの電力(電圧×電流)の9割が実際に消費される電力になるという意味です。記号ではcosθ(コサイン シータ)と書かれます。
なぜ?なぜ電気の一部が「仕事をしない」ことが起こるのか?
交流には、電気をいったん貯めて、あとで戻してしまう部品があるからです。モーターの中のコイル(電線をぐるぐる巻いたもの)がその代表で、コイルは電気を磁石の力として一時的に貯め、次の瞬間に電源へ返します。返ってきた電気は、何の仕事もしていません。その「行って帰ってきただけ」のぶんがあるので、電流としては流れているのに、消費された電力はそのぶん少なくなるのです。
例力率をイメージで理解する(ビールの泡)
ジョッキいっぱいに注いだビール … 電圧×電流でそのまま計算した値。これを皮相電力(ひそうでんりょく)という
泡の下にある液体のビール … 実際に飲める(=仕事をする)ぶん。これが消費電力(有効電力)
泡の部分 … 見た目は入っているのに飲めないぶん。これが無効電力(むこうでんりょく)
力率90% … ジョッキ全体(皮相電力)に対して、液体(消費電力)が9割ということ(ただし泡=無効電力は引き算の1割ではなく、計算上は約44%になります。ビールはあくまでイメージです)
用語皮相電力(ひそうでんりょく)とは?
電圧と電流をそのままかけ算した、見かけ上の電力です。単位はW(ワット)ではなくV・A(ボルトアンペア)を使います。この問題なら200V × 15A = 3000V・Aが皮相電力です。
なぜ?なぜ皮相電力だけ単位がV・Aなのか?
本当に消費された電力と区別するためです。同じ「3000」という数字でも、3000V・A(見かけ)と3000W(実際に消費)はまるで意味がちがいます。単位を分けておけば、どちらの話をしているのかが一目で分かるのです。発電機やブレーカーの容量は「泡もふくめた全部」を運ばなければならないのでV・Aで表示されます。
なぜ?なぜ力率が低いと困るのか?
仕事をしない電流のために、太い電線と大きな設備が必要になるからです。泡だらけのビールを運ぶには、飲める量のわりに大きなジョッキが要ります。電気も同じで、力率が低いと同じ仕事をするのに余計な電流が流れ、電線が発熱し、変圧器も大きなものが必要になります。
なぜ?なぜ工場では「進相コンデンサ」を付けるのか?
力率を100%に近づけて、泡を減らすためです。コイルが電気を遅らせるのに対し、コンデンサ(電気を一時的にためる部品)は逆向きに進ませる働きをするので、両方あると打ち消し合って無効電力が減ります。これを力率改善(りきりつかいぜん)といい、電気工事士の試験でも出題されるテーマです。
問題文の数字はV・Aで、答えの選択肢はkWです。最後にWからkWへ直す(÷1000)のを忘れないよう、先に意識しておきます。
与えられた数字 … 電圧200V/電流15A/力率90%=0.9
%は「100で割って小数にする」 … 90% = 90 ÷ 100 = 0.9
答えの単位 … kW。計算結果がWで出るので、最後に1000で割る
コツ手順1:見かけの電力(皮相電力)を出す
200V × 15A = 3000V・A
手順2:力率をかけて、本当に消費された電力にする
3000 × 0.9 = 2700W
手順3:kWに直す
2700 ÷ 1000 = 2.7kW
よって答えはロ.2.7kWです。
用語単相交流の消費電力の式
消費電力(W) = 電圧(V) × 電流(A) × 力率。この1本だけです。直流のときは電圧×電流で終わりでしたが、交流では最後に力率をかける——それだけの違いです。
なぜ?なぜ直流には力率が出てこないのか?
直流は向きが変わらないので、電気を貯めて返すという現象が起きないからです。コイルもコンデンサも、向きが変わり続ける交流だからこそ貯めたり返したりを繰り返します。向きが一定の直流では、流れた電気はそのまま全部仕事に使われる=力率100%と考えてよいのです。
ハ(3.0kW)は、力率をかけ忘れた人の答えです。200 × 15 = 3000W = 3.0kW。数字がきれいに出るので、「合っている」と思い込みやすいのが怖いところです。交流の問題で「力率」という言葉が出てきたら、必ず最後にかけると決めておいてください。
ニ(3.3kW)は、力率で「かける」ところを「割った」人の答えです。3000 ÷ 0.9 = 3333W = 約3.3kW。消費電力が、見かけの電力より大きくなることは絶対にありません。答えが3000Wを超えたら、その時点で間違いと気づけます。
イ(2.4kW)は、力率を0.8(80%)と読み違えた人の答えです。3000 × 0.8 = 2400W。実務では力率80%の設定がよく使われるので、「力率といえば0.8」と体が覚えてしまっている人ほど引っかかります。問題文の数字をそのまま使う——基本ですが、いちばん大事です。
覚えるこの問題の覚え方
「単相の消費電力は、V×A×力率。力率は必ず1より小さいので、答えは必ず減る」。この「必ず減る」という感覚があれば、3.0kW(かけ忘れ)も3.3kW(割ってしまった)も、見た瞬間に消せます。選択肢を2つ消せれば、正答率は一気に上がります。
👉 この分野をもっとくわしく【第二種電気工事士】力率と三相交流|√3が出る場所を知識ゼロから【第4回】問5
図のような三相3線式回路に流れる電流I[A]は。

答え・解説を見る
「3本の電線で200Vが来ている。そこに10Ωの抵抗を3個、Y(ワイ)の形につないだ。電線1本に流れる電流は何Aか」を聞いています。
この問題は「三相って何?」「なぜ√3(ルート3)が出てくるの?」が分からないと解きにくい問題です。逆に、そこさえ分かれば割り算2回で終わります。順番に説明します。
用語三相(さんそう)とは?
同じ大きさの交流の波が、少しずつタイミングをずらして3組送られてくる方式です。電線は3本で、図では「3φ3W」と書かれています。φ(ファイ)が「相」の記号、Wが「線(Wire)」なので、3φ3W = 三相3線式と読みます。
なぜ?なぜタイミングをずらすと都合がよいのか?
力が途切れなくなるからです。1組だけの交流(単相)では、波がゼロになる瞬間に、力もいったんゼロになります。3組をずらして送れば、どれか1組がゼロでも、ほかの2組が力を出しているので、モーターがガクガクせず、なめらかに回り続けます。工場の機械やビルのエレベーターが三相を使うのはこのためです。
コツ3φ3W・1φ2W・1φ3W という記号の読み方
φ(ファイ)の前の数字が「相の数」、Wの前の数字が「電線の本数」です。1φ2W=単相2線式(一般のコンセント)、1φ3W=単相3線式(いまの住宅の引き込み)、3φ3W=三相3線式(動力・工場用)。
なぜ?なぜこの記号を覚える必要があるのか?
図の中にこの記号しか書かれていないことが多いからです。この問題でも、「三相」という情報は図の左の「3φ3W」だけにあります。この6文字を読み飛ばすと、単相だと思い込んで200÷10=20Aと答えてしまいます(実際に選択肢ニに用意されています)。
三相の負荷(=電気を使うもの)のつなぎ方には2種類しかありません。どちらなのかを図から見分けることが、この問題の第1関門です。
用語Y結線(ワイけっせん・スター結線)とは?
3つの抵抗の片方の端を、1か所にまとめて結んだ形です。アルファベットのY、または星(スター)の形に見えます。まとめた真ん中の点を中性点(ちゅうせいてん)と呼びます。
なぜ?なぜこの図はY結線だと分かるのか?
3個の10Ωが、まん中の1点から放射状に伸びているからです。図をよく見ると、10Ωの抵抗3個が、まん中の1つの点で合流しています。合流点が1つある=Y結線、3個が輪になってつながっている=Δ結線——これが見分け方です。
用語Δ結線(デルタけっせん・三角結線)とは?
3つの抵抗を、輪になるようにぐるりとつないだ形です。三角形(ギリシャ文字のΔ)に見えます。合流する中心点がありません。
なぜ?なぜY結線とΔ結線を区別しなければならないのか?
抵抗1個にかかる電圧が、まったくちがうからです。Δ結線なら、抵抗1個に線間電圧(200V)がそのままかかります。ところがY結線では、200Vを2個の抵抗で分け合うので、1個にかかる電圧は200Vより小さくなります。ここを取り違えると、答えが1.73倍ずれてしまうのです。
三相の計算では√3 = 約1.73という数字がたびたび顔を出します。これが何なのかを説明します。
用語線間電圧(せんかんでんあつ)と相電圧(そうでんあつ)
線間電圧=3本の電線のうち、どれか2本のあいだの電圧。この図の「200V」がこれです。
相電圧=抵抗1個にかかっている電圧。Y結線では、中性点から見た1本ぶんの電圧です。
なぜ?なぜY結線では相電圧が線間電圧の√3分の1になるのか?
3つの波のタイミングがずれているからです。2個の抵抗がまん中でつながっているので、線間電圧は「抵抗2個ぶんの電圧を足したもの」なのですが、タイミングがずれているので、単純に2倍にはなりません。ちょうど1.73倍(=√3倍)になる、というのが結論です。試験では「Y結線なら÷1.73」とだけ覚えておけば十分です。
まとめ三相の計算で覚えることは、この2行だけ
Y結線(星形) … 抵抗1個にかかる電圧 = 線間電圧 ÷ √3(÷1.73)。電流はそのまま線を流れる
Δ結線(三角形) … 抵抗1個にかかる電圧 = 線間電圧そのまま。ただし電線に流れる電流は、抵抗を流れる電流の√3倍
なぜ?なぜ問題文に「√3=1.73」と書いてあるのか?
試験会場では電卓が使えないからです。問題冊子の最初のページに「√2=1.41、√3=1.73、円周率=3.14」と書かれており、この値をそのまま使ってよいことになっています。
なぜ?なぜこの数字を暗記しておいたほうがよいのか?
本番で注意書きを探す時間がもったいないからです。1.41(ひとよひとよ)と1.73(ひとなみにおごれや)は中学校で習う語呂合わせです。三相=1.73とセットで頭に入れておけば、問題を見た瞬間に手が動きます。
手順1:結線の形を見分ける
図の3個の10Ωは、まん中の1点に集まっています。 → Y結線。
手順2:抵抗1個にかかる電圧(相電圧)を出す
Y結線なので、線間電圧200Vを√3で割ります。
200 ÷ 1.73 = 約115.6V
手順3:オームの法則で電流を出す
電流 = 電圧 ÷ 抵抗 なので、
115.6V ÷ 10Ω = 約11.56A
手順4:選択肢のいちばん近い値を選ぶ
11.56 → 11.6A
よって答えはロ.11.6Aです。
なぜ?なぜ「電線に流れる電流」=「抵抗に流れる電流」でよいのか?
Y結線では、電線と抵抗が一直線につながっているからです。図をたどると、電源の端子 → 電線 → 10Ωの抵抗 → 中性点と枝分かれなしの1本道になっています。1本道なら、どこを測っても電流は同じです。
なぜ?なぜΔ結線だとそうならないのか?
Δ結線では、電線が来た点で2つの抵抗に枝分かれするからです。道が2つに分かれるので、電線を流れる電流と、抵抗1個を流れる電流はちがう値になります(電線側が√3倍大きい)。Y結線は電流がそのまま、Δ結線は電圧がそのまま——この対比で覚えると混乱しません。
公式を覚えていなくても、次のように考えれば同じ答えが出ます。
電線2本ぶんで見ると … 200Vが、10Ω+10Ω=20Ωにかかっているように見えます。単純に割ると200÷20=10A。
しかしこれは間違い … 2個の抵抗にかかる電圧の波は、タイミングがずれているので、単純に足して20Ωにはできません。ずれを考えると実質は20Ωではなく約17.3Ω(=10×1.73)として働きます。
だから … 200 ÷ 17.3 = 約11.6A。同じ答えになりました。
「単純に足すと10A、正しくは11.6A」——ずれのぶん、少しだけ電流が増えると覚えておくと、答えの見当がつけやすくなります。
ニ(20.0A)は、三相であることを見落とした人の答えです。200V ÷ 10Ω = 20A。単相だと思って、そのままオームの法則を当てた形です。図の「3φ3W」を必ず読む——これだけで防げます。
ハ(14.3A)は誤りです。Δ結線とみなすと抵抗1個の電流は200÷10=20A、線電流は20×1.73≒34.6Aとなり、14.3Aにはなりません。まず図の形(星か三角か)を確定させてから式を選ぶのが鉄則です。
イ(8.3A)は誤りです。なお√3で2回割ると200 ÷ 1.73 ÷ 1.73 ÷ 10 = 約6.7Aとなり、8.3Aにもなりません。√3を使うのは1回だけ。「電圧で1回使ったら、電流ではもう使わない」と決めておいてください。
覚えるこの問題の覚え方
「星(Y)は電圧が割られる、三角(Δ)は電流が増える」。どちらも使う数字は√3=1.73だけです。Y結線なら200 ÷ 1.73 = 115.6V——この「200Vの三相なら、Y結線の1個には約115V」という数字は丸ごと覚えてしまってもよいくらい、三相の計算でよく使う値です。
👉 この分野をもっとくわしく【第二種電気工事士】力率と三相交流|√3が出る場所を知識ゼロから【第4回】問6
図のような単相2線式回路において,d-d′間の電圧が100Vのときa-a′間の電圧[V]は。ただし,r₁,r₂及びr₃は電線の電気抵抗[Ω]とする。

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「いちばん遠いところ(d-d′)で100Vになっている。では、いちばん手前(電源に近いa-a′)では何Vを送り出しているのか」を聞いています。
ポイントは「電線にも抵抗があるので、進むほど電圧が減っていく」という一点だけです。減っていったぶんを、逆に足し戻して手前の電圧を求める——それだけの問題です。式はオームの法則1本しか使いません。
用語電圧降下(でんあつこうか)とは?
電線を通っていくあいだに、電圧が目減りしてしまうことです。電線にも抵抗(問2でやりました)があるので、そこを電流が通ると、その分だけ電圧が食われます。電圧降下 = 電流 × 電線の抵抗で計算します。
なぜ?なぜ電線を通ると電圧が減るのか?
電線の抵抗が、小さな電熱器のように電気を消費してしまうからです。水道でいえば、長いホースを通ってくるあいだに水圧が落ちるのと同じです。蛇口では強かった水も、細くて長いホースの先ではチョロチョロになります。電気もまったく同じことが起きています。
なぜ?なぜ電圧降下を小さく抑えなければならないのか?
機器がきちんと働かなくなるからです。100V用の機器に90Vしか届かなければ、照明は暗くなり、モーターは力が出ず、無理に動かそうとして電流が増えてさらに発熱します。内線規程(電気工事の細かな決まりをまとめた民間の規格)では「幹線と分岐回路それぞれで、標準電圧の2%以下」という目安が定められています。
なぜ?なぜ電圧降下を減らすには「太い電線」なのか?
太い電線ほど抵抗が小さいからです(問2でやった通り)。電圧降下=電流×抵抗なので、抵抗を半分にすれば、電圧降下も半分になります。「遠くまで配るときは、電線を1サイズ太くする」というのは実務でごく普通に行われている対策です。
この問題の第1関門は「電線の区間ごとに、流れる電流がちがう」ことに気づくことです。
図を見ると、b・c・d の3か所から、下に向かって抵抗負荷がぶら下がっています。そしてそれぞれに流れる電流が書いてあります。
例b点の負荷 … 10A
c点の負荷 … 5A
d点の負荷 … 5A
なぜ?なぜ区間ごとに流れる電流がちがうのか?
負荷にぶら下がるたびに、電流がそこで抜けていくからです。電源から出た電気は、b点で10A抜け、c点で5A抜け、d点で5A抜けます。つまり電源に近い区間ほど、まだ抜けていない電流がたくさん残っているので、電流が大きくなります。
なぜ?なぜこれを間違えると答えが合わないのか?
電圧降下は「その区間を流れる電流」で決まるからです。区間ごとに電流がちがう以上、区間ごとに電圧降下を計算しなければなりません。全部の区間に同じ電流が流れていると思い込むと、答えは必ずずれます。
例区間ごとの電流(電源に近いほうから)
a-b区間(r₁) … この先にはb・c・dの負荷が全部ある → 10 + 5 + 5 = 20A
b-c区間(r₂) … bの負荷(10A)はもう抜けた。残りはc・d → 5 + 5 = 10A
c-d区間(r₃) … c の負荷(5A)も抜けた。残りはdだけ → 5A
この問題で特につまずきやすいのがここです。
なぜ?なぜ電圧降下を2倍しなければならないのか?
電線が上下に2本あるからです。図をよく見てください。上の線(a-b-c-d)にr₁・r₂・r₃があり、下の線(a′-b′-c′-d′)にも同じr₁・r₂・r₃があります。電気は行って帰ってくるので、行きの線でも帰りの線でも、同じだけ電圧を食われます。だから1区間の電圧降下 = 2 × 電流 × 抵抗となるのです。
なぜ?なぜ電気は「行って帰る」必要があるのか?
電気は、輪(わ)になっていないと流れないからです。水が高いところから低いところへ流れて終わりなのに対し、電気は必ず電源に戻ってこなければ、そもそも流れません。ですから配線は必ず2本1組(行きと帰り)になっており、どちらの線にも同じ電流が流れます。単相2線式(1φ2W)という名前の「2線」は、まさにこの2本のことです。
いちばん遠いd-d′(100V)から出発して、電源に向かって足し戻していきます。
コツ手順1:c-c′間の電圧を出す
c-d区間(r₃=0.1Ω)に流れる電流は5A。上下2本あるので、
電圧降下 = 2 × 5A × 0.1Ω = 1V
c-c′間 = 100 + 1 = 101V
手順2:b-b′間の電圧を出す
b-c区間(r₂=0.1Ω)に流れる電流は10A。
電圧降下 = 2 × 10A × 0.1Ω = 2V
b-b′間 = 101 + 2 = 103V
手順3:a-a′間の電圧を出す
a-b区間(r₁=0.05Ω)に流れる電流は20A。
電圧降下 = 2 × 20A × 0.05Ω = 2V
a-a′間 = 103 + 2 = 105V
よって答えはニ.105Vです。
なぜ?なぜ「足す」のであって「引く」のではないのか?
電源に近づく方向へ戻っているからです。電圧は電源から遠ざかるほど下がるので、逆に電源へ近づけば、その分だけ高かったことになります。d(100V)→ c(101V)→ b(103V)→ a(105V)とだんだん高くなっていくのが正しい姿です。
なぜ?なぜ答えが100Vより小さくなったら間違いだと分かるのか?
電源のほうが必ず電圧が高いからです。いちばん遠い場所が100Vなら、手前は必ず100Vより上。この感覚があれば、計算の途中で引き算をしてしまったミスに、すぐ気づけます。
ロ(103V)は誤りです。なお「2本ぶん」を忘れて1本ぶんだけで計算すると、0.5 + 1 + 1 = 2.5V となり、100 + 2.5 = 102.5Vで、どの選択肢とも一致しません。単相2線式の電圧降下は必ず2倍——ここは絶対に忘れないでください。
イ(102V)も誤りです。選択肢が102・103・104・105と1Vきざみで並んでいるので、1つでも手順を飛ばすと外れやすくなります。
ハ(104V)は、a-b区間の電流を20Aではなく別の値にしてしまった人の答えです。「その区間から先にある負荷を全部足す」という数え方を、d側から順にやると間違えにくくなります。
覚えるこの問題の覚え方
「遠いところから、電源へ向かって足し戻す。1区間ぶんは2×I×r」。手順はいつも同じで、①区間ごとの電流を数える → ②2×I×r で降下を出す → ③遠いほうから順に足す。単相2線式は2倍、単相3線式は1倍(次の問7)——この違いだけ、はっきり区別しておいてください。
👉 この分野をもっとくわしく【第二種電気工事士】電圧降下|2・1・√3の使い分けを知識ゼロから【第6回】問7
図のような単相3線式回路で,電線1線当たりの抵抗がr[Ω],負荷電流がI[A],中性線に流れる電流が0Aのとき,電圧降下(Vs-Vr)[V]を示す式は。

答え・解説を見る
「単相3線式で、上下の負荷が同じ大きさのとき、電圧はどれだけ目減りするか。その式はどれか」を聞いています。
数字を計算するのではなく、式の形を選ぶ問題です。「電線が何本ぶん効いているか」さえ数えられれば、それが答えの係数(2か3か1か)になります。
用語単相3線式(たんそう3せんしき)とは?
電線が3本来ている配線方式で、いまの住宅でいちばん多く使われています。図では「1φ3W」と書かれています。3本の内訳は上の電圧線・まん中の中性線・下の電圧線です。
なぜ?なぜ3本にするのか?
100Vと200Vの両方が使えるようになるからです。電圧線と中性線のあいだ=100V(照明・コンセント用)、電圧線どうしのあいだ=200V(エアコン・IHクッキングヒーター用)。1つの引き込みで2種類の電圧がまかなえるので、大きな電気を使う機器が増えた現代の住宅に向いています。
用語中性線(ちゅうせいせん)とは?
3本のまん中の線で、大地とつながっていて電圧がほぼ0Vの線です。電気工事では白色の電線を使うと決まっており、接地側電線(せっちがわでんせん)とも呼ばれます。
なぜ?なぜ中性線には電圧がないのか?
わざと大地とつないで0Vに固定してあるからです。こうしておくと、電線が建物の鉄骨などに触れても異常に高い電圧が出にくく、漏電したときにも電気が地面へ逃げるので、漏電遮断器が異常に気づけます。安全のための、いわば電気の「基準の高さ0m」です。
この問題のカギは、この一文にあります。
用語中性線の電流が0Aになるのはどんなときか?
上側の負荷と下側の負荷が、まったく同じ大きさのときです。これを平衡(へいこう)しているといいます。図でも、上の負荷にI[A]、下の負荷にもI[A]と同じ文字が書かれています。
なぜ?なぜ上下が同じだと中性線に電流が流れないのか?
上の負荷から戻ってくる電流と、下の負荷へ行く電流が、ちょうど打ち消し合うからです。中性線から見ると「上から戻ってきた電気が、そのまま下へ出ていく」ので、中性線そのものを通る必要がなくなります。シーソーの左右に同じ重さの人が乗ると、支点には力の差が出ないのと同じイメージです。
なぜ?なぜ「中性線が0A」だと電圧降下の計算が楽になるのか?
中性線での電圧降下がゼロになるからです。電圧降下は電流 × 抵抗で決まります。電流が0なら、抵抗がいくらあっても降下は0Vです。つまり中性線は「ないもの」として無視できます。
なぜ?なぜ実務では平衡させることが大切なのか?
電圧降下が減り、電線も細くてすむからです。上下のバランスが崩れると、中性線にも電流が流れ、そのぶん余計に電圧が下がります。ですから分電盤では各回路を上下均等に振り分けるのが基本です。
電圧降下の考え方は、問6とまったく同じです。電気が通った電線1本ごとに、電流×抵抗ぶん電圧が食われます。あとはVs から Vr までの道のりに、抵抗が何個入っているかを数えるだけです。
Vs(電源側)から Vr(負荷側)までの道すじをたどる
電源の上の端子 → 上の電線(r[Ω]・電流I) → 負荷 → 中性線に戻る、という順。
通った抵抗を数える
上の電線のr が1個(電流I が流れている)
中性線のr が1個(ただし電流は0A)
それぞれの電圧降下を出す
上の電線 … I × r = rI
中性線 … 0 × r = 0V
合計する
rI + 0 = rI
よって答えはハ.rIです。
なぜ?なぜ単相2線式(問6)は2倍で、単相3線式は1倍なのか?
「電流が流れている電線」が何本あるかがちがうからです。単相2線式は行きと帰りの2本ともに電流が流れるので2 × I × r。
単相3線式(平衡時)は、帰り道である中性線に電流が流れていないので、実質1本ぶんだけ=I × rになります。
なぜ?なぜこれが単相3線式のいちばんの利点なのか?
同じ電線・同じ負荷でも、電圧降下が半分になるからです。電圧降下が半分になれば、その分だけ細い電線でも足りることになり、材料費も工事の手間も減ります。住宅の引き込みが単相3線式に切り替わっていったのは、200Vが使えることに加えて、この効率のよさがあるからです。
この問題は、図の3本の線に何が書いてあるかを読むだけで答えが出ます。
例図から読み取る3つの情報
①「1φ3W」 … 単相3線式である(三相ではない)
②上と下の電線に「I[A]」 … 電圧線には電流Iが流れている。上下で向きの矢印が逆なのは、行きと帰りだから
③まん中の線に「0A」 … 中性線には電流が流れていない → 中性線は計算に入れない
この3つが読めれば、「電流が流れている電線は1本だけ」という結論に10秒でたどりつけます。
イ(2rI)は、特に多い間違いです。問6の単相2線式の感覚を、そのまま持ち込んでしまった形です。「電圧降下といえば2倍」と機械的に覚えている人ほど引っかかります。2倍になるのは、行きと帰りの両方に電流が流れているときだけです。
ロ(3rI)は、「3線式だから3倍」と数えてしまった人の答えです。電線の本数と、電流が流れている本数はちがいます。3本あっても、0Aの線は電圧を食いません。
ニ(√3rI)は、三相の公式を持ち込んだ人の答えです。√3が出てくるのは三相(3φ)のときだけで、この問題は単相(1φ)です。図の「1φ3W」を読めば、√3は候補から即座に消せます。
覚えるこの問題の覚え方
「電流が流れている電線の本数=係数」。単相2線式は2本とも流れるから2rI、単相3線式で平衡していれば中性線は0Aだから1本ぶんのrI、三相3線式なら√3rI。本数を数える——これだけで3パターン全部に対応できます。
👉 この分野をもっとくわしく【第二種電気工事士】電圧降下|2・1・√3の使い分けを知識ゼロから【第6回】問8
低圧屋内配線工事に使用する600Vビニル絶縁ビニルシースケーブル丸形(軟銅線),導体の直径2.0mm,3心の許容電流[A]は。ただし,周囲温度は30℃以下,電流減少係数は0.70とする。
答え・解説を見る
「電線が3本まとまって1本のケーブルに入っている。このとき、電線1本あたり何Aまで流してよいか」を聞いています。
やることは2つだけです。①2.0mmの電線が1本だけのときの上限(暗記表)を思い出す → ②問題文で与えられた0.70をかける。覚えていれば10秒、覚えていなければ手が出ない——そういう性格の問題なので、表は必ず覚えてください。
用語許容電流(きょようでんりゅう)とは?
その電線に流してよい電流の上限のことです。「これ以上流すと危ない」という安全のための制限値で、電線の太さごとに決められています。
なぜ?なぜ電流に上限があるのか?
電線が熱を持って、被覆(ひふく)が溶けたり燃えたりするからです。電線には抵抗があるので、電流を流すと必ず発熱します。発熱量は電流の2乗に比例するので、電流が2倍になると発熱は4倍——一気に危険になります。電線を覆っているビニルは60℃までしか耐えられないので、そこを超えないような電流値が決められているのです。
用語600Vビニル絶縁ビニルシースケーブル(VVケーブル)とは?
住宅の屋内配線でいちばん多く使われているケーブルです。電線1本1本をビニルで包み(絶縁)、それらをまとめてもう一度ビニルで包んだ(シース)構造をしています。丸形(VVR)と平形(VVF)の2種類があります。
なぜ?なぜ2重に包んであるのか?
役目がちがうからです。内側の絶縁は「電線どうしが触れて短絡しないため」、外側のシースは「傷や湿気から全体を守るため」。絶縁は電気のため、シースは物理的な保護のためと役割を分けて覚えると混乱しません。
用語心数(しんすう)=「3心」とは?
1本のケーブルの中に、電線が何本入っているかという数です。3心なら、電線が3本入っています。住宅では2心(単相2線式用)と3心(単相3線式用・3路スイッチ用)がよく使われます。
なぜ?なぜ心数が許容電流に関係するのか?
まとめて包むと、熱が逃げにくくなるからです。電線が1本だけなら、発生した熱はそのまま空気へ逃げます。ところが3本を1つの袋に入れると、まん中の電線の熱は逃げ場がありません。そのぶん温度が上がりやすいので、流してよい電流を減らす必要があるのです。
ここは暗記です。試験でも繰り返し使われますので、この表だけは丸暗記してください。
例単線(直径で表す電線)の許容電流 ※周囲温度30℃以下
直径 1.6mm … 27A
直径 2.0mm … 35A ← この問題で使う値
直径 2.6mm … 48A
直径 3.2mm … 62A
例より線(断面積で表す電線)の許容電流 ※周囲温度30℃以下
2mm² … 27A
3.5mm² … 37A
5.5mm² … 49A
8mm² … 61A
14mm² … 88A
コツこの数字を覚えるコツはあるか?
「1.6は27、2.0は35、2.6は48」を「にーなな・さんごー・よんぱち」と口に出して唱えるのがいちばん定着します。とくにこの3つはよく出る数字です。
なぜ?なぜ「単線」と「より線」で表し方がちがうのか?
形がちがうからです。単線は1本の太い針金なので直径(mm)で表せますが、より線は細い線を何十本もねじって束ねたものなので、外から見た直径では中身の量が分かりません。そこで金属の断面積の合計(mm²)で表します。mmと書いてあれば単線、mm²と書いてあればより線——この読み分けができれば、表を引き間違えません。
用語電流減少係数(でんりゅうげんしょうけいすう)とは?
電線をまとめたときに、許容電流を減らすためにかける数字です。1より小さい数で、まとめる本数が多いほど小さくなります。この問題では0.70が与えられています。
なぜ?なぜ本数が増えるほど係数が小さくなるのか?
熱を出すものが増え、しかも逃げ場が減るからです。3本なら3本ぶんの熱が同じ場所で発生します。本数が増えるほど内側は「サウナ状態」になるので、1本あたりに許す電流をどんどん減らしていく必要があります。
例同一管内の電線数と電流減少係数(参考)
3本以下 … 0.70 ← この問題
4本 … 0.63
5〜6本 … 0.56
7〜15本 … 0.49
用語この係数の表も覚える必要があるのか?
試験では、たいてい問題文に書いてあります。この問題も「電流減少係数は0.70とする」とはっきり与えられています。ですから覚えていなくても解けるのです。
なぜ?なぜ与えられているのに間違える人がいるのか?
かけ忘れるからです。2.0mm=35Aまで思い出したところで安心してしまい、そのまま35A(選択肢ニ)を選ぶ——これがこの問題最大の落とし穴です。「係数が書いてある=必ず使う」と覚えてください。
コツ手順1:単線1本のときの許容電流を表から引く
直径2.0mm → 35A
手順2:電流減少係数をかける
35A × 0.70 = 24.5A
手順3:端数を処理する
許容電流は小数点以下第1位を「7捨8入」する決まり。
24.5 は7以下なので切り捨て → 24A
よって答えはロ.24Aです。
用語「7捨8入(しちしゃはちにゅう)」とは?
小数点以下第1位が7以下なら切り捨て、8以上なら切り上げるという独特の丸め方です。四捨五入ではありません。24.5なら、四捨五入では25ですが、7捨8入では24になります。
なぜ?なぜ四捨五入ではなく7捨8入なのか?
安全側(小さめ)に寄せるためです。許容電流は「これ以上流すと危ない」という上限なので、切り上げすぎると危険側に外れます。そこでほとんどの場合は切り捨てるようにしてあるのです。試験では「24.5→24」がそのまま出るので、この1例を覚えておけば十分です。
ニ(35A)は、電流減少係数をかけ忘れた人の答えです。表を正しく引けた人ほど、ここで止まってしまいます。「2.0mm=35A」が出た瞬間に安心せず、問題文に係数が書いてあるかどうかを必ず確認してください。
ハ(33A)は、直径2.6mm(48A)と取り違えたか、別の係数をかけてしまった人の答えです。
イ(19A)は、1.6mm(27A)の表を引いてしまった人の答えに近い値です。27 × 0.70 = 18.9 ≒ 19A。1.6と2.0はよく似ているので、指で押さえて確認するくらい慎重でちょうどよいところです。
覚えるこの問題の覚え方
「にーなな(1.6→27)・さんごー(2.0→35)・よんぱち(2.6→48)、まとめたら係数をかける」。表を引く → 係数をかける → 7捨8入の3手順は毎回同じです。そして「係数が問題文に書いてあるのに使わない答え」は必ず選択肢にある——それが今回の35Aです。
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図のように定格電流40Aの過電流遮断器で保護された低圧屋内幹線から分岐して,10mの位置に過電流遮断器を施設するとき,a-b間の電線の許容電流の最小値[A]は。

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「太い幹線から枝を出して、10m先にブレーカーを付けた。その10mの区間に使う電線は、最低でも何Aまで耐えられるものでなければならないか」を聞いています。
計算そのものは、かけ算1回で終わります。距離を見て、35%か55%かを選ぶ——ここだけの問題です。その「なぜ距離で決まるのか」から説明します。
用語幹線(かんせん)とは?
電気が最初に通る、太い大もとの電線のことです。木に例えると「幹(みき)」にあたります。ここから枝分かれして、各部屋のコンセントや照明へ配られていきます。
なぜ?なぜ幹線は太くなければならないのか?
その先にあるすべての機器の電流が、まとめて流れるからです。枝の先で使う電気は全部この1本を通ってきます。合計が大きくなるので、幹線は必ずいちばん太い電線になります。
用語過電流遮断器(かでんりゅうしゃだんき)とは?
決められた以上の電流が流れたときに、自動で電気を切る装置です。家庭ではブレーカーと呼ばれているものがこれにあたります。図の四角い「B」という記号が、配線用遮断器(はいせんようしゃだんき)を表しています。
なぜ?なぜ電流が大きくなると切らなければならないのか?
電線が燃えるのを防ぐためです。問8でやったとおり、電線には流してよい電流の上限があります。それを超えたまま放置すると電線が熱を持って火災になります。過電流遮断器は「電線を守る見張り役」です。機器を守るためではなく、電線を守るために付いている——ここは試験でも大切な考え方です。
この問題の核心です。分岐したところから、次のブレーカーまでの距離によって、その区間の電線に求められる太さが変わります。
なぜ?なぜ分岐した直後の区間が「守られていない」のか?
その区間には、まだ自分専用のブレーカーが付いていないからです。分岐点からブレーカーまでのあいだで事故が起きても、そこを見張っているのは、上流にある40Aのブレーカーだけです。つまりこの区間の電線は、最悪40A近くが流れても切れてもらえない可能性があるということになります。
ではなぜ「短ければ細くてよい」のか?
短いほど、事故が起きる可能性が低いからです。露出している距離が短ければ、傷つけたり、ものがぶつかったりする機会も少ない。そこで「3m以下なら細くてよい、長くなるほど太くしなさい」という段階的な決まりになっているのです。
例分岐回路の電線の許容電流(絶対に覚える3段階)
分岐点から3m以下 … 制限なし(その先の負荷に見合った太さでよい)
3mを超えて8m以下 … 幹線を保護する遮断器の定格電流の35%以上
8mを超える … 幹線を保護する遮断器の定格電流の55%以上 ← この問題(10m)はここ
用語この「3m・8m・35%・55%」はどう覚えるか?
「さんぱち(3・8)、さんごー・ごーごー(35・55)」と音でつなげて覚えるのが定番です。距離のほうが3と8、割合のほうが35と55。数字の並びが「3」から始まって「5」で終わると気づくと、取り違えにくくなります。
なぜ?なぜ8mを超えると55%なのか?
長くなるほど、上流のブレーカーだけでは守りきれなくなるからです。細い電線を長い距離むき出しにするほど危険が増えるので、その分だけ電線を太くして、自力で耐えられるようにしなさいという考え方です。距離が長い=要求が厳しい=%が大きい、と向きで覚えておけば、35と55を逆にすることはありません。
幹線を保護しているブレーカー … 図の左上、「40A」と書かれたB。これが基準になる値。
分岐点 … 幹線から下へ枝が出ている黒丸の点(a)。
分岐した先のブレーカー … 下にあるB。位置はb。
a-b間の距離 … 図の矢印に「10m」と書かれている。 → 8mを超えているので、55%の区分。
コツ手順1:どの区分かを決める
距離は10m。8mを超えている → 55%
手順2:幹線のブレーカーの定格電流を確認する
図より40A
手順3:かけ算する
40A × 0.55 = 22A
よって答えはニ.22Aです。
なぜ?なぜ「最小値」と聞かれているのか?
これ以上であればいくら太くてもよいからです。決まりは「55%以上」なので、22Aちょうどでもよいし、30Aでも50Aでもかまいません。問題は「これを下回ってはいけないギリギリの値」を聞いているので、ちょうど55%の値がそのまま答えになります。
なぜ?なぜ「以下」ではなく「以上」なのか?
許容電流は「耐えられる力」だからです。強いぶんには安全で、弱すぎると危険。ですから決まりは必ず「〜A以上のものを使いなさい」という形になります。不等号の向きに迷ったら「安全側はどっちか」を考えると必ず正しい向きが選べます。
ロ(14A)は、35%を使ってしまった人の答えです。40 × 0.35 = 14A。「3mを超えているから35%」と、最初の段階でとまってしまうとこうなります。8mという2つ目の区切りまで必ず確認してください。10mは、3mも8mも超えています。
ハ(18A)は、割合をあいまいに覚えていた人に多い答えです(40 × 0.45 = 18A)。「だいたい半分弱かな」という感覚で選ぶと、この付近を選んでしまいます。%は正確に覚えるしかありません。
イ(10A)は、「10m」という距離の数字を、そのまま答えにしてしまった人の答えです。単位がちがう数字(mとA)を取り違えるのは、焦っているときに実際に起こるミスです。答えの単位が[A]であることを、解く前に確認する習慣をつけてください。
覚えるこの問題の覚え方
「3m以下は自由、8mまでは35%、それより先は55%」。距離を見る → %を選ぶ → 幹線のブレーカーの定格にかける。この3手順だけです。数字は「さんぱち・さんごーごーごー」と音で覚えてしまうのがいちばん早く、本番でも思い出しやすくなります。
👉 この分野をもっとくわしく【第二種電気工事士】電線とケーブルの種類・許容電流をゼロから解説問10
低圧屋内配線の分岐回路の設計で,配線用遮断器,分岐回路の電線の太さ及びコンセントの組合せとして,適切なものは。ただし,分岐点から配線用遮断器までは3m,配線用遮断器からコンセントまでは8mとし,電線の数値は分岐回路の電線(軟銅線)の太さを示す。また,コンセントは兼用コンセントではないものとする。

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「ブレーカーの大きさ・電線の太さ・コンセントの大きさ、この3点セットの組合せとして正しいのはどれか」を聞いています。
この3つには、決められた組合せ表があります。表を覚えていれば、4つを順に照らし合わせるだけで答えが出ます。例年のように出題されている、点の取りどころです。
用語配線用遮断器(はいせんようしゃだんき)とは?
決められた以上の電流が流れたときに、自動で回路を切るスイッチです。図では四角の中に「B」と書かれ、横に20A・30Aなどの定格電流が書かれています。一般にはブレーカーと呼ばれています。
なぜ?なぜ配線用遮断器の大きさが「基準」になるのか?
この回路に何Aまで流れうるかを決めているのが、この装置だからです。20Aのブレーカーなら、20Aを超えたところで切れます。ということは電線もコンセントも、20Aまでは耐えられなければならない。つまりブレーカーの値がすべての基準になるのです。
用語分岐回路の電線の太さとは?
ブレーカーから、コンセントや照明までを結ぶ電線の太さです。2.0mmのようにmmで書いてあれば単線(1本の針金)、5.5mm²のようにmm²で書いてあればより線(細い線の束)です。
なぜ?なぜブレーカーが大きいほど、電線も太くなければならないのか?
ブレーカーが切れる前に、電線が燃えてしまってはいけないからです。30Aのブレーカーに、20Aしか流せない電線をつないだら、25A流れても、ブレーカーは「まだ30A以下だ」と判断して切りません。そのあいだ電線はずっと過熱し続けます。ブレーカーは電線を守るために付いているので、電線のほうが先に負けてはいけないのです。
用語コンセントの定格電流とは?
そのコンセントに差して使ってよい電流の上限です。一般家庭用コンセントは15Aのものがほとんどで、エアコンや電子レンジ用には20A、大きな機器には30Aのものが使われます。定格が大きいほど、差込口の形もちがいます。
なぜ?なぜコンセントが大きすぎてもいけないのか?
使う人が「大きな電流を使ってよい」と誤解するからです。20Aのブレーカーの回路に、30A用のコンセントを付けたら、利用者は30Aの機器を安心して差してしまいます。するとブレーカーがすぐ切れて使えないだけでなく、「使えるはずのものが使えない」危険な思い込みを生みます。コンセントの形と大きさは、そこで使ってよい電気の“看板”なのです。
この表を覚えるかどうかで、この1問が取れるか落とすかが決まります。
例分岐回路の組合せ(配線用遮断器の定格ごと)
20A … 電線1.6mm以上 / コンセント20A以下
30A … 電線2.6mm以上(またはより線5.5mm²以上) / コンセント20A以上30A以下
40A … 電線8mm²以上 / コンセント30A以上40A以下
50A … 電線14mm²以上 / コンセント40A以上50A以下
用語コンセントの欄が「〜以下」ではなく「〜以上〜以下」になっているのはなぜか?
30A以上の回路では、小さすぎるコンセントも認められていないからです。30Aのブレーカーに15Aのコンセントを付けると、15Aのコンセントに20A以上の電流が流れてもブレーカーは切れません(まだ30A以下だから)。その結果コンセントが焼けることになります。
なぜ?なぜ20Aの回路だけは「20A以下」でよいのか?
15Aのコンセントなら、20Aで切れるブレーカーでもほぼ守れる範囲だからです。住宅の一般回路は20Aブレーカー+15Aコンセントが標準的な組合せで、実際に広く使われています。20Aの行だけは「以下」——ここは例外として覚えてください。
覚える「兼用コンセントではない」という条件は何を意味するのか?
15Aと20Aの両方の差込みが使える兼用タイプは除く、という念押しです。兼用コンセントは15A用のプラグも20A用のプラグも差せるため、定格の扱いが少しややこしくなります。この問題ではそういう例外を考えなくてよいと言ってくれているのです。
なぜ?なぜ「分岐点から3m」「遮断器から8m」と書いてあるのか?
問9でやった距離の制限を、すべてクリアしていることを示すためです。分岐点から遮断器まで3mは「3m以下」なので制限なし。遮断器からコンセントまでの8mは、すでに遮断器で守られている区間なので長さの制限はありません。つまりこの条件文は「距離のことは考えなくてよい」という意味で、組合せ表だけで判断してよいと教えてくれています。
例イ B30A/電線2.0mm/30Aコンセント1個 … 30Aの回路に必要な電線は2.6mm以上。2.0mmは細すぎる。コンセント(30A)は範囲内だが、電線でアウト。 → 不適切
ロ B20A/電線1.6mm/30Aコンセント2個 … 電線1.6mmは20A回路の条件(1.6mm以上)を満たすが、コンセントは20A以下でなければならない。30Aは大きすぎる。 → 不適切
ハ B30A/電線5.5mm²/15Aコンセント2個 … 電線5.5mm²は30A回路の条件を満たす。しかしコンセントは20A以上30A以下が必要で、15Aは小さすぎる。 → 不適切
ニ B20A/電線2.0mm/20Aコンセント1個 … 電線2.0mmは1.6mm以上を満たす。コンセント20Aは20A以下を満たす。 → 適切
よって答えはニです。
用語選択肢ニの電線は2.0mmだが、1.6mmでもよいのか?
1.6mmでも決まりは満たします。条件は「1.6mm以上」なので、2.0mmはむしろ余裕のある、より安全な選び方です。太いぶんには問題ありません。
なぜ?なぜ「以上」なら太くてもよいのか?
太い電線ほど許容電流が大きく、より安全だからです(問8でやった通り)。決まりは「これを下回るな」という下限を示しているだけです。上限があるのはコンセントのほう——電線は太くてよい、コンセントは大きすぎても小さすぎてもいけないと区別して覚えてください。
ハ(B30A・5.5mm²・15Aコンセント2個)は、選んでしまいやすい誤答です。電線がしっかり太いので、「安全側だから問題ないだろう」と考えてしまうためです。しかしコンセントには「小さすぎてもいけない」という下限がある——ここが見落とされます。30A回路のコンセントは20A以上です。
イ(B30A・2.0mm・30Aコンセント1個)は、コンセントの欄だけ見て正解と判断した人の答えです。30Aのブレーカーに30Aのコンセント——見た目は自然ですが、電線が2.0mmでは細すぎます。3つのうち1つでも条件を外したらアウトなので、必ず3か所とも確認してください。
ロ(B20A・1.6mm・30Aコンセント2個)は、電線が条件を満たしていることに安心してしまった人の答えです。20Aのブレーカーに30Aのコンセントは、決してやってはいけない組合せといえます。使う人が30Aの機器を差してしまうおそれがあるからです。
覚えるこの問題の覚え方
「20A=1.6mm・コンセント20A以下/30A=2.6mm(5.5mm²)・コンセント20〜30A」。この2行で、多くの出題に対応できます。そしてチェックは必ず3か所——ブレーカー・電線・コンセント。2か所合っていても、残り1か所が外れていれば不適切。「安全側だから大丈夫」は通用しないと覚えておいてください。
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この記事のまとめ
問1〜10で使った考え方を、1問1行でふり返ります。解き終わったあとにここだけ読み返すと、記憶に残りやすくなります。
まとめこの10問で必ず持ち帰ること
問1 合成抵抗 … 黒丸でつながった点を「1つの駅」とみなして左右に切る。直列は足す/並列は必ず小さくなる(同じ値なら個数で割る、2個なら積÷和)
問2 電線の抵抗 … 長さは1乗、直径は2乗。直径2倍なら断面積4倍で抵抗は4分の1。倍率だけならρは消える
問3 電力量 … W・hを見たら、まず時間で割ってWにする。1時間30分は1.5時間(1.30時間ではない)。そのあと電力÷電流=電圧
問4 力率 … 単相の消費電力=電圧×電流×力率。力率は1より小さいので答えは必ず減る。かけ忘れの3.0kWが罠
問5 三相Y結線 … 星(Y)は電圧を√3で割る。200÷1.73=115.6V、それを10Ωで割って11.6A。電流はそのまま線を流れる
問6 単相2線式の電圧降下 … 1区間ぶん=2×I×r(行きと帰りで2本)。区間ごとに電流が変わるので、遠いほうから順に足し戻す
問7 単相3線式の電圧降下 … 中性線が0Aなら、電線1本ぶんのrIだけ。「電流が流れている電線の本数=係数」で数える
問8 許容電流 … 1.6mm=27A/2.0mm=35A/2.6mm=48A。まとめたら電流減少係数をかけ、小数点以下第1位を7捨8入
問9 幹線からの分岐 … 3m以下は自由/8mまで35%/それより先は55%。10mなので40×0.55=22A
問10 分岐回路の組合せ … 20A=1.6mm以上・コンセント20A以下/30A=2.6mm以上・コンセント20〜30A。3か所すべて確認する
10問を通して見ると、本当に必要だった式はオームの法則(電圧=電流×抵抗)と電力(電圧×電流)の2本だけでした。問5の√3も、問6・問7の電圧降下も、結局はこの2本を「何本ぶん」「何倍で」使うかという話です。
残りの問8・問9・問10は主に暗記で解ける問題です。許容電流の表(27・35・48)、距離の区分(3m・8m・35%・55%)、分岐回路の組合せ(20A=1.6mm、30A=2.6mm)——この3つを覚えておけば3問とも得点しやすくなります。計算が苦手な人ほど、まずここから手をつけてください。
出典
令和5年度上期第二種電気工事士試験(午後)
問題・図・写真・解答は一般財団法人 電気技術者試験センターが公表しているものです。
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