第二種電気工事士の学科試験を、電気の知識がまったくない人でも読み進められるように1問ずつ解説します。このページは令和5年度 下期・午前(2023年10月29日実施)の問1〜10です。
問1〜問10は計算問題と配線設計がまとまって出てくるところです。式が並ぶと身構えてしまいがちですが、土台になる式は「電圧=電流×抵抗」と「電力=電圧×電流」の2本です。この記事では、その式がなぜ成り立つのか、図のどこを見て、どの順番に数字を入れるのかを1段ずつ書いていきます。各問題の下の「答え・解説を見る」を開くと、答えと考え方が表示される仕組みです。まず自分で考えてから開くのがおすすめです。
この記事の問題はどこから?
問題文・図・写真・解答は、試験を実施している一般財団法人 電気技術者試験センターが公表しているものです。
出典:令和5年度下期第二種電気工事士試験(午前)
問1
分野:電気の基礎(直流回路の電圧)重要度 ★★★
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この問題は何を聞いているの?
図の左に100Vの電池が2個、右に20Ωと30Ωの抵抗があります。真ん中の「a」と「b」は、何もつながっていない2つの出口です。このaとbのあいだに何ボルトの差があるかを聞いています。まずは出てくる言葉を1つずつ確認しましょう。
用語直流(ちょくりゅう)とは?
電気がいつも同じ向きに流れる電気のことです。乾電池やスマホのバッテリーの電気が直流です。図の中の長い線と短い線が並んだ記号が電池で、長い線の側が+(プラス)を表します。
なぜ?なぜ「直流」とわざわざ書いてあるのか?
電気には、向きがずっと同じ直流と、向きが行ったり来たりする交流の2種類があるからです。直流なら、オームの法則(電圧=電流×抵抗)をそのまま使って計算できます。問題文の「直流回路」は、「素直な足し算・かけ算で解けますよ」という合図と考えてよいでしょう。
用語電圧[V]とは?
電気を押し出す力の強さのことです。単位はV(ボルト)。水道に例えると水圧、あるいは水を流す「高さの差」にあたります。
なぜ?なぜ電圧を「高さの差」に例えるのか?
水は高い所から低い所へ流れ、高さの差が大きいほど勢いよく流れます。電気も同じで、電圧の差があるところにだけ電流が流れるのです。「a−b間の電圧」は、aの高さとbの高さの差だと読みかえると、この問題がぐっと分かりやすくなります。
用語抵抗[Ω]とは?
電気の流れにくさのことです。単位はΩ(オーム)。図の細長い長方形が抵抗で、上に20Ω、下に30Ωがあります。
なぜ?なぜ抵抗に電流が流れると電圧が下がるのか?
抵抗は坂道を下る水車のようなものだからです。水が水車を回すと、そのぶん水は低い所へ下りていきます。電気も同じで、抵抗を通るたびに「電流×抵抗」ぶんだけ電圧が下がるのです。この下がりを電圧降下(でんあつこうか)と呼びます。
用語接地(せっち)の記号とは?
図の左にある横線が3本、下へだんだん短くなる記号が接地(アース)です。大地(地面)につながっている点を表し、ここを0V(高さの基準)として考えます。
なぜ?なぜ地面につながった点を0Vと決めるのか?
高さを測るときに「海面を0m」と決めるのと同じで、電圧にも基準点が必要だからです。地面はどこでもほぼ同じ高さなので、基準にちょうどよいのです。この問題では、2つの電池のあいだの点が地面につながっているので、そこが0Vになります。
aとbのあいだには電流が流れない
aとbは、小さな丸(端子)が向かい合っているだけで、線でつながっていません。つながっていない所には電流は流れず、電気は電池→20Ω→30Ω→電池という1周の道だけを回ります。
なぜ?なぜつながっていない所には電流が流れないのか?
電気はぐるっと1周して電池に戻れる道がないと流れないからです。aとbのあいだは道が途切れた状態(開放)なので、ここを通る電流は0Aです。つまりaとbは「電圧の高さを見るための目印」にすぎません。
2つの電池は足し算で200V
上の電池も下の電池も、同じ向き(長い線が上)に並んでいます。同じ向きに縦に積んだ電池は、押す力が足し算になるので、100+100=200Vです。
なぜ?なぜ同じ向きに並べると足し算になるのか?
階段を2段上るのと同じだからです。1段目で100V持ち上げ、2段目でさらに100V持ち上げれば、下から上までの高さの差は200Vになります。懐中電灯に乾電池を縦に2本入れるのも、この足し算を利用したものです。
電流を求めて、bの高さを出す
1周の道にある抵抗は20Ωと30Ωの2つで、1本道(直列)なので足し算して50Ωです。あとはオームの法則(電流=電圧÷抵抗)で電流を求め、bが地面(0V)からどれだけ高いかを調べます。
用語オームの法則とは?
電圧=電流×抵抗(V=I×R)という関係のことです。形を変えると電流=電圧÷抵抗、抵抗=電圧÷電流になります。
なぜ?なぜ3つの形を使い分けられるのか?
3つの量のうち2つが分かれば、残り1つが決まる関係だからです。例えば電圧200V・抵抗50Ωなら、電流は200÷50=4Aと1回のわり算で出せます。
手順1 aとbのあいだは何もつながっていないので、a−b間に電流は流れない。電気は電池→20Ω→30Ω→電池の1周だけを回る。
手順2 電池2個は同じ向きなので、押す力の合計 = 100 + 100 = 200V
手順3 抵抗は1本道なので足し算 = 20 + 30 = 50Ω
手順4 流れる電流 = 電圧 ÷ 抵抗 = 200 ÷ 50 = 4A
手順5 高さの基準:2つの電池のあいだは接地されているので0V。aもこの点と線でつながっているのでa=0V
手順6 上の電池の+側は0Vから100V持ち上がって+100V。そこから20Ωで 4 × 20 = 80V下がるので、b = 100 − 80 = +20V
手順7 a−b間の電圧 = 20 − 0 = 20V
よって答えはロの20Vです。
コツ下側から計算しても同じ20Vになる
下の電池の-側は、0Vから100V下がった-100Vです。そこから30Ωを下から上へ通ると、30Ωの電圧降下 4 × 30 = 120V のぶんだけ高さが上がり、-100 + 120 = +20V。上から求めた値とぴったり一致しました。2通りで同じ答えになれば、計算ミスはまずないと確かめられます。
覚えるこの問題の覚え方
「つながっていない所は電流0」「地面につながった点が0V」の2つを押さえれば、あとは1周の電流を出して電圧を坂道のように上り下りするだけです。電圧は高さ、抵抗は下り坂とイメージすると、どこから数えても迷いにくくなります。
注意まちがえた人が選びやすい選択肢
ニ.40 … 電池を1個(100V)だけで考え、100Vを20Ωと30Ωで分けたときの20Ω側の電圧(100 × 20 ÷ 50 = 40V)を答えにすると、この数字になります。電池は2個で200V、そして聞かれているのはaとbの高さの差です。
イ.10 / ハ.30 … どちらも誤りです。aは接地点と同じ0Vという手がかりを使えば、bの高さ(+20V)との差として20Vが出ます。
👉 この分野をもっとくわしく【第二種電気工事士】オームの法則と直列・並列をゼロから解説
問2
分野:電気の基礎(電線の抵抗)重要度 ★★★
A,B 2 本の同材質の銅線がある。A は直径1.6 mm,長さ20 m,B は直径3.2 mm,長さ40 m である。A の抵抗はB の抵抗の何倍か。
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この問題は何を聞いているの?
材料が同じ銅線AとBがあり、ちがうのは太さ(直径)と長さだけです。このときAの抵抗はBの抵抗の何倍かを聞いています。抵抗の値そのものを出す必要はなく、「何倍か」という比べ方だけで答えが出る問題です。
用語抵抗とは?
電気の流れにくさのことです。単位はΩ(オーム)で、数字が大きいほど電気が流れにくいことを表します。
なぜ?なぜ同じ銅線でも抵抗がちがうのか?
抵抗は材料だけでなく、電線の長さと太さでも変わるからです。同じ銅でも、長くて細い電線は流れにくく、短くて太い電線は流れやすくなります。
用語「同材質」とは?
同じ材料でできているという意味です。材料そのものの電気の通しにくさを抵抗率(ていこうりつ)といい、同材質なら抵抗率はAもBも同じです。
なぜ?なぜ「同材質」と書いてあるのか?
材料がちがうと、もともとの通しにくさ(抵抗率)が変わってしまい、長さと太さだけでは比べられなくなるからです。この一言で、「長さと太さのちがいだけ見ればよい」と決まります。
電線の抵抗は「長さに比例、断面積に反比例」
電線の抵抗は抵抗=抵抗率×長さ÷断面積で決まります。長さが2倍なら抵抗も2倍、断面積が2倍なら抵抗は半分です。
用語断面積(だんめんせき)とは?
電線を輪切りにしたときの切り口の面積のことです。切り口は円なので、断面積=円周率×半径×半径で求めます。
なぜ?なぜ長いと抵抗が大きく、太いと小さくなるのか?
水道のホースで考えると分かりやすいでしょう。ホースが長いほど水は通りにくく、太いほどたくさん流れます。電気も同じで、道が長いと邪魔が増え、道が広いと邪魔が減るのです。
直径が2倍になると、断面積は4倍
Bの直径3.2mmは、Aの直径1.6mmのちょうど2倍です。ここで注意したいのは、直径が2倍でも断面積は2倍ではなく4倍になることです。
なぜ?なぜ直径が2倍だと断面積は4倍になるのか?
面積はたて×よこのように、長さを2回かけて作るものだからです。半径が2倍になると、2倍×2倍=4倍。例えば半径1cmの円の面積は約3.14cm²、半径2cmの円は約12.56cm²で、ちょうど4倍になります。
つまりBは、Aに比べて長さが2倍(抵抗2倍)、断面積が4倍(抵抗4分の1)です。この2つを組み合わせます。
手順1 長さを比べる → Bは40m、Aは20mなので、Bは2倍の長さ。長さだけ見ると、Bの抵抗はAの2倍
手順2 直径を比べる → Bは3.2mm、Aは1.6mmなので、Bは2倍の直径
手順3 断面積を比べる → 直径2倍なので、断面積は 2 × 2 = 4倍。太さだけ見ると、Bの抵抗はAの4分の1
手順4 2つを合わせる → Bの抵抗はAの 2 × 4分の1 = 2分の1
手順5 Bが「Aの半分」ということは、AはBの2倍
よって答えはイの2倍です。
例数字を入れて確かめてみる
抵抗は「長さ÷(直径×直径)」に比例するので、この値を比べてみます(抵抗率と円周率は共通なので省きます)。
A … 20 ÷(1.6 × 1.6)= 20 ÷ 2.56 = 約7.81
B … 40 ÷(3.2 × 3.2)= 40 ÷ 10.24 = 約3.91
A ÷ B … 7.81 ÷ 3.91 = 約2 → Aの抵抗はBの2倍
覚えるこの問題の覚え方
「長さは1回、太さは2回効く」と覚えましょう。長さが2倍なら抵抗は2倍、直径が2倍なら抵抗は2×2で4分の1です。細くて短いAと、太くて長いB——太さの効き目のほうが大きいので、細いAのほうが抵抗は大きくなります。
注意まちがえた人が選びやすい選択肢
ハ.4 … 太さ(断面積4倍)だけを見て、長さのちがいを忘れたと、この数字になります。Bは長さも2倍なので、4 ÷ 2 = 2倍が正解です。
ロ.3 / ニ.5 … どちらも誤りです。長さの比(2倍)と断面積の比(4倍)をかけ算・わり算で組み合わせると、3や5は出てきません。
問3
分野:電気の基礎(発熱量)重要度 ★★★
消費電力が400 W の電熱器を1 時間20 分使用した時の発熱量[kJ]は。
イ.960
ロ.1 920
ハ.2 400
ニ.2 700
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この問題は何を聞いているの?
400Wの電熱器(電気で熱を出す器具)を1時間20分使ったとき、全部で何kJの熱が出るかを聞いています。ポイントは時間を「秒」に直すことと、JとkJの関係の2つです。
用語消費電力[W]とは?
1秒あたりに使う電気の量のことです。単位はW(ワット)。400Wなら、1秒ごとに400J(ジュール)ぶんのエネルギーを使います。
なぜ?なぜWが「1秒あたり」の量なのか?
Wは、もともと「1秒間にどれだけの仕事をするか」を表す単位として決められているからです。1W=1秒あたり1J。水道に例えると、蛇口から1秒に出る水の量にあたります。
用語発熱量[J・kJ]とは?
出た熱の合計の量のことです。単位はJ(ジュール)で、1kJ(キロジュール)=1,000Jです。
なぜ?なぜ電熱器では「使った電気=出た熱」と考えてよいのか?
電熱器は、電気をほぼすべて熱に変えるための器具だからです。モーターのように回転に使ったりはしません。だから使った電気の量(電力量)が、そのまま発熱量になります。
用語電熱器とは?
電気ストーブや電気コンロのように、電気を流して熱を出す器具のことです。中には電気が流れにくい線が入っていて、そこで熱が生まれます。
なぜ?なぜ電気を流すと熱が出るのか?
電気が抵抗(流れにくい部分)を無理に通るとき、こすれるように熱が出るからです。手のひらをこすり合わせると温かくなるのと似ています。
「1秒あたり」×「何秒」=合計の熱
400Wは1秒あたり400Jなので、使った秒数をかければ合計の熱が出ます。そこで、まず1時間20分を秒に直しましょう。
なぜ?なぜ時間を「秒」に直す必要があるのか?
Wが「1秒あたり」の単位だからです。1秒あたりの量に分や時間をそのままかけると、単位がそろわず答えがずれます。Jを出したいときは秒、と決めておくと迷いません。
コツ1時間20分を秒に直す
1時間 = 60分
1時間20分 = 60 + 20 = 80分
1分 = 60秒なので、80分 = 80 × 60 = 4,800秒
手順1 時間を秒に直す → 1時間20分 = 80分 = 80 × 60 = 4,800秒
手順2 発熱量[J] = 消費電力 × 秒数 = 400 × 4,800 = 1,920,000J
手順3 kJに直す(1,000で割る) → 1,920,000 ÷ 1,000 = 1,920kJ
よって答えはロの1,920kJです。
例「時間」で計算する方法でも同じ答え
1時間20分は、20分が1時間の3分の1なので1と3分の1時間(=3分の4時間)です。
電力量 = 400W × 3分の4時間 = 約533.3Wh(ワット時)
1Wh = 1Wを1時間(3,600秒)使った量 = 3,600J なので、533.3 × 3,600 = 約1,920,000J = 1,920kJ
覚えるこの問題の覚え方
「W×秒=J」の1本だけ覚えておきましょう。Wは1秒あたりの量なので、秒をかければ合計になります。そして1時間=3,600秒、1kJ=1,000J。この3つで、発熱量の問題の多くに対応できます。
注意まちがえやすいところ
「1時間20分=1.2時間」は誤り … 1時間は60分なので、20分は0.2時間ではなく3分の1時間(約0.33時間)です。1.2時間として計算すると 400 × 1.2 × 3,600 = 1,728,000J = 1,728kJ となり、どの選択肢とも合いません。
イ.960 / ハ.2 400 / ニ.2 700 … どれも誤りです。80分を4,800秒に直してから400をかける手順を守れば、1,920にたどり着きます。
👉 この分野をもっとくわしく【第二種電気工事士】W・Wh・Jの違いをゼロから解説(電力・電力量・熱量)
問4
分野:電気の基礎(交流回路の力率)重要度 ★★★
図のような交流回路で,電源電圧102 V,抵抗の両端の電圧が90 V,リアクタンスの両端の電圧が48 V であるとき,負荷の力率[%]は。
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この問題は何を聞いているの?
102Vの交流の電源に、抵抗とコイル(リアクタンス)を1本道につないだ負荷があります。かかっている電圧は、抵抗が90V、コイルが48Vです。この負荷の力率(りきりつ)が何%かを聞く問題です。
用語交流(こうりゅう)とは?
電気の流れる向きが、1秒間に何十回も行ったり来たりする電気のことです。家庭用コンセントの電気が交流です。図の左の丸の中に波の印(〜)がある記号が交流の電源を表します。
なぜ?なぜ交流だと計算が直流とちがってくるのか?
交流では、コイルのような部品が電流の流れるタイミングを遅らせるからです。抵抗の電圧とコイルの電圧は波の山が来るタイミングがずれるため、単純に足し算できなくなります。
用語リアクタンスとは?
コイルやコンデンサが、交流の流れを邪魔する度合いのことです。図のくるくる巻いた線の記号がコイルで、この問題のリアクタンスにあたります。
なぜ?なぜコイルは電気を使わないのに電圧がかかるのか?
コイルは電気を一時的にためては返す働きをしているからです。電気を押し返すので電圧はかかりますが、熱や光として消費はしません。電気を本当に使う(消費する)のは抵抗だけです。
用語力率(りきりつ)とは?
電源から送った電気のうち、本当に仕事(熱や光)に使われる割合のことです。0〜1、または0〜100%で表します。
なぜ?なぜ力率は100%にならないことがあるのか?
コイルが電気をためては返すだけの「行ったり来たり」をするぶん、送った電気の一部が仕事に使われないからです。例えるなら、台車を斜めに引っぱると、前に進む力の一部がむだになるのと似ています。抵抗だけの回路なら力率は100%です。
力率は「抵抗の電圧 ÷ 電源の電圧」で出せる
抵抗とコイルが1本道(直列)につながっているときは、力率=抵抗にかかる電圧÷電源電圧で求められます。抵抗の電圧は仕事に使われる部分、電源電圧は全体を表すからです。
なぜ?なぜ90Vと48Vを足しても102Vにならないのか?
90+48=138Vで、電源の102Vより大きくなってしまいます。これは抵抗の電圧とコイルの電圧のタイミングが4分の1周期ずれているためです。ずれた2つは直角三角形の2辺のように組み合わさり、全体はその斜めの辺(斜辺)になります。
例直角三角形で確かめる
斜辺の長さは「√(たて²+よこ²)」で求まります(三平方の定理)。√(ルート)は2乗の逆で、「2回かけるとその数になる数」のことです。
90² + 48² = 8,100 + 2,304 = 10,404
√10,404 = 102(102 × 102 = 10,404)
電源電圧102Vとぴったり一致します。90Vがよこ、48Vがたて、102Vが斜辺という三角形です。
手順1 抵抗の電圧(仕事に使われる部分) = 90V
手順2 電源電圧(全体) = 102V
手順3 力率 = 90 ÷ 102 = 約0.882
手順4 %に直す(100をかける) → 0.882 × 100 = 約88%
よって答えはハの88%です。
コツ分数を暗算しやすくする
90 ÷ 102 の計算が面倒なら、両方を6で割ると 15 ÷ 17 になります。17 × 0.9 = 15.3 なので、答えは0.9より少し小さいと分かり、選択肢の中では88%しか当てはまりません。
覚えるこの問題の覚え方
「力率は、抵抗の取り分」と覚えましょう。電源全体(102V)のうち、本当に仕事をする抵抗が受け持つ割合(90V)が力率です。コイルの48Vは行ったり来たりするだけの分なので、力率の計算の分子には使いません。
注意まちがえた人が選びやすい選択肢
イ.47 … コイルの電圧48Vを使って 48 ÷ 102 = 約0.47 と計算すると、この数字になります。これは力率ではなく、仕事に使われない側の割合です。力率に使うのは抵抗の90Vです。
ロ.69 / ニ.96 … どちらも誤りです。抵抗の電圧÷電源電圧(90 ÷ 102)を守れば88%になります。
👉 この分野をもっとくわしく【第二種電気工事士】力率と三相交流|√3が出る場所を知識ゼロから【第4回】
問5
分野:電気の基礎(三相3線式の断線)重要度 ★★☆
図のような電源電圧E[V]の三相3 線式回路で,図中の×印点で断線した場合,断線後のa−c 間の抵抗R[Ω]に流れる電流I[A]を示す式は。
イ.E / 2R
ロ.E / √3R
ハ.E / R
ニ.3E / 2R
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この問題は何を聞いているの?
3本の電線で電気を送る回路に、3つの抵抗Rが三角形の形につながっています。いちばん下の電線が×印のところで切れたとき、aとcのあいだの抵抗に流れる電流を、記号の式で答える問題です。
用語三相3線式(さんそうさんせんしき)とは?
3本の電線を使って電気を送る方式のことです。工場やビルの大きなモーターなどに使われます。図の左の「3φ3W」は三相(3φ)3線(3W)という意味の記号です。
なぜ?なぜ3本の電線で送るのか?
3本の電線の電圧を少しずつタイミングをずらして送ると、少ない電線で多くの電気を、なめらかに送れるからです。モーターを回すのにも都合がよく、動力用の配線に向いています。
用語Δ(デルタ)結線とは?
3つの抵抗(負荷)を三角形の形につなぐ方法のことです。三角形の3つの角(a・b・c)に、それぞれ1本ずつ電線がつながります。
なぜ?なぜ三角形の各辺には電源電圧Eがそのままかかるのか?
三角形の1つの辺の両端が、電線2本に直接つながっているからです。図の左に書かれているとおり、どの2本の電線のあいだもE[V]なので、各辺の抵抗にもそのままEがかかります。
用語断線(だんせん)とは?
電線が途中で切れて、電気が通らなくなることです。図の×印の電線は、b点へつながる電線です。
なぜ?なぜ断線すると回路が変わるのか?
切れた電線からは電気が入ってこなくなるからです。b点は電源から切り離され、aとcの2本の電線だけが電源につながった状態になります。
断線後に残るのは「aとcの2本の電線」だけ
×印で切れたのはb点につながる電線です。残ったのはa点の電線とc点の電線の2本で、その間の電圧は図のとおりE[V]です。
ここで、聞かれているa−c間の抵抗Rを見てください。この抵抗はa点とc点に直接つながっています。つまり、電源のE[V]がこの抵抗1つに、まるごとかかっているのです。
なぜ?なぜb点を通る道があっても、a−c間の電流は変わらないのか?
a→b→cの道(Rが2つ)は、a−c間の抵抗と並んで(並列に)つながった別の道だからです。並列の道は、それぞれが電源の電圧Eをそのまま受け取ります。家庭でテレビをつけても、となりの照明の明るさが変わらないのと同じです。
用語並列(へいれつ)とは?
2つ以上の道が、同じ2点のあいだに横並びでつながっている形のことです。並列の道には、どれにも同じ電圧がかかります。
なぜ?なぜ並列の道には同じ電圧がかかるのか?
どの道も同じ出発点と同じ到着点をつないでいるからです。水に例えると、同じ高さの2つのタンクを何本のパイプでつないでも、どのパイプの両端の高さの差も同じになります。
手順1 ×印で切れたのはb点への電線 → 残る電線はaとcの2本
手順2 aとcの電線のあいだの電圧 = 図よりE[V]
手順3 a−c間の抵抗Rは、a点とc点に直接つながっている → かかる電圧はE[V]
手順4 オームの法則(電流=電圧÷抵抗)より I = E ÷ R
よって答えはハのE/Rです。
例数字を入れてみると分かりやすい
E=200V、R=10Ωとしてみます。
a−c間の抵抗 … 200Vがまるごとかかるので 200 ÷ 10 = 20A(=E/R)
a→b→cの道 … 抵抗2つで20Ω、かかる電圧は同じ200Vなので 200 ÷ 20 = 10A(=E/2R)
電源から出る電流の合計 … 20 + 10 = 30A(=3E/2R)
覚えるこの問題の覚え方
「断線したら、残った2本の電線を探す」。そしてその2本に直接つながった抵抗には電源電圧がまるごとかかると考えましょう。三角形の図に惑わされず、「どの抵抗が、どの2本の電線のあいだにあるか」だけを見るのがコツです。
注意まちがえた人が選びやすい選択肢
イ.E/2R … これはa→b→cの道(抵抗2つ)に流れる電流です。聞かれているのはa−c間の抵抗1つなので、取り違えないようにしましょう。
ニ.3E/2R … これは電源から出る電流の合計(E/R + E/2R)です。
ロ.E/√3R … 誤りです。√3は三相の計算でよく出てきますが、断線後のこの回路は、2本の電線で電圧Eをかけているだけなので√3は使いません。
👉 この分野をもっとくわしく【第二種電気工事士】力率と三相交流|√3が出る場所を知識ゼロから【第4回】
問6
分野:配電理論(電圧降下)重要度 ★★★
図のような単相2 線式回路で,c−c’間の電圧が100 V のとき,a−a’間の電圧[V]は。ただし,r1 及び r2 は電線の電気抵抗[Ω]とする。
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この問題は何を聞いているの?
電源(左のa−a’)から2本の電線で電気を送り、途中のb−b’と、いちばん奥のc−c’にそれぞれ5Aを使う負荷がつながった回路です。奥のc−c’が100Vのとき、電源側のa−a’は何Vかを聞いています。電線の抵抗で下がる電圧を、奥から逆にたどる問題です。
用語単相2線式(たんそうにせんしき)とは?
行きと帰りの2本の電線で電気を送る方式のことです。図の「1φ2W」がその記号で、上の線が行き、下の線が帰りです。
なぜ?なぜ行きと帰りの2本が必要なのか?
電気は電源から出て、ぐるっと1周して電源に戻ることで流れるからです。行きの線だけでは電気は戻れません。だから電線の抵抗による電圧の下がりも、行きと帰りの2本ぶんを数えます。
用語電線の抵抗(r1・r2)とは?
電線は電気を通しやすい銅でできていますが、長くなるとわずかに抵抗を持ちます。図のr1=0.05Ω、r2=0.1Ωは、それぞれの区間の電線1本ぶんの抵抗です。
なぜ?なぜ電線の抵抗で電圧が下がるのか?
抵抗に電流が流れると、「電流×抵抗」ぶんだけ電圧が下がるからです。これを電圧降下(でんあつこうか)といいます。電源で102Vあっても、電線を通るうちに少しずつ下がり、奥の負荷では100Vになる、というイメージです。
用語負荷(ふか)とは?
電気を使う機器のことです。照明やヒーターなどが負荷にあたります。図の「抵抗負荷」は、ヒーターのように電気を熱に変える機器と考えてください。
なぜ?なぜ負荷の場所で電流の大きさが変わるのか?
途中の負荷が電流の一部を受け取るからです。電源から出た電流は、b点で5Aがb−b’の負荷へ分かれ、残りの5Aだけがc点まで進みます。区間ごとに流れる電流がちがうのが、この問題のポイントです。
区間ごとに流れる電流を確かめる
b−c間(奥の区間)には、c−c’の負荷が使う5Aだけが流れる区間です。a−b間(手前の区間)には、b−b’の負荷の5Aとc−c’の負荷の5Aの両方、合わせて10Aが流れます。
なぜ?なぜ手前の区間には10Aも流れるのか?
手前の区間は、奥にある2つの負荷の分をまとめて運ぶ通り道だからです。水道の本管が、奥の2軒分の水をまとめて運ぶのと同じです。電流は奥へ行くほど、使われたぶん減っていきます。
奥から手前へ、電圧を足していく
c−c’が100Vと分かっているので、奥から手前へ、電線で下がった分を足し戻していきます。電圧降下は行きと帰りの2本ぶんを数えることを忘れないようにしましょう。
手順1 b−c間の電線1本の電圧降下 = 5A × 0.1Ω = 0.5V。行きと帰りの2本で 0.5 × 2 = 1V
手順2 b−b’間の電圧 = 100 + 1 = 101V
手順3 a−b間に流れる電流 = 5 + 5 = 10A
手順4 a−b間の電線1本の電圧降下 = 10A × 0.05Ω = 0.5V。2本で 0.5 × 2 = 1V
手順5 a−a’間の電圧 = 101 + 1 = 102V
よって答えはロの102Vです。
覚えるこの問題の覚え方
「奥から戻る」「区間ごとに電流を数える」「2本ぶん」の3つです。電流は手前ほど大きい(ここでは10A)、奥ほど小さい(5A)。そして単相2線式の電圧降下は行きと帰りの2本ぶんを足します。
注意まちがえた人が選びやすい選択肢
イ.101 … 電線を1本ぶんしか数えなかったと、0.5 + 0.5 = 1V の上がりで101Vになります。単相2線式は行きと帰りの2本ぶんです。
ハ.103 … 奥の区間にも10Aが流れると考えると、b−c間で 10 × 0.1 × 2 = 2V、a−b間で1V、合わせて3Vの上がりで103Vになります。途中の負荷で5Aが分かれることを見落とさないようにしましょう。
ニ.104 … 誤りです。区間ごとの電流(10Aと5A)と、2本ぶんの数え方を守れば102Vになります。
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問7
分野:配電理論(単相3線式の電力損失)重要度 ★★★
図のような単相3 線式回路で,負荷A,負荷B はともに消費電力800 W の抵抗負荷である。負荷電圧がともに100 V であるとき,この配線の電力損失[W]は。ただし,電線1 線当たりの抵抗は0.5 Ωとする。
答え・解説を見る
この問題は何を聞いているの?
3本の電線で電気を送る回路に、800Wの負荷AとBがつながっています。電線1本ごとに0.5Ωの抵抗があるので、電線の中では電気の一部が熱になって失われるのです。その失われる電力(電力損失)の合計を聞いています。
用語単相3線式(たんそうさんせんしき)とは?
3本の電線で、100Vと200Vの両方を取り出せる配線方式のことです。一般的な住宅で使われています。図の「1φ3W」がその記号です。
なぜ?なぜ真ん中の線があるのか?
真ん中の線(中性線)は、上の負荷と下の負荷の「帰り道」を1本で共用するための線だからです。上の線と真ん中で100V、真ん中と下の線で100V、上と下で200Vを取り出せます。
用語電力損失(でんりょくそんしつ)とは?
電線の抵抗で、電気が熱に変わって失われる量のことです。電線1本ぶんの損失は電流×電流×抵抗(I²R)で求めます。
なぜ?なぜ電力損失は「電流×電流×抵抗」なのか?
電力は電圧×電流で、電線で下がる電圧は電流×抵抗だからです。この2つを組み合わせると、(電流×抵抗)×電流=電流²×抵抗になります。電流が2倍になると損失は4倍になる、という点が大事です。
まず、負荷1つに流れる電流を求める
負荷AもBも、800Wを100Vで使う機器です。電力=電圧×電流なので、電流=電力÷電圧で求められます。
なぜ?なぜ電流は「電力÷電圧」で出せるのか?
電力(W)=電圧(V)×電流(A)という関係があるからです。800W=100V×□A の□を求めれば、800÷100=8Aです。電気料金の計算に使うWは、押す力(V)と流れの量(A)のかけ算だと覚えておきましょう。
真ん中の線には電流が流れない
上の線には負荷Aの8A、下の線には負荷Bの8Aが流れます。真ん中の線(中性線)には、2つの差だけが流れるので、8 − 8 = 0Aです。
なぜ?なぜ真ん中の線には「差」しか流れないのか?
真ん中の線では、負荷Aの帰りの電流と、負荷Bの行きの電流が、ちょうど逆向きになるからです。逆向きの流れは打ち消し合うので、同じ大きさなら0になります。綱引きで両側が同じ力で引けば、綱が動かないのと同じです。
手順1 負荷Aの電流 = 800 ÷ 100 = 8A(上の線に流れる)
手順2 負荷Bの電流 = 800 ÷ 100 = 8A(下の線に流れる)
手順3 真ん中の線の電流 = 8 − 8 = 0A
手順4 上の線の損失 = 8 × 8 × 0.5 = 32W
手順5 下の線の損失 = 8 × 8 × 0.5 = 32W
手順6 真ん中の線の損失 = 0 × 0 × 0.5 = 0W
手順7 合計 = 32 + 32 + 0 = 64W
よって答えはロの64Wです。
覚えるこの問題の覚え方
単相3線式で上下の負荷が同じ大きさなら、真ん中の線は0A。だから損失を数える電線は上と下の2本だけです。あとは1本ぶん(I²R)を出して2倍すれば答えになります。
注意まちがえた人が選びやすい選択肢
ハ.96 … 真ん中の線にも8Aが流れると考えて、32W × 3本 = 96W とすると、この数字になります。上下の負荷が等しいとき、真ん中の線は0Aです。
イ.32 … 電線1本ぶんの損失だけを答えにすると、この数字になります。上と下の2本ぶんを足しましょう。
ニ.128 … 負荷AとBの合計1,600Wを100Vで割った16Aが1本の電線に流れると考えると、16 × 16 × 0.5 = 128W になります。上下の線には、それぞれ8Aずつしか流れません。
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問8
分野:配線設計(許容電流)重要度 ★★★
金属管による低圧屋内配線工事で,管内に直径2.0 mm の600V ビニル絶縁電線(軟銅線)4 本を収めて施設した場合,電線1 本当たりの許容電流[A]は。ただし,周囲温度は30 ℃以下,電流減少係数は0.63 とする。
答え・解説を見る
この問題は何を聞いているの?
金属の管の中に、直径2.0mmの電線を4本まとめて通したとき、電線1本にどれだけの電流まで流してよいかを聞いています。表の数字を1つ覚えていて、それに0.63をかけるだけで解ける問題です。
用語許容電流(きょようでんりゅう)とは?
電線に流し続けても安全な、電流の上限のことです。単位はA(アンペア)。これを超えると電線が熱くなりすぎて、まわりのビニルが傷んだり、火事の原因になったりします。
なぜ?なぜ電線に流せる電流に上限があるのか?
電線にもわずかな抵抗があり、電流が流れると熱が出るからです。電流が大きいほど熱も大きくなるので、電線を包むビニルが耐えられる温度から上限が決められています。
用語600Vビニル絶縁電線(軟銅線)とは?
銅の線を、ビニルで包んだ電線のことです。「IV(アイブイ)」とも呼ばれます。軟銅線(なんどうせん)は、曲げやすいようにやわらかく加工した銅の線です。
なぜ?なぜ電線をビニルで包むのか?
銅がむき出しだと、人がさわって感電したり、電線どうしが触れてショートしたりするからです。電気を通さない材料(絶縁物)で包むことを絶縁といいます。
用語金属管工事・低圧屋内配線とは?
低圧屋内配線は、建物の中の、家庭用コンセントなどと同じ低い電圧の配線のことです。金属管工事は、その電線を鉄などの金属の管の中に通して守る工事の方法です。
なぜ?なぜ管に入れると流せる電流が減るのか?
管の中は熱がこもりやすいからです。電線を何本もまとめて入れると、お互いの熱で温め合ってしまうのです。満員電車が暑くなるのと同じで、本数が多いほど熱が逃げにくくなります。
用語電流減少係数(でんりゅうげんしょうけいすう)とは?
管に入れたときに、許容電流を何割に減らすかを表す数字です。この問題では0.63(=63%に減らす)と問題文に書かれています。
なぜ?なぜ本数が増えると係数が小さくなるのか?
管の中の電線が多いほど熱がこもり、1本あたりに流せる電流を減らす必要があるからです。問題文にある0.63は、同じ管に4本入れたときの値として与えられています。
まず「管に入れないとき」の許容電流を思い出す
直径2.0mmのビニル絶縁電線は、周囲温度30℃以下で、管に入れずに使うとき35Aまで流せます。この35Aが出発点です。
覚えるビニル絶縁電線(単線)の許容電流【暗記】
直径1.6mm … 27A
直径2.0mm … 35A
直径2.6mm … 48A
(周囲温度30℃以下で、管などに入れずに使うときの値)
なぜ?なぜ「周囲温度は30℃以下」と書いてあるのか?
上の表の値が周囲温度30℃以下を前提にした値だからです。まわりが暑いと、電線の熱が逃げにくくなり、流せる電流はさらに減るのです。この一文で、「表の値をそのまま使ってよい」と決まります。
手順1 直径2.0mmのビニル絶縁電線の許容電流(管に入れないとき) = 35A
手順2 同じ管に4本入れるので、電流減少係数 = 0.63(問題文より)
手順3 電線1本あたりの許容電流 = 35 × 0.63 = 22.05A
手順4 選択肢でいちばん近いもの → 22A
よって答えはロの22Aです。
コツ35×0.63を楽に計算する
35 × 0.63 は、35 × 0.6 = 21 と 35 × 0.03 = 1.05 に分けて足すと、21 + 1.05 = 22.05。電卓が使えない試験なので、きりのよい数に分けて計算すると間違いにくくなります。
覚えるこの問題の覚え方
「1.6は27、2.0は35、2.6は48」と、まず表の数字を覚えましょう。そのうえで「管に入れたら係数をかけて減らす」。管の中は熱がこもる、という理由をセットにしておくと、かけ算を忘れにくくなります。
注意まちがえた人が選びやすい選択肢
ニ.35 … 電流減少係数0.63をかけ忘れたと、この数字になります。管に4本入れているので、35Aのままでは流せません。
イ.17 … 直径1.6mmの許容電流27Aを使ったと、27 × 0.63 = 約17A になります。この問題の電線は2.0mm(35A)です。
ハ.30 … 誤りです。35 × 0.63の計算を守れば22Aになります。
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問9
分野:配線設計(幹線の分岐)重要度 ★★★
図のように定格電流50 A の配線用遮断器で保護された低圧屋内幹線からVVR ケーブル太さ8 mm2(許容電流42 A)で低圧屋内電路を分岐する場合,a−b 間の長さの最大値[m]は。ただし,低圧屋内幹線に接続される負荷は,電灯負荷とする。
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この問題は何を聞いているの?
50Aのブレーカーで守られた太い電線(幹線)から、許容電流42Aのケーブルで枝分かれさせます。分かれた点aから、枝の先のブレーカーbまでを最大で何mにできるかを聞く問題です。「42Aは50Aの何%か」を計算して、ルールに当てはめます。
用語幹線(かんせん)とは?
建物に引き込んだ電気を、各部屋へ配る前の太い電線のことです。木の幹にあたるので幹線という名前です。そこから枝分かれした電線を分岐(ぶんき)といいます。
なぜ?なぜ幹から枝に分けて配線するのか?
枝ごとにブレーカーを付けておけば、故障した枝だけを止めて、ほかの部屋は使い続けられるからです。1本の電線で全部を配ると、1か所の故障で建物全体が止まってしまいます。
用語配線用遮断器(はいせんようしゃだんき)とは?
決めた電流を超えたら自動で電気を切る装置で、家庭でいうブレーカーのことです。図の四角の中にBと書かれた記号で表します。
なぜ?なぜ電流が大きすぎると電気を切る必要があるのか?
電線が熱くなりすぎて火事になるのを防ぐためです。電線には許容電流という上限があり、電線が燃える前にブレーカーが切れるように組み合わせて設計します。
用語定格電流・許容電流とは?
ブレーカーの定格電流は「この電流を超えたら切る」という基準の値(ここでは50A)。ケーブルの許容電流は「ここまで流しても安全」という上限(ここでは42A)です。
なぜ?なぜこの2つの数字を比べるのか?
a−b間の枝の電線は、先にあるブレーカーbにはまだ守られていないからです。この区間で事故が起きたとき頼れるのは、手前の50Aのブレーカーだけ。そこで枝の電線が50Aに対してどれだけ丈夫かで、許される長さが決まります。
用語VVRケーブルとは?
ビニルで絶縁した電線を、さらにビニルの外装(シース)で包んだ、断面が丸いケーブルのことです。「8」は電線の太さが断面積8mm²であることを表します。
なぜ?なぜ問題文に「許容電流42A」と書いてあるのか?
分岐のルールはケーブルの許容電流で判断するからです。8mm²という太さから自分で許容電流を思い出さなくてよいように、判断に使う数字がそのまま示されています。
分岐点からブレーカーまでの長さのルール
枝の電線の長さは、手前のブレーカーの定格電流(50A)に対して、枝の電線の許容電流が何%あるかで決まります。次の3つのルールに当てはめるだけです。
覚える分岐点からブレーカーまでの長さのルール【暗記】
許容電流が55%以上 … 長さに制限なし
許容電流が35%以上55%未満 … 8m以下
許容電流が35%未満 … 3m以下
なぜ?なぜ電線が丈夫なほど長くしてよいのか?
手前のブレーカーに近い電流まで耐えられる電線なら、守られていない区間が長くても焼けにくいからです。逆に細い電線は、事故のときに手前のブレーカーが切れる前に焼けてしまうおそれがあるので、短い距離にとどめる決まりになっています。35%・55%・3m・8mは電気設備の技術基準の解釈で決められた数字なので、そのまま覚えましょう。
手順1 手前のブレーカーの定格電流 = 50A
手順2 枝のケーブルの許容電流 = 42A(問題文より)
手順3 割合 = 42 ÷ 50 = 0.84 → 84%
手順4 84%は55%以上 → ルールは長さに制限なし
よって答えはニの制限なしです。
コツ%にしないで比べる方法
先に50Aの35%と55%を出しておく方法もあります。50 × 0.35 = 17.5A、50 × 0.55 = 27.5A。42Aは27.5A以上なので、制限なしとすぐ分かります。
なぜ?なぜ「電灯負荷とする」と書いてあるのか?
幹線にどんな機器がつながっているかをはっきりさせるための断り書きです。この問題の計算は、50Aと42Aの比べ算だけで答えが出ます。断り書きに惑わされず、ブレーカーと電線の数字に注目しましょう。
覚えるこの問題の覚え方
「35%で8m、55%で無制限、それ未満は3m」。数字を見たら、まず許容電流÷ブレーカーの定格電流を出しましょう。丈夫な電線ほど遠くまで伸ばせる、とイメージすると覚えやすくなります。
注意まちがえた人が選びやすい選択肢
ハ.8 … これは許容電流が35%以上55%未満のときの長さです。42Aは50Aの84%なので、55%以上の「制限なし」に当てはまります。
イ.3 … これは許容電流が35%未満のときの長さです。
ロ.5 … 誤りです。分岐の長さのルールに出てくる長さは3mと8m(と制限なし)です。
👉 この分野をもっとくわしく【第二種電気工事士】幹線と分岐回路の決まりをゼロから解説
問10
分野:配線設計(分岐回路)重要度 ★★★
低圧屋内配線の分岐回路の設計で,配線用遮断器,分岐回路の電線の太さ及びコンセントの組合せとして,適切なものは。ただし,分岐点から配線用遮断器までは3 m,配線用遮断器からコンセントまでは8 m とし,電線の数値は分岐回路の電線(軟銅線)の太さを示す。また,コンセントは兼用コンセントではないものとする。
答え・解説を見る
正解
ニ.50A(配線用遮断器)・14mm²・定格電流50Aのコンセント1個
この問題は何を聞いているの?
ブレーカー・電線・コンセントの3点セットのうち、決まりどおりの組み合わせになっているものを1つ選ぶ問題です。計算はなく、1つの対応表を覚えているかどうかで決まります。
用語分岐回路(ぶんきかいろ)とは?
幹線(太い電線)から枝分かれして、部屋のコンセントや照明につながる回路のことです。家の分電盤(ブレーカーが並んだ箱)から出ている1本1本が分岐回路です。
なぜ?なぜ回路を分けるのか?
1か所の故障で家中の電気が止まらないようにするためと、1つの回路で電気を使いすぎないようにするためです。台所・エアコン・照明を別の回路にしておけば、電子レンジでブレーカーが落ちても照明は消えません。
用語配線用遮断器と定格電流とは?
配線用遮断器は、決めた電流を超えたら自動で電気を切るブレーカーのことです。図の四角にBの記号の横に書かれた20A・30A・50Aが定格電流(切れる基準の電流)を表します。
なぜ?なぜブレーカーの大きさで、電線とコンセントが決まるのか?
ブレーカーはその回路の電線やコンセントを守るための装置だからです。30Aのブレーカーなら30A近くまで電流が流れることがあるので、電線もコンセントもそれに耐えられる大きさが必要になります。
用語コンセントの定格電流とは?
そのコンセントに流してよい電流の上限のことです。家庭でよく見るものは15A、エアコン用などには20Aや30Aのものがあります。
なぜ?なぜコンセントは小さすぎても使えないのか?
コンセントが小さすぎると、コンセントやつないだコードが焼け始めても、大きなブレーカーはなかなか切れないからです。例えば30Aの回路に15Aのコンセントを付けると、20Aが流れて熱くなってもブレーカーは30Aまで切れません。だからコンセントには上限だけでなく下限もあるのです。
覚えるのはこの表ひとつ
ブレーカーの大きさが決まると、使ってよい電線の細さの限界と、付けてよいコンセントの範囲が決まります。この対応表が、そのまま答えの決め手です。
覚える分岐回路の組合せ表【暗記】
15A … 電線1.6mm以上 / コンセント15A以下
20A 配線用遮断器 … 電線1.6mm以上 / コンセント20A以下
30A … 電線2.6mm(または5.5mm²)以上 / コンセント20A以上30A以下
40A … 電線8mm²以上 / コンセント30A以上40A以下
50A … 電線14mm²以上 / コンセント40A以上50A以下
なぜ?なぜ電線は「以上」だけで決まっているのか?
電線は太いほど熱に強く、安全側だからです。危険なのは細すぎるときだけなので、「この太さより細いのはだめ」という下限だけが決められています。
選択肢を1つずつ表と照らし合わせる
見るところは「ブレーカー」「電線」「コンセント」の3つです。1つでも表から外れていたら、その選択肢は消えると決めて、順に確かめましょう。
例4つの選択肢を表に当てはめる
イ ブレーカー20A/電線2.0mm/コンセント30A×1個 … 電線は1.6mm以上なのでOK。しかし20A回路のコンセントは20A以下で、30Aは大きすぎる。 → 誤り
ロ ブレーカー30A/電線2.0mm/コンセント20A×2個 … コンセントは20A以上30A以下なのでOK。しかし30A回路の電線は2.6mm以上で、2.0mmでは細すぎる。 → 誤り
ハ ブレーカー30A/電線2.6mm/コンセント15A×1個 … 電線はOK。しかし30A回路のコンセントは20A以上30A以下で、15Aは小さすぎる。 → 誤り
ニ ブレーカー50A/電線14mm²/コンセント50A×1個 … 50A回路の電線は14mm²以上なのでOK。コンセントは40A以上50A以下なので50AもOK。 → すべて適切
よって答えはニです。
「3m」「8m」「兼用コンセントではない」の意味
なぜ?なぜ「分岐点から配線用遮断器までは3m」と書いてあるのか?
幹線から分かれた点からブレーカーまでの電線には、長さによって太さのルールがあります(問9のルール)。ただし3m以下なら追加の制限はありません。この断り書きは、「距離の条件は気にしなくてよい」と伝えるためのものです。なお、ブレーカーからコンセントまでの8mにも、この問題で考えるべき制限はありません。
用語「兼用コンセントではない」とは?
15A用と20A用の両方のプラグを差せるタイプのコンセントではない、という意味です。図に書かれた定格電流だけを持つ、一般的なコンセントとして考えます。
なぜ?なぜこの断り書きが必要なのか?
兼用コンセントだと、当てはめる表の欄が変わってしまうことがあるからです。この一文があることで、表をそのまま当てはめてよいと決まります。
覚えるこの問題の覚え方
「電線は細すぎるとだめ、コンセントは大きすぎても小さすぎてもだめ」。数字は「20Aは1.6mm、30Aは2.6mm、40Aは8mm²、50Aは14mm²」です。コンセントの範囲は「ブレーカーの1つ下の段からブレーカーまで」(30A回路なら20A〜30A、50A回路なら40A〜50A)と、1段ずれた階段のイメージで覚えましょう。
注意まちがえた人が選びやすい選択肢
ハ.30A・2.6mm・15Aコンセント … 「小さいコンセントなら安全だろう」と考えたと選びやすい形です。30A回路のコンセントは20A以上が必要です。
ロ.30A・2.0mm・20Aコンセント2個 … コンセントだけ見て正しいと思ったと選びやすい形です。電線が2.6mmより細いので不適切です。
イ.20A・2.0mm・30Aコンセント … 電線が太いから安全だと考えたと選びやすい形です。電線は問題ありませんが、20Aのブレーカーに30Aのコンセントは付けられません。
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この記事のまとめ
問1〜10で使った考え方を、1問1行でふり返りましょう。解き終わったあとにここだけ読み返すと、記憶に残りやすくなります。
まとめこの10問で持ち帰ること
問1 直流回路の電圧 … つながっていない端子には電流0。接地点を0Vとして、電圧を坂道のように上り下りする
問2 電線の抵抗 … 長さは1回、太さは2回効く。直径2倍で抵抗4分の1、長さ2倍で抵抗2倍
問3 発熱量 … W×秒=J。1時間20分は4,800秒。1,000Jで1kJ
問4 力率 … 力率=抵抗の電圧÷電源電圧。90Vと48Vは足し算せず直角三角形で組み合わさる
問5 三相の断線 … 残った2本の電線に直接つながる抵抗には、電源電圧がまるごとかかる
問6 電圧降下 … 奥から戻る。区間ごとの電流(10Aと5A)で、行きと帰りの2本ぶん
問7 単相3線式の損失 … 上下の負荷が同じなら中性線は0A。損失は上下2本ぶん
問8 許容電流 … 2.0mm=35A。管に入れたら減少係数をかけて35×0.63=22A
問9 幹線の分岐 … 許容電流÷ブレーカー。55%以上は制限なし、35%以上は8m、それ未満は3m
問10 分岐回路 … 50A=14mm²・コンセント40〜50A。コンセントは大きすぎても小さすぎても不可
この10問の計算の土台は、オームの法則(電圧=電流×抵抗)と電力(電圧×電流、または電流²×抵抗)の2本でした。あとは単位をそろえることと、暗記表(許容電流・分岐の長さ・分岐回路の組合せ)を引くことです。式を増やすより、この2本の使い方に慣れるほうが近道になりやすいでしょう。
出典
令和5年度下期第二種電気工事士試験(午前)
問題・図・写真・解答は一般財団法人 電気技術者試験センターが公表しているものです。
あわせて読みたい(第二種電気工事士 令和5年度下期 午前 全5記事)
▶ 問11〜20
材料・器具・工具(プルボックス・耐熱性・パイプベンダ・スターデルタ始動・写真鑑別)
▶ 問21〜30
施工・検査・法令(図記号と工事・接地工事の省略・検電器・漏えい電流)
▶ 配線図 問31〜40
図記号と数字もの(電線本数・接地工事・遮断器・図記号の読み取り)
▶ 配線図 問41〜50
写真の見分け(材料・工具・器具を写真から選ぶ)
学科のあとは、技能試験の準備が要ります
技能試験は40分で実際に配線を組み立てる試験です。工具と練習用の材料がないと1問も練習できません。通信講座は必要か、材料は買うか借りるか——実際の価格で比べました。
▶ 通信講座5社と工具・材料の費用を比較する